チュートリアル
転送が終わったらそこは闘技場らしき広場だった。
目の前には剣と盾を持った人形と、メダルを指で弾いて弄んでる妹が立っていた。
「……何してるんだ光、ここはチュートリアルエリアじゃないのか?」
「兄さんが私の招待コードを使ったからここで合流できたの。
普通は街に出るまで一人だし……それとここではゼーレって呼んでね」
メダルを弄るのをやめて抱き着いてきたゼーレを受け止めると、
*注意:ハラスメント行為を受けている可能性があります
視界上下にそんな警告が流れた。
さっと設定を開いて警告を切ると抱き返す。
「兄さん……設定しておいてくれないなんて酷いです……」
ばれていたらしい。
「まず最初に冒険者の証をつけましょう。
腕に着ける人が多いですけど足や首、稀に腰に付けてる人も居ますよ?
サイズは自動調整、インベントリや装備のショートカットが登録できるので
できるだけ手の届く範囲にしておくのがいいです」
証を左手首に置くと腕輪状の装備に変わった。
「ステータス見せて……
相変わらず極端なビルドにしますね兄さん、AGI特化にすると思ってたのであんまり良いの取ってないですけど
このへんのメダルを証に装着しておくといいかなぁ」
そう言いつつ数枚のメダルを手渡される。
「武器での攻撃をINT参照にする物と気配遮断が使えるようになる物と残りはINTが上がるメダル」
高価そうなものばかりだった。
「いいのか? 高かったんじゃないか」
「魔武器化以外はすぐ値段下がると思うし気にしないで、それじゃ説明はじめるよ?」
「ああ、ありがとう。 頼む」
「まずは装備の詳細表示を出して」
言われたとおりに詳細を出す。
<ゼーレサイス>
耐久度:50
最大耐久度:50
*第2回イベント覇者モチーフの大鎌、武器自体に攻撃力は無いが消滅することが無く、HPを消費して耐久度を回復できる。
<豪華な冒険者の証>
武器:<魔武器化><空き><封印>
防具:<INT+3><INT+2><INT+2><封印><封印>
装飾:<気配遮断Lv2><封印><封印>
インベントリLv1:<+3>
*装飾の付いた冒険者の証、初期機能が豪華だが上限は普通の物と変わらない。
「封印されてるスロットは課金で開放されるから続けるなら考えといてね」
無料じゃ運営できないだろうし、しかたないね?
「通常の武器や防具に特殊効果は付かないから、全部証とメダルで管理するから忘れないで。
HPは有るけど頭や心臓を潰されたり、首切られたりしたら即死扱いになるから注意して。
PKは気配察知を持ってなかったりレベルが低い状態で標的にされると、相手のスキル次第では攻撃が当たる瞬間に警告出ることもあるから。
デスペナはほぼ無いけどインベントリに入ってなかった物で帰属されてないものがその場に落ちるから覚えておいて。
序盤の大まかな注意点はこのくらいかなぁ?
他に無いならそろそろ街にいこうよー」
説明を早口で言い終えたゼーレは、俺の腕を引いて闘技場の入り口に向かう。
ゲートの中に設置されてる魔法陣に乗ると揃って転送が始まったが、
チュートリアルを受けてないんだがよかったのだろうか?