1 春、プロポーズ
(*´˘` )♡(´˘`๑)
荒木美穂、40才独身で男性経験も皆無。見た目のルックスはほんわかした感じの童顔の人だけど婚期を地味に気にしてて俺、椎名桔梗の高校でのクラス担任の先生だった人だ。
そう、”だった”だ。ついさっき卒業式を終えたので一応元教え子となった現在、俺はどうしても先生に伝えることがあって人気のない校舎裏へと呼び出していた。
「こんなところに何の用なの?」
人を疑うことを知らないように着いてきてくれた先生がキョトンとしているので俺は覚悟を決めて懐から婚姻届を出して言った。
「先生、好きです。俺と結婚してください」
「………はぇ?」
「好きです。結婚してください」
「………椎名くん。先生からかって楽しい?」
地味に傷つくがまあ、そんな反応も仕方ない。
「本気です。俺、先生のことずっと好きでした。だから卒業したので結婚して欲しいんです。最低でも結婚を前提としたお付き合いを了承して貰うまで帰るつもりはありません」
「……本当に?」
「本気です」
じっと俺の目を見つめてくる先生。俺もそれに真剣に応えるために先生を真剣に見つめると、負けたように頬を赤く染めて顔を反らす先生。
「わ……私、もう40歳なんだよ?売れ残りだよ?」
「そんなことどうでもいいです。売れ残りなら高く買います」
「で、でもぉ……」
本当に40歳なのか疑問になるほどの初さだけど……うん、まあ可愛いよね。
「先生、1年の頃のこと覚えてますか?」
「え?えっと……」
「俺、上手くクラスに馴染めなくて浮いてたんです。知っての通り中学時代にイジメられてたので。そんな俺に親身になってくれたのが先生なんです」
「それは……教師として当たり前のことだし」
「分かってます。でも、惚れちゃったんです」
思い切って手を握ると、明らかに動揺する先生。本人の言ってた通り本当に男に免疫ないんだなぁと思いつつ俺は追い討ちをかけるように言った。
「改めて言います。先生……いや、美穂さん。俺と結婚してください」
「はぅ!あぅあぅ………」
しばらくアワアワしてから、先生……いや、美穂さんは小さくこくりと頷くのだった。まあ、そこで勘弁してあげたかったが……ダメ押しに緊張で震える手を握って一緒に婚姻届にサインをした俺はかなりガツガツしてたなぁと思う。
そんな訳で………高校を卒業した本日、俺は憧れの担任の先生と晴れて結婚することになりました。ちなみに、美穂さんの気が変わらないうちに役所に婚姻届を出した俺は意外と鬼畜かもしれない。まあ、死んでも離れないけどね。