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狂った紫陽花の手記  作者: 青空
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不穏な秋空


空気が澄んで、空がよりいっそう高く、青く見える季節がきた。

これくらいの時期に、サークルでコテージに泊まりに言ったんだよね。あの時は楽しかったなぁ。

人狼して、初めてお酒飲んで酔っ払って、先輩が大量に作った焼きそば食べて。平和だった。

あ、そうそう。この日に初めて花水木に出会ったんだっけ。雰囲気が優しい人だった。

同級生の女の子に蛇の死体を見せないために嘘ついたのをみて、良い人だと思った。

その花水木がこのコテージで楽しげに話す椿に惹かれてたなんて気付かなかった。そんな椿はコテージから少し離れたところで鬼灯の友人と電話してたっけ。

とにかく、何も知らなかった私は平和で楽しいこんな日が続けばいいと願ってた。

夏休みが終わり、授業が始まった。

この頃には水仙は鬼灯の本気に気づいてたんだろう。最近黙り混むことが多くなった。

一方椿は、水仙の彼氏だっていうことを考えて鬼灯の告白を断ってるみたいだ。それでもアピールをやめない鬼灯のしつこさには少しだけ感心する。

だけど。

今日も賑やかなSNSグループ…面倒くさいから腐海って言っちゃおう。腐海の鬼灯と水仙、椿の様子を見てモヤモヤとした気持ち悪さが湧き出てくる。

椿と鬼灯は絶対付き合わない方がいい。

そんな予感がした。だから少しでも邪魔してやろうと、鬼灯のメッセージに対抗してみることにした。

『椿は私のもの!取らないで!』

まあ、効果なんてなかったけど。椿には、

『私は誰のものでもありません』

って窘められたし。

だってなんか嫌だったんだもん。

そんなことが続いて、ついに。鬼灯が水仙と別れた。

椿が誰かと付き合ってる人とは付き合えないと言ったのが関係しているらしい。聞いた時、ゾワリと鳥肌がたった。なんでかはわからないけど。

秋が深まる頃、椿が鬼灯と1ヶ月お試しで付き合うことになったと告げた。その瞬間、やばいという言葉が頭を埋め尽くした。

「お試しでもやめといた方がいいと思う!」

一応そう言ってみたけど、

「大丈夫。1ヶ月経ったら諦めてもらうから。それに私もなんとなく気になり始めてるし」

と言われたら何も言えなかった。

その頃から、水仙と椿がふたりで出かける…もとい、個人面談じみたことをすることが多くなった。

事情はほとんど知らせてもらえない。水仙の知り合いの霊能力者にふたりで会ってくると聞いた時にはだいぶ疎外感を感じたな。

でも、大丈夫。まだ大丈夫。また元に戻れずはず。

そう自分に言い聞かせて、

「何も話せなくてごめん」

と告げる水仙に、いいよと笑ってみせた。




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