表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空想世仮居  作者: ナベのフタ
第一章 夢の始まり
21/29

18 雨宮の思い

「私はこの世界に来てからはものすごくマイペースに見えたでしょ。でもそれは嘘の私で本当の私はいつも何かに遠慮しているの。気を使って周りに合わせて……」

「そんな雨宮さんが?」


 僕はようやく口が開けた。あまりにも信じられなくて。


「でもやっぱりマイペースにもなりきれなかったな。渡くんがこの世界で何も知らずにいるなんて……」


 あっ、そういえば雨宮だけだった僕の手助けをしてくれたのは……

 僕は雨宮に本当に感謝しなければいけないと思った。


「ごめん、雨宮の大事な時間を俺なんかのために使わせて……」


 けれど口から出たのは感謝の言葉よりも謝罪の言葉だった。


「悪いと思っているのなら一つ頼み事をしてもいい?」

「えっ? いいよ! なんでもする!」

「そう、なら今から私が話すことを聞いたら馬鹿だなって、私を責めてくれる?」

「……分かった」


 雨宮がこれから何を話すつもりなのかは分からない。僕はそれでも雨宮のいうことを聞いてあげたかった。


「私はこの世界に来る前に二人の友達がいたの。でもその二人とはあまり考えが合わなくて私のほうが合わせていたの。よくある話でしょ」


 雨宮は小さく微笑んだ。


「小さい頃からそうだった。私は人に嫌われるのがすごく嫌で、でも自分に嘘をついて我慢ばかりして結局自分が一番自分を傷つけて……頭じゃ分かっているのに、それでも人に遠慮して自分を隠してた。だからめだか文集を学校で書くときにあの章を書いたのに……」


 すると雨宮は両腕で目を隠して震える声で続けた。


「本当は……ただのんびりしたいって書けばいいのに……それなのに私は他にも何か書かなきゃ……ひっぐ……って、だから釣りって書いたの。したこともないくせに……のんびりしてるように見えたから……でも、やっぱり何もせずにのんびりしたいって書けばよかったのに」


 雨宮は泣いて抑えている腕から涙は溢れこぼれていく。

 僕は雨宮の頼みを聞いてあげた。


「バカ……だな」


 僕の頬に涙が伝った。


「そう……私バカなのー」


 雨宮は涙を流しながら笑った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ