表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人間が大好きな壊れたAIの話  作者: 四季 冬潤
第一章 リノ
8/17

第八話 初めての遊びです

前回までのあらすじ


外に興味を持ったAI、リノは体をゲットして王都に行きました。そして迷子の子のお母さんを見つけて、迷子の子――アリスちゃんの家に行くことになりました。

 アリスちゃんに誘われて彼女の家に来ました。ほとんど何もありません。

「ありがとうね、リノちゃん。うちのアリスと仲良くしてもらって。アリスには友達と呼べる子がいなかったのよ」

 そう、アリスちゃんのお母さんに言われました。私にとっても、初めての友達です。

「リノちゃん! なにしてあそぼっか?」

 と言われても、私は遊びなんて知りません。なので、何でもいいですと答えました。

「じゃあ、おにごっこをしよう! わたしがおにね!」

 鬼ごっこ……。うん、わかりません。

「その前に、鬼ごっこって何ですか?」

 少しの間を挟んで、アリスちゃんが答えてくれました。

「おにがほかの子をおいかけて、つかまったらおにがこうたいだよ!」

「……わかりました。でも、ここでは狭くてできないのではないですか?」

「うん。だから、いまからこうえんまでいくよ!」


 というわけで公園まで来ました。

「よ~し、はじめるよ! 10かぞえるから、リノちゃんはにげてね!」

「……わかりました」

「い~ち、にぃ~い……」

 アリスちゃんがカウントを始めたので、私は公園の端っこまで逃げることにしました。

「きゅ~う、じゅう! よ~し、おいかけるよ、ってリノちゃんどこ行ったの!?」

 おっと、公園の端にいるといろいろなものが邪魔をして見えないですね。なのでアリスちゃんから見える位置に移動します。

「いた! リノちゃん、まて~!」

 追いかけてきたので、全力で逃げます。スピードの差で、どんどんと差が開いていきます。どうやら私の性能は、魔法により最大級の底上げが行われているようです。

「ちょ、リノちゃん! はやすぎるよ~!」

 アリスちゃんが一生懸命に私を追いかけてきますが、全く追いつきません。しかも、何度か私とすれ違っていますが、全然捕まりません。流石に手加減しようかと思いました。


「はあ、はあ、はあ……。リ、リノちゃ……はやすぎ、るよぉ~」

 手加減をしたのですが、それでも私には勝てませんでした。

「もう、おにごっこはやめ! つぎはかくれんぼをするよ!」

 アリスちゃんが次の遊びを提案してきました。当然、かくれんぼも分かりません。

「かくれんぼはかくれたこをおにがみつけるあそびなの!」

 とりあえず隠れればいいのですか。何ともシンプルな遊びです。

「ねえねえ、ぼくらもいれてくれない?」

 と、別の子が入れてくれ、と話しかけてきました。男の子が3人と女の子が3人です。

「どうします、アリスちゃん?」

「いいよ!」

 あっさりと決定しました。


「鬼はあたしね! 42秒数えるから、みんな隠れて!」

 最初の鬼はアカネ・シラサギちゃんという孤児の子です。何故42秒なのか、あとで訊いてみましょう。

 隠れる場所は……木の上にしましょう。というわけで、木の上に上ります。うんしょ、よいしょ。

「39,40,41,42! よし、探すよ!」

 アカネちゃんが探し始めました。私は木の上に居るので、すぐには見つからないでしょう。

「ソルト、見っけ!」

 すぐに一人が見つかりました。隠れていたのは初めにアカネちゃんがいた木の後ろの茂みでした。

 そして一人、また一人と見つかっていき、残りは私とフィズという男の子だけになりました。

「フィズはどこに隠れたの? 全然見つからない」

 実はフィズも木の上に隠れています。今はちょうどフィズが隠れている木の下の茂みを探していますが、上を向いたら多分見つかります。

 そこで私は、妨害を仕掛けることにしました。手近な小枝を折り、フィズのいるところに投げます。木にぶつかって下に落ちてきます。するとそれに気づいたアカネちゃんが上を向きます。

「フィズ! 女の子なのに木に登らないの! スカートじゃないからまだいいけど、スカートだったらパンツが見えちゃうよ!」

 ……はい? 女の子?

「いいじゃん! ズボンなんだし!」

「ダメ! それに危ないでしょ!」

 ギャーギャーと、言い争いが始まりました。

「オレは絶対落ちないし! あとここ以外にいい隠れ場所があるのかよ!?」

「茂みの中とか、岩の後ろとか、後は木の後ろとかがあるじゃない! 鬼に合わせて動けば見つからないわ!」

「それじゃいつかは見つかるだろ! 俺は絶対に見つからない所が良いんだ!」

「そんなところあるわけないじゃない! 何、土の中にでも埋まる!? そこなら絶対見つからないわよ!?」

「はあ!? なんで土の中なんだよ!? 息ができずに死ぬわ!」

「じゃあ諦めなさいよ! 木の上も見つかるわよ! というかそれよりも、まだリノちゃんが見つかってないから、探さないと。フィズ、ちゃんと皆の所に行きなさいよ!」

「ああもう、わかったよ! 他の危険がない所に隠れればいいんだろ!」

 フィズ……フィズちゃんは声を張り上げながら皆の所へ行って行きました。

「まさかとは思うけど……リノちゃんも木の上じゃないよね?」

 そのまさかです、はい。あ、目が合いました。

「ちょ……ちょっと! あんたもか!! 思いっきりパンツ見えちゃってるから!!」

「……てへっ?」

「てへっ……じゃ、ねえぇぇぇぇぇぇえ!!!」

「ちょ、引きずりおろそうとしないでください! 落ちます、落ちますから!」

「木の上は禁止! 危ない所も禁止! いいわね!?」

「はい……」

「わかったならよし」

 その後、こってりと絞られてしまいました……。


 何回かかくれんぼをして、その後に隠れ鬼という遊びをして、みんな帰る時間となりました。

「たのしかった! またあそぼうね!」

「でもリノちゃん! 木の上はダメだからね!」

 更に釘を刺されます。もうしませんってば……

「じゃ、あ、また今度、ね?」

 こっちは正真正銘の女の子、シルフィちゃんが言いました。

「はい、また今度です」

 さて、帰ってこの体を元に戻して……。いろいろとやりたいことだらけです。いえ、体を戻す前にネット回線のチェックをしておきましょう。他の回線がある気がします。

どうも、四季冬潤とかいう者です。

やっと少しづつ時間が取れるようになってきました。

今回から1話分を多くしていき、その代わりに投稿ペースを落としていきます。現段階で遅いとか言った人は誰ですか? 魔界に〇ラキーで転生させますよ?


さて、本編では語られないであろう設定をここで紹介しておきます。

実はリノの人格(?)は魔法によるもので、彼女に搭載されているCPUはあまり性能が高くありません。

それと、この話で急激にリノの解説のレベルが上がっているのにお気づきでしょうか?

第三話で更新データをインストールしてましたが、その中に辞書のZIPファイルが入っており、これが公園に着いたときに解凍・読み込み完了して、その段階から感情以外に対する知識が付いたため、語彙レベルが高くなりなした。


次回は9月10日前後を予定しています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ