「ごめんね」
2
「こ、こ……?」
「あぁ。ここだ。恐らく一人暮らしだろうしな」
深夜。
大抵の人は寝る時間である。
俺は、用意しておいた針金を鍵穴に差し込むと揺する。
すぐに鍵は開いた。
全く……不用心だな。
チェーンがされていない。まぁ、こちらにとっては好都合だ。
「いいか、シン。まず俺が入るから、お前は後ろから鉄パイプをどこかにぶつけないようにゆっくり来い。それから、もし俺が危険な目に遭ったらお前は逃げろ」
「で、でも____それじゃ、リスが……」
「二人とも死ぬより一人でも生き残った方がいいだろ」
そういうと、俺は何かを言いたげなシンを尻目にこっそりと玄関に侵入した。
足音を消すために玄関で靴を脱いで、近くにあった靴箱に手を添えながら上がると、暗闇の中を鉄パイプ片手に進む。
そして、俺は後悔する。
何故深夜の暗闇の中玄関や靴箱の位置がどこかわかったのか。
答えは一つ。
誰かが電気を付けていたのだ。
気づいた時には遅かった。
マズイ、このままじゃシンまでやられる____!
「シン、逃げ____」
「ごめんね」
そう耳元で囁かれたかと思うと、次の瞬間、鉄パイプを持っていた右腕に激痛。
「ぐっ……!」
どうやら腕を折られたらしい。そして、しゃがみ込もうとした俺の背中をさらに誰かの手が押した。
俺は押されるがままに前に顔から倒れる。
その時、倒れた角度的に俺はギリギリ見る事ができた。
いつもはニコニコヘラヘラしているシンの、無表情を。
シンはダッシュで俺の腕をへし折った男の所まで一瞬で間合いを詰めると、そのまま男の顔めがけて鉄パイプを振り下ろす。だが、そのパイプは寸前で金属バットによって阻まれた。
金属音が響く。
「軽い攻撃だなぁ」
そんな声が聞こえたかと思うと、今度はシンの右腕が折れた。
ボキリと。
呆気なく、儚なく、へし折れた。
シンは悲鳴を上げようとしたが、その前に男の手刀がシンの首を打ち、シンは気を失った。
そして俺も、痛みで気を失った。




