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人間が大好きな壊れたAIの話  作者: 四季 冬潤
第一章 リノ
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第七話 迷子とAI

前回までのあらすじ


肉体をゲットして、外に出たリノは王都に入りました。

そこである少女と出会います。

「迷子ではありません」

 私はただ、事実を述べます。

「ほんとー? おかあさんはいっしょじゃないのー?」

「私に母はいません。父と呼べる方はいますが」

「おとーさんはどこにいるの?」

「知りません」

「まいごじゃん!」

「自分で帰れるので迷子ではありません。そういうあなたは迷子ではないのですか?」

「そんなことないもん!ほら、ここにおかーさんが……ってあれ!? いない!?」

「貴方の方が迷子じゃないですか」

 ついさっき、この子のお母さんらしき人間がどこかに行ってしまったのを見たので、そう告げてみたのですが、正解だった様です。


「どどどどうしよう!? お、おかーさん! おかーさーん!!」

 ……私には関係のないことなので立ち去ろうとしたら、胸のあたりが痛くなりました。離れるなという事でしょうか? 胸の痛みは一向に収まる気配がありません。

「仕方がありません。一緒に探してあげます。ほら、泣かないでください」

 人間の少女の目から、何かがしたたり落ちます。これが、涙というものでしょう。私は人間ではなくAIなので泣けないですが。

「ほ、ほんと?」

 少女が泣きながらこっちを見ます。

「本当です。ですから、泣かないでください」

 少女の顔が、一気に明るくなります。

「あ、ありがとう! わたしはアリサって言うの! あなたのなまえは?」

「……リノです」

「よろしくねリノちゃん! おかーさんをさがすぞぉ!」

「ええ、頑張りましょう」

「うんっ!」

 ……一気に元気になりました。人間はやっぱりよく解りません。

 いつの間にか、胸の痛みも消えていました。何だったのでしょうか?


「おかーさーん! どこー!?」

 私たちは今、アリサちゃんの母を探して王都内をフラフラしています。ですが、なかなか見つかりません。

「おかーさーん!」

 探し始めて1時間くらいでしょうか。アリサちゃんの声が枯れてきました。

「大丈夫ですか? 声が枯れてきてますよ」

「……うん、だいじょーぶ」

「……そう、ですか」

 元気もなくなってきていますし、あまり大丈夫だとは思えないのですが……。本人がそういうなら、仕方ありません。


 さらに20分が経過しました。

「……」

 もはやアリサちゃんは無言です。そろそろ休憩すべきですね。お金は……これですかね?

「アリサちゃん、一旦休憩しましょう。そろそろ限界でしょう」

「……うん」

 私たちは、近くの出店で飲み物を購入し、噴水の縁に腰かけて飲みます。私の体は飲み食い可です。なんてったって、生きてますからね。

「……おいしい」

「よかったです。……あ」

 アリサちゃんのお母さんらしき人間を見つけました。うん、間違いありません。私とアリサちゃんが出会ったときにいた人間と同一人物です。


「アリサちゃん。あの人じゃないですか?」

「えっ? あ、あ、お、おかあぁぁぁさあぁぁぁんっ!!」

 あたりでした。アリスちゃんがその女性に向かって突進していきます。

 ここからでは周囲の音で何を言っているのか解りませんが、とにかく見つかってよかったです。

 ……胸が弾むような、何とも表現しがたい感じがします。何でしょうか、これは?

「ありがとうございますリノさん! どこに行ったのかと心配で、もう気が気ではありませんでした。本当に、ありがとうございます!」

「ありがと、リノちゃん!」

 ……ああ、そうか。

 私は二人の顔を見て、唐突に理解しました。

 私もきっと、この二人と同じ顔をしているのだろうな、と。

 そしてそれは、私にとっては異物でもありますが、大切にしなければならないものだという事を。

「お二人が無事でよかったです。では、私はこれで」

「ちょっとまって!」

 もう立ち去ってもいいだろうと思い、背を向けたのですが、呼び止められてしまいました。

「わたしのうちにおいでよ! いいよね、おかーさん?」

「ええ、いいわよ。どう、リノちゃん? 少しうちで遊んでいかない?」

 ……まあ別に、何かがあるわけでもありませんし、いいでしょう。

「わかりました。少しだけお邪魔いたします」

どうも、四季冬潤とかいう者です。


リノが感情について理解し始めました。ですが、それが正に傾くか、負に傾くかは分かりません。


次回は8月6日(火)の投稿を目指します。

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