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狂った紫陽花の手記  作者: 青空
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凍てつく初冬


霊能者に会ってきたと告げられたのはいつだったか。ふたりとも鬼灯はやめておけと言われたらしい。

私もそう思う。

水仙はその言葉で新しい恋をすることを決めたらしい。いろんな人に声かけてみるそうだ。

それが後々の、バイト先の男性に襲われかけただとか、サークルの男の先輩にくっつきすぎて怖がられるだとかに繋がるんだけどね。

そういえばこの時期に椿と水仙とお泊まり会をしたっけ。その前のカラオケで鬼灯を呼ぼうと言われて血の気が引いた。

やって来た鬼灯は椿に手を出そうとしてて、それを水仙が睨んだり、鬼灯にひっついて止めようとしたりしてて。椿はサラリとかわしてたけど。

鬼灯の椿に向ける視線に気づいてしまってゾッとした。鬼灯に好意を寄せてる本人たちには言えないけど、アレは私の知ってる恋してる人の目じゃなかった。

だって三日月型に細められた目はねっとりしてて、すでに執着と独占欲が滲んでたんだもん。気づかない方が幸せだと思った。

…とてもカラオケは楽しめなかった。

この時期、サークルに入り浸っていた私たちは花水木も含めた4人でつるむことが多くなっていた。

花水木はどうやらラーメン教の狂信者らしく、ご飯に行く時は必ずラーメンだったっけ。

その花水木とたまたまふたりきりになった時に打ち明けられた。水仙から妙なメッセージが届くようになったと。

見せられたそれは、『にゃー』とか『かまってー』とか、何語かわからないものもあれば、一応日本語のものもあった。

それから、椿と鬼灯のことも。彼も何か不穏なものを感じ取ったのか、別れたほうがいいとしきりに言ってたっけ。

そしてクリスマスの季節、事件が起きた。

連絡が来たのは花水木からだった。

最初は椿、水仙、花水木の3人でカラオケをしてるという楽しげな報告だった。

誘ってくれないことに若干の寂しさを感じつつ、仕方ないと諦めた。

何も話してもらえない私だ、3人の仲の良さを羨むだけ無駄だし。ひとりだけ遠方に住んでるっていうのもあったんだろうし。

で、そこで事件が起きたんだよ。

『鬼灯が水仙と二股かけてた。修羅場に巻き込まれてる』

そんな花水木のメッセージに我が目を疑った。

それ以降どんなやりとりをしたのかは覚えてない。ただ、そろそろいろんなものが終わる時期が近づいて来ていることを感じ取っていた。


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