9/29
07 何が何だかわからない・・
キィィキッ……
「あっ!」
弱々しい自転車のブレーキ音が聞こえて振り向いてみると雨宮ななみが自転車に乗ったままこちらを見つめていた。
「雨宮さん、どうかしたんですか?」
「気が変わった!」
「えっ?」
相変わらず何を考えているのか? 無気力そうな顔をしている彼女だったがその声はしゃっきりとしていた。
「あんたの事手伝ってあげるよ」
「……はぁ、どうも」
僕は小さく頭を下げる。
僕にとっては最高に嬉しい言葉が聞けたのにいきなりすぎて感情がついてこなかった。
「ファミレス、行く?」
「はい!」
雨宮さんの自転車の後ろに座って僕たちはファミレスに向かう。
フェミレスについて普通なら二名様ですか? と店員が聞いてくる場面なのに目の前にいた店員は全く僕達に気づかないでいる。
「適当に空いている席に座るよ」
雨宮さんはさっさとソファのある席についた。僕もその向かいに座る。
「はい」
雨宮さんがメニューを渡してくれた。