01 それは覚めない夢
僕は夢を見ている。ここは小学校の時の教室、僕はその一番後ろの掃除用具の前に立っていた。懐かしく教室の中は古くなっているわけでもないのに黄色く色あせてしまった写真のように見えた。
風が吹き開いていた窓のカーテンがゆらゆらと動いた。
ちょうどいい久しぶりに学校の外の景色を見てみたい、ほとんど忘れていてどんな景色だったのか思い出す事ができる。
「ん……」
カーテンが邪魔で見えない。どけようとしてもカーテンは決してそこをどかなかった。どうやら夢とは自分の記憶の延長上に過ぎないもの、記憶にないことは見る事が出来ないようだ。
僕はひたすらそこに立ち尽くした何をするわけでもなく呆然と時間が過ぎるのを待った。まあ動こうにも今の自分の体を自由にコントロールできそうに無かった。
ピピッ ピピッ ピピピッ
どうやら時間が来たようだ。無意識に手を伸ばしベッドの横に置いていた腕時計のアラームを止めた。
「んんっ……朝か……」
ゆっくりと体を起こす。まぶたはまだ重く、髪は寝癖だらけだ。
「ふあぁぁ……久しぶりに長い夢を見たな」
僕はパジャマを脱いで学校の制服に着替え部屋を出て朝食を食べに下に降りる。
「あれ? 今朝は誰もいないのか」
いつもより静かな自分の家に何気なく両親の姿と誰かの姿を見回し探したが誰の姿もなく別にそんなに気にもかけず僕は口にパンを銜えながら玄関にしゃがみながら汚れた黄色い靴を履き手が汚れないように小指と薬指で靴紐を結んだ。
「……あれ、僕は今からどこに行くんだ?」
玄関の扉を開け外に出た僕は家の前で立ち尽くした。