始まりとそうじゃない展開。
雲ひとつない青い空。光り輝く太陽。歩けば制服を着た女子高生。
俺が主人公であればこの後可愛い女の子とふとした表紙に知り合い、時にはケンカし、時にはデレて、物語の最後にはわちゃわちゃとしながら俺とキスをしてこの物語を終えるだろう。そこにはきっと俺のことを好きな女の子が4人くらいはいて、仲のいい男友達と騒ぎながら.......、なんて考えてみたり???
そんなことを考えながらスマホを見てみると時間は8時15分になっていた。
「やばっ!?もうこんな時間じゃん!入学式遅れるっての!」
そう言いながら入って学校へ向かっていった。そう、今日から念願の高校生デビューなのだ。こんな大切な日に遅刻なんてしてたまるか。
「初日から遅刻なんてないよな???」
そこで俺は考える。きっとラノベとかなら入学式に遅刻するが、なんと同じく遅刻した女の子が俺と2人で罰を受ける。俺はそこで女の子に嫌われるが後々それが恋愛感情に変わっていったり.......。
あり!ものすごくありだ!!!!
俺はそんな妄想をしながら学校へ走っていくと、入学式と書かれた看板が見えてきた。まだ制服を来た人が何人もいたから遅刻は免れたと思われる。
「なんとか間に合ったな。良かった良かった。」
と、ひと安心して足を止めると後ろから誰かに突進されその場で倒れた。
「痛た.......。ちょっと!急に止まんないでよ!危ないでしょ!」
何やら俺が怒られているみたいなので振り返ってみるとそこには制服美少女がいた。整った顔立ちに二重で大きい目。少しツンデレ要素があって胸が控えめのがメインヒロインぽいな。うん。
「な、何よ....。ジロジロ私のことをみて。」
おっと、いけない。さすがに見すぎたら初対面で変態扱いされてしまう。ここは紳士の対応をしないとな。
「ごめんな。急に止まっちゃって悪かったよ。君も新入生?」
はい。決まった。ぶつかったのは明らかに俺は悪くないけど、この紳士の対応ですわ。まあ?俺もそこまで顔は悪くないだろうから好印象といったところかな?
「そうだけど、何?あんたも新入生なの?」
んん?なんか目怖くないすか?睨まれてる気がするんだけど気のせいだよね???
「そうなんだ。今日から高校生だと思うとワクワクしてついはしゃいじゃったよ。良かったら一緒に教室まで行かないかな?」
さりげなく教室に一緒に行くアピール成功。俺もやる時はやる男なんだなぁ.......。
「いやよ。」
え?俺断られてね?
「え?今なんて?」
「嫌って言ったの。」
俺なんで断られてんの?一緒に行くくらい良くない?
「なんで?一緒に行こうよ。」
あ、そうか、分かったぞ。照れてるんだな?きっとそうだ。
「悪いけど、他の人と行くから。その人に案内してもらう予定だから。」
待ち合わせね。そうかそうか。きっと同じ中学の友達と一緒に行く予定だったんだね。それなら仕方ないか。
「それならしょうがないか。同じクラスだとい...。」
俺の言葉を遮るように遠くから男の声が聞こえた。
「おーーい。露草ー!ごめーん!」
と、見知らぬ男がこちらに走ってくる。
「もう!なんで先に行っちゃったの?1人じゃ何もわかんないんだから!」
あれ?この男来てからこの子声のトーンが上がってない?てか声なんか甘くなってない?え、男いんのこの女。
「ごめんごめん。ちょっと忘れ物してさ。ところでそこの人は露草の友達?」
「ううん?ちょっとぶつかっただけだよ?それより早く学校行こ?」
そう言って2人で門をくぐって行った。
なんだよ。男いんのかよ。てかカップルで同じ高校来んなよな、早く別れろ。
「はぁ.......。世界一無駄な時間過ごしたな。俺も教室行こ。」
そう言って、同じく門をくぐり学校へ入っていった。
俺にお約束なんてあるわけないよな。