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1/250,000  作者: y
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 状況とは不思議なもので、さっきまで普通に話していた相手とも急に話しづらくなる。彼女と二人きりのこの状況で話題がなかなか見つからない。それでも必死に考えをめぐらせる。

「今日は楽しかったね。」彼女の方が早かった。

「う、うん。そうだね!楽しかった。」全力で普段通りを演じつつ答えた。

「誘ってくれて、ありがとう。うれしかった。」恥ずかしさからなのか、少し声が小さくなっているのがなんだか可愛らしい。

「こっちこそ、来てくれてありがとう。」僕も同じだろうが、夕日をうけて、彼女の顔が赤く見える。

「帰り道が一緒になる確率ってどれくらいだと思う?」質問が唐突すぎる。

「え?確率?こっちの方向から学校に来てる人を探せば分かると思うけど・・・」彼女との温度差感じ、間違ったと分かった。

「実際のデータが知りたいんじゃないよー、朝永くん現実的すぎだよ。もっとロマンを感じられないとモテないぞ!」くすくす笑いながらダメだしされた。ごもっともだ。

「じゃあ、20%ぐらい?」僕なりにロマンを考えて出した答えだった。

「君のモテ期はまだまだ先になりそうだね。」少し残念そうに微笑んでいた。僕には正解が分からなかった。

「じゃあ、正解は何%なの?」ただ単純に正解が知りたかった。

「なに言ってるの?正解なんて分からないよ。70%かもしれないし、20%かもしれない。でも私はすごく低い確率だと思う。」正解が分からないのにクイズを出すなんて、彼女はどこか不思議な人だ。

それから僕はずっと確率のことを考えていた。

「朝永くんは部活とかするつもりないの?」僕の思考が計算から会話に切り替えられた。

「うん、そんなに興味ある部活もないし。」

「私もそんな感じ、一緒だね。」この時、一緒という言葉がすごく心地よく聞こえた。

「だね。じゃあ、明日も、、」ここまで言いかけたが、最後までは言えなかった。

「ん?明日も何?」不思議そうに彼女が尋ねる。

「いや、なんでもない。」下手なごまかし方だとは思うが、これしか出来なかった。

「ふーん、じゃあ私こっちだから。また学校でね。」元気よく手を振る彼女が、夕日に照らされ、なんとも神秘的な美しさだった。

「うん、また学校で。」僕も軽く手を振り返した。オレンジ色の大きくて綺麗な夕日が、僕たちのいるこの街を照らし続けていた。

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