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私と彼等の日常は、あまりにも非現実的すぎる(正位置編)

名に相応しき輝き(星の正位置)

作者: 死神の嫁

輝く星の数だけ、意味のある事で溢れている

 幼い頃、よく星座早見表を片手に星空を眺めていた。夏の大三角形・冬の大三角形……季節ごとに様々な名前の星達が、夜空に広がりそれぞれの輝きを見せる。そんな星達を見ていると、不思議と前向きな気持ちになれたりもする。特別な人と見上げたりすれば尚のことロマンチックだろう。


「綺麗……晴れて本当によかったね」


 満天の星空を見上げ、隣で嬉しそうにはしゃぐ女の子に声をかけた。こちらを振り返り、心底嬉しそうに笑う彼女を見ていると、名にふさわしいと改めて感じる。


「ほら見てあれ、オリオンがいるよ!」


 彼女が指さす方向には、冬の大三角形の一つである『オリオン座』があった。そういえば最近、彼女が喜ぶと思ってオリオン座をモチーフにしたイヤリングを購入したことを思い出し、微笑んだ。

 彼女の名は『星』の正位置。カード番号は17で、とても明るくて可愛らしい子である。彼女は夜になると仲間達と一緒に会議に行くらしく、今は会議終わり。こうして共に空を見上げながら、星を見ている。

 主な意味は『希望・夢・未来へ続く道』などで、正に彼女に相応しい意味だと思う。


「本当だ、綺麗……! そういえば、スターちゃんのお仲間さんってやっぱり星座なの?」

「ううん、違うよー! 星座は人間達が形作ったものだから、あたし達とは無関係なの! あたし達は一個の星に過ぎない、だからこうして集まってお話ししたりするの!」

「あ、そうなんだ……となるとみんなで集まったら賑やかで楽しそうだね。会議って具体的にはどんな話をするの?」

「星ってね、当然だけど毎日動いているでしょう? 次に誰がどの位置に移動するかって言うのを話し合いで決めてるんだ! 大体すぐに決まるから、余った時間はお菓子を食べたりしながら今日あったことをお話しするの!」


 彼女達は仲間をかなり大切にしているようで、毎日お互いの磨き合いをしているのだとか。集団行動特有の啀み合いなどを一切せず、互いの輝きを尊重し合っている。そんな彼女の話を聞いていると、時々悲しい気持ちになったりするのだ。


「あはは、会議って言うよりお喋り会みたいなんだね。知らなかったなぁ……ただ単に近くにあるだけだと思ってた、物事にはちゃんと意味があるんだね」

「意味の無いことなんてこの世にはないと思うよ?

どんな小さな事だってそう、何かとは繋がっているんだから♪ 自分が何と繋がりたいか、何を目指したいのかを掲げれば、道を見失わずに済むと思う!」


 嗚呼やっぱり、彼女は星の名にふさわしい……眩しいくらいに明るくて、少し我儘な所もあって、優しい。

 楽しそうに笑う彼女の横で、自然な笑顔になれている事を感じながら、再び共に星空を見上げるのだった。

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