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54話 スーツ姿の男達

 次の日もスーツ姿の男達は校門の前で観察を続けていた。 登校時に美紀が再び絡みに行くと苦笑いして去って行くが、教室に入って窓から覗くと、また定位置に戻って登校する生徒を見ている。


「しつこいなぁ…… 」


 昼休みになってもスーツ男達は、さすがに定位置にはいなかったが校舎の周りをウロウロ、グラウンドを覗いたりしている。 俺達は屋上で美紀の弁当を囲みながら、その様子を観察していた。


「迷惑行為で通報しておきましょう。 生徒達も気味悪がっていると報告もあります 」


 ゆかり先輩はすぐにスマホで警察に連絡を入れている。


「春君の言った通り、本條恵が通報したんだろね。 ここの生徒って分かってるんだ 」


「ああ…… 」


 また本條恵に怒りがこみ上げてくるが、もう短気は起こさない。


「あっ! いたいた! 」


 屋上の入り口から絵里が顔を出した。 足は少しずつ回復しているらしく、今日は調子良さそうだ。


「どうした? 」


 絵里もまたスーツ男達が気になって俺を探していたという。


「今朝学校の前でスーツの刑事さんに聞かれたからさ。  やっぱりあたしを助けた時に目撃者がいたんじゃ…… 」


「 お前のせいじゃない。 気にするなよ 」


 そうか…… 今日の男達は男子も見ているような気がした。 本條恵にばかり気を取られていたが、新たな情報を仕入れたと見るべきか。


「さんきゅ、絵里。 助かる 」


 『うん』と微笑んで頷く絵里。


「では、私を含めてスーツのおじ様方には接触しない方がいいですね。 様子を見ながら、今後の対策を練りましょうか 」


 ゆかり先輩の言葉でミーティングはお開きになる。 絵里と一緒に教室に戻った所で絵里に声を掛けられた。 


「春翔、今日また病院付き合って欲しいんだけど 」


「ん? 痛むのか? 」


「ううん、定期検診。 今回大丈夫なら多分湿布貰って終わりだと思うから 」


 やれやれ、すっかり荷物持ちだな。 でも絵里も本條先輩に顔が知れてしまったし、スーツの男達の件もある。 ゆかり先輩は蘇我がいるし、美紀は…… 心配ないだろう。 絵里は一人じゃやはり心配だった。 




 授業を終え、絵里の帰り支度を待って教室を出る。


「あらっ! 二人でお出かけ? 」


 出入口でクラスメイトの飯田と山野に声をかけられ、絵里は『病院なんだ』と答える。 二人は絵里と俺の顔を見比べて、『おめでとう!』と二人揃って口を押さえていた。


「ん? …… えっ! 違うよ! 産婦人科じゃなくて整形外科! 整形! 」


 二人とも足の怪我を知ってるくせに、単純にいじりたかっただけなんだろう。 絵里は真っ赤な顔で反論し、二人は更に絵里をいじる。 


「なーんだ、山ちゃんが『最近絵里が元気ない』って言うから心配しちゃったじゃん! 」


「なかったよー! 飛島君と別れたのかと思っちゃった 」


 飯田も山野も絵里を心配していたわけだ。 二人の中で俺と絵里が付き合っている事になっているのは意外だが、心配してくれる友達がいるのは俺としても嬉しい。


「飛島! 近江先輩と仲良くなれたからって、絵里をほったらかしはダメだかんね! 」


「うぇ!? 別に俺は…… 」


 反論しようとした途端、二人は『カラオケ誘おうと思ってたのにー!』と背中を向けて帰っていく。


「…… あいつらに感謝しとけよ? 」


「なにそれ、アンタはあたしのお父さんか! 」


 友達を大事にすれよという意図を汲み取った絵里と漫才をしてみる。 絵里のこの環境、まもってやらないとな……





 病院方面へ向かうバスの停留所までの間、スーツ姿の男性一人とすれ違ったが声を掛けられることはなかった。 絵里はスッと身を寄せてきて耳打ちしてくる。


「今朝あたしに話かけた人だよ。 まだうろうろしてるんだね 」


 グレーのスーツで、中年ではあるが服の上からでもわかるがっしりした体格。 綺麗にまとめられた頭髪、鋭い眼光。 研究関係者というよりはボディーガード風な印象を受ける。


「絵里、あれホントに研究関係者だと思うか? 」


 ちょうど到着したバスに乗り込み、後部座席の窓からじっとスーツの男を見据える。


「違うと思う。 あんなマッチョ、どう見ても肉体派だよ 」


 ということは、俺がクローンだとバレた時には力ずくでも捕まえる可能性が出てきた。 


「秘密組織? なんてそんなドラマみたいな設定あるの?  」


「知らねぇよ。 俺の正体はトップシークレットだからな…… 政府の一部の組織絡みかもしれない 」


「なんかカッコいいねそれ! 」


「バーカ、俺達ヤバイ状況なんだぞ? 」


 自分で言っておいてなんだが、もう俺一人の問題ではないと知る。 絵里も美紀もゆかり先輩も…… それにはやはり本條恵を止めなければと、改めて決意を固めたのだった。

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