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始まり
乙女小説のタイトル、儚い花束。その乙女小説を読んだ、とある女性。キュンとしている女性。女主人公の一途で悪役少女に負けない強さ、そして最後はイケメン上司と結ばれる、そんなストーリーにキュンとしている女性。カフェから出て、ポワーンとしながら道を歩いている女性。しかし、そこは車道だった。とある女性は交通事故にあう。遠のいていく意識の中でも、とある女性はキュンとなった感情が残っている。乙女小説、儚い花束。遠のいていく意識は、プツリと途絶えた。
女性は意識が戻ると、飲食店の中で接客をしていた。なぜ? そんな感覚である女性。仕事が終わり、スタッフルームの鏡で自分の顔を見た女性。なんと、あの乙女小説の儚い花束の悪役少女、ヤンキー少女リンになっているではないか。女性は前世の最後を思い出している。もしも、今が、あの乙女小説、儚い花束の世界の中だとしたら? そう、とある女性は、もうヤンキー少女リンに転生しているのである。