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廻る季節でそれは咲く  作者: 夏冬霧 春秋
1/2

プロローグ

ビルの廃墟で多数の銃声が鳴る。

それに混じり怒号や悲鳴も聞こえてくる。


「くそっ、なんなんだあいつらは!」


そう叫んだ男が次の瞬間には、胴を真っ二つにされて崩れ落ちる。

両手に大きなナイフを持った少女がふらふらと、後退する男たちに歩み寄る。

銃弾を浴びながら、しかし、急所は避けて一歩、一歩と歩み寄る。


残り5mまで迫ったその時、少女が素早く動き1人は首を刎ねられ、1人は縦に真っ二つに、1人は頭を両断されて絶命する。

辺りを血の海に染めながら少女はフラフラと当てもないように歩いてゆく。


別の場所では、小型のナイフを両手に持った少女と数人の男が対峙していた。

それぞれが発砲するがその全てをナイフに弾かれる。


「なんで当たらねぇんだよ、チクショオ!」

「ふん、その程度銃口と視線を見ておけば防御なんて容易いわよ」


少女が答える。


「分かったら、死んで」


少女は一番近くにいた男の首にナイフを投げる。

そのまま、その横にいた近付き首を引き裂く。

ナイフを2人の男に刺したまま後ろにいた男を、ナイフから出ているワイヤーで絞め殺す。

一瞬のうめき声の後、そこには少女以外立っている者はいなかった。


「さてと、この階はこれで全部かな?みんなは大丈夫かな?」


少女が独り言を言っていると、目の前の階段から数人の男が降りてくる。


「はぁ、上からの応援かな?面倒なんだけど…ん?」


だが男たちは何かから逃げているような様子だった。

上から影が落ちてきたと思うと1人の男が日本刀で貫かれていた。

影はそれを抜き、一呼吸もせぬ間にその右隣の男の首を跳ね飛ばし、左隣の男を袈裟斬りにする。

そのまま奥にいた男の胴体を両断する。


「冬…ウィンターの方もそれで最後?」


少女が日本刀の主に話しかける。

ウィンターと呼ばれた日本刀の少女は、顔を上げて笑って答えた。

「はい、これで全部だと思います。先p…サマーの方も終わりましたか?」

「うん、こっちもこれで終わりだと思うけど…うん?」


サマーと呼ばれた少女はウィンターとの間に消しゴムがいくつか積み重なっているのを見つける。


「やば、ちょっとそこにそいつらの死体でもいいから投げなさい!覆い被さるように、早く!」

「は、はい!」


叫ぶと同時、2人の少女は近くに転がっていた男の死体を放り投げる。

それが消しゴムの山に覆い被さった瞬間、死体が爆発した。

少女たちが目を開けると全身血で濡れたお互いの姿が目に入る。


「ちょっとオータム!爆弾を色んなところに設置しないで欲しいんですけどぉ!」


サマーが叫んだ。

すると、サマーの後ろからコツコツと靴音が近付いてくる。


「そうは言ってもサマーちゃん、まず戦闘要員じゃない私が駆り出されてるのっておかしくない?」

「しょうがないでしょ、爆弾の設置なんてあなたにしかできないんですから。ただそれはそれとしてビルを壊す爆弾とは別に爆弾を仕掛けるのやめてもらえません?」

「えー、いいじゃない、そのおかげで大体殲滅できたようだし」


どうやら、別の場所でも同時に爆発があったようで銃声がピタリと止んでいた。


「いや、でもサマーが気づいてくれなければ私もサマーも死んでましたし、何より血だらけになってしまいました…」

「いや、ウィンターちゃん、血だらけなのは多分あまり変わらなかったと思うのだけれど…」

「というか他の階にいるミストまで殺してないでしょうね?」

「あー…それは…まああの子は運いいから大丈夫でしょ?」

「はぁ…あたしはミストを探してくる」

「あ、私も行きます!」


サマーとウィンターがその場を離れる。

それを見届けたオータムはスマートフォンを取り出し、電話をかけた。


「はいはーい、こっちはあらかた終わったわよー、春樹くーんじゃなかった、スプリングくーん」

『そうか、こっちも問題ない。他に要件が無ければ切るぞ』

「要件があっても無くても切るでしょ?ってもう切れてるや…じゃあ、私は早く外に出ましょうかねっと」



「さて、貴様が麻薬を流していた売人、そのリーダーだな?」

「……」


スプリングと電話越しに呼ばれていた青年は目の前の男に銃口を向けていた。


「どこで栽培していた?」

「……」

「誰からの依頼だ?」

「……」

「チッ、なんか答えたらどうだ」


スプリングはそう言って男を蹴る。

男はあっけなく倒れた。

倒れた男は口から血を流していた。


「猿轡を噛ませて後でゆっくり吐かせりゃ良かった…まあいい、これで依頼は終わりのはずだ」


スプリングは隣にいた男性に話しかける。


「ああ、麻薬密売人の構成員とリーダーの全滅、ご苦労だった」

「後はアジトの破壊だったか?…おい、オータム、やっていいぞ」

『はいはーい、じゃあドカンといくよー』


そう電話越しに声が聞こえたかと思うと地響きが鳴り、ビルが崩れる。

さっきまで騒がしかったビルが瓦礫の山になっていた。


「これで受けた依頼は全てだ、報酬をもらおう」

「ああ、そのことなんだが少し今は持ち合わせが無くてね…」

「何?話が違うじゃねぇ…がっ!?」


スプリングが男に蹴飛ばされる。

その拍子に落とした拳銃を男が拾う。


「すまないが、鉛玉で勘弁してくれないか?」

「チッ、ロクな死に方しねぇぞ、お前」

「ふん、なんとでも言うがいい」


男が引き金を引く。

だが、無くなったのは男の右手だった。

破裂した銃の破片が辺りに飛び散っている。


「暴発…!?なぜだっ!?」


男は無くなった右手を押さえて呻く。

スプリングは立ち上がって懐から薬を取り出して飲み、腰からもう一丁の拳銃を抜いて両手で持ち、男に突きつける。


「俺は手癖が悪くてな、まあ暴発を意図的にさせるようにするってのは結構難しいんだが。まあ、あれだ。人の武器は勝手に使うとバチが当たるって事だ」

「ま、待て、やめろ、私が悪かった!金なら払う!」

「知るか、テメーは俺を怒らせたんだ。もうこれ以降はない」


そういうとスプリングは引き金を引いた。

男の頭が破裂したように飛び散る。


「だから言ったろ、ロクな死に方しねぇってな。クッソ、割りに合わない仕事だった…ゴフッ…」


スプリングはそう呟くと、血を吐いて倒れる。

オータムを先頭にして、サマー、ウィンター、ミストがスプリングのところに走ってくる。


「春樹くん?春樹くん?大丈夫?」

「多分兄さんはいつも通り薬を飲んで倒れただけだと思います」

「良かったー、てっきり何かあったのかと…」

「ねぇ、とーか。わたしいきてた、ほめて?」

「いやいや、むしろ生きてるのが不思議くらいな傷の量でそんな事言われても…むしろ怒りたいくらいなんですけど…」

「じゃあはるきをはこんだらほめてくれる?」

「わかりました、褒めてあげますからそれだけはやめてください、兄さんをこれ以上傷つけさせるわけにはいきませんから」

「やったー」

「春樹くんは私が運ぶわよ?ほら、一番体力使ってないし」

「秋乃お姉さんに任せたらそれはそれで危なさそうなので私が運びます」

「ん?今お義姉さんって言った?言ったわよね?つまり私と春樹くんは結婚してもいいという事に…」

「言ってませんし、なってません」

「ちぇっ、冬香ちゃんのいけずー」

「それはそうと秋乃さん、あたしはあなたを1発殴りたいと思うのだけれどいいですかね?」

「えー、なんでよー?」

「あたしたちがまだ中にいるのにビルを爆破した件です!ギリギリ脱出できたのはほんと奇跡だと思うんですけど!?」

「えー、だってそれは春樹くんにやれって言われたから…」

「責任転嫁しないでください!もうちょっと待ってくれても良かったじゃないですか!」

「ごちゃごちゃうるせぇ…人が気持ちよく寝ているのに起きちまったじゃねぇか」

「あ、兄さん起きました?」

「ああ、もう大丈夫だ、歩ける」

「…肩くらいは貸しますよ?」

「助かる」


そのまま5人は車まで歩く。

ウィンターは運転席に座り、オータムとサマーはまだ言い争いだから一番後ろの座席に座る。

ミストはウィンターと一緒に真ん中の座席に座り満足そうにしている。

やがてウィンターの運転する車は『柊道場』と書かれた家に入っていく。

5人はシャワーを浴びて体の汚れを落とし、サマーは道場を出て隣の家へと帰っていった。

4人も道場の地下に作られた各々の部屋へと戻り、就寝する。


これは、そんな彼らがどのように戦っていったのか。

その活動記録である。

連載するかどうかは作者次第

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