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短編集【BL】  作者: 朝比奈 黎兎
雨降って・・・・
6/14

【下】

二人の恋の行方は―・・・・・・・・・

そのままの状態で、2人は雨の中を下校していた。雨はやはり弱まる様子を見せない。


「結構濡れねーもんだな。」

「そうだけどさ・・・・いつまで俺の事抱き寄せてるつもりだよ・・・。」

「こうしてねーと洸まで入んないじゃん。・・・嫌?」

「や・・・じゃないけど・・・・お前は平気なのか?」

「俺?俺は別に?洸なら平気。」

「俺なら平気ってどういう事だ?」


此処まで言っても分かんないかぁ・・・・どんだけ鈍感なのさ。いや、天然ってことにしておこうかな。


「直幸・・・・・・。」

「何?」

「あとで宿題貸して?」

「もう、宿題写す気なのか・・・・。」

「ん・・・・眠いから、帰ったら寝ようかなって・・・宿題出来たら電話ちょうだい。」

「何なら今からこのまま家帰って一緒に宿題やろう。」

「はぁ?なんでそうなんの?俺眠いんだよ・・・・。」

「今日も遅刻ギリギリまで寝ててよく言うよ。」


朝に弱い洸を起こしにいくのは直幸の日課だった。


あの寝起きの顔がたまらなくやばいんだけどなぁ。洸を起こしにいく役はだれにも譲れない。まぁ、洸はいつだって可愛いけど。


「なぁなぁ、洸って・・・・・・・・・・・・・やっぱいいや。」

「なんだよ、自分から聞いておいて。気になるじゃんか。」

「・・・・・・・洸って好きな奴とかいんの?」

「は・・・はぁ!?何いきなり・・・・。」

「いや、ふと思っただけ。」


嘘。いま一番の悩み。あんまり洸のそういう噂聞かないんだよな・・・・。いるって噂も、いないって噂も・・・聞いたことないけど・・・・・。


「・・・・・・・・・・・いるかもしんない・・・・。」


うはぁ・・・・一番聞きたくなかった言葉・・・。そりゃそうだよなぁ、洸だってもうれっきとした高校生だし?つかもう三年だし?俺もそうだけど。・・・・・・いるよ・・・・なぁ・・・。


「そう言う・・・直幸は?」

「俺?いるよ。」

「はっきりと断言するんだ。」

「まぁな。」


しらなかった。いるんだ、直幸にも。誰なんだろ・・・でも、告ったって絶対直幸ならOKもらえると思うんだけどなぁ・・・・。かっこいいし、男らしいし・・・実際コクられてんの見たことあるし・・・・。うらやましい・・・同じ男としてうらやましい。コクられた事なんかないぞ俺は!!


「ふーん・・・・・そっか・・・・。そうなんだ・・・。」


そうつぶやいて、洸一は黙ってしまった。


「洸?」

「ね、告んないの?」

「はぁ!?」


なななな・・・・なにいいだすんだこいつ!!


「いや・・・だから、そのすきな人に告ったりしないの?直幸なら絶対いいってその子言ってくれると思うよ。なんでしないの?」


なんでって・・・・言えるかアホ。


「良いだろ別に。俺の勝手だろ。そう言うお前はどうなんだよ。さっきいるかもしんないとか言ってただろ。」

「ん・・・・だって・・・俺じゃ絶対無理だもん・・・・。」


やや顔をうつむかせてそう言う。珍しい、洸一がそんな態度を取るなんて。


「わかんねーよ?お前だって、見込みあるかも知んねーじゃん。」

「無理だよ・・・告ったらその場で・・・・嫌われるよ・・・・絶対・・・。だったら俺・・・・このままでいいから・・・・。」

「はぁ?」

「だって・・・その人が俺の事見てくれる要素・・・皆無だし。」


こいつがそこまで思いつめる相手ってどんな奴だよ・・・・


「俺なら速攻でOKだすのによ・・・・・。」


思わず口からこぼれた。しまったと、慌てて口をつぐむ。


「直幸・・・なんかいった?雨の音うるさくて聞こえないんだけど?」

「い・・・いや・・・別に何も言ってない。」

「そう・・・。」


セーフ。ホントに今日、雨降ってて良かった。マジ神様ありがとう。俺にとってはこれは恵みの雨だ。だっていま洸は腕の中にいるんだ。


ホントは全部手に入れたいけど、こいつには好きな人いるって言うし・・・つか、俺が抱いてるこの気持は、成就しないに決まってる。だから俺はこのまま片思いでいい。陰ながら思ってるだけでいい。洸が幸せになるならそれでいい・・・いいんだよ・・・。


「直幸が・・・好きな人ってどんな人?」

「は?聞いてどうすんの?」

「何となく・・・気になっただけ・・・。言いたくないなら言わなくていい。」

「目に入れても痛くないほど可愛い奴だよ。」

「何そのおじいちゃんみたいなセリフ。今何歳だよ。」

「お前と同い年だ。」

「俺爺じゃねーよ。ふーん・・・可愛い子・・・かぁ・・・・。そっかぁ・・・。」

「なんだよ。」

「ううん、可愛い子なら直幸とお似合いだなぁって思っただけだよ。なぁなぁ、告っちゃいなよ。」

「んな簡単に行くか。」

「えーなんでだよ。直幸なら大丈夫だって、俺お墨付きだすから。」


そんなお墨付きいりません。


「マジでいってんのかよ?」

「大マジ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


そうこうしているうちに二人の家の前に来ていた。ひとまず洸一の家の玄関前に来る。


「一応ありがとう。」

「んだそりゃ。」

「だって・・・俺待つ気だったし・・・それに・・・・。」


いろいろ聞けたから・・・なんかもう満足。うん。


「ったく・・・今度はもうほっとくかな。」

「とか言いつつ、いつも俺の世話がかりだけどな。」

「少しは自分でしろ。」

「出来たら世話ないっての。じゃ、後で宿題待ってるからな!!」


そう言って洸一が玄関に入っていこうとする。直幸は思わず幸一の手を取ってしまった。


「何?」

「お前さぁ・・・・・ニブ過ぎ。天然なのも良いけどさぁ…もう少し鋭くなってほしいって思うわけよ。」

「????」


ずいっと、直幸は洸一の耳元に口を近付ける。


「俺が好きなのは、お前だよ・・・洸。」


そういって、直幸は隣の自分の家に帰っていった。玄関先で取り残された洸一は、へたりとその場に座り込んだ。


「ま・・・じで・・・・?」


うそだ・・・・うそ・・・・そんなの・・・・こんなのあっちゃダメだろ・・・・



でも・・・・










うれしい











「って・・・・宿題どうしろっていうんだよ・・・・・まさか・・・返事言わなきゃ貸してくれないとかないよな・・・・え・・・う・・・・うう・・・うーん・・・・。」


隣に住んでるのにそこへ行くのが果てしなく遠く感じられる


でもいつまでもこうしてるわけにもいかないし、それに自分だって・・・・


ぺちぺちと自分のほっぺたをたたいた洸一は、鞄を家の中にほおり投げ、すぐに雨の中へ駆けだした。


目指すは隣の家にいる幼馴染


もちろん宿題の為だけでなく


さっきの返事を言いに














「俺も好き!!!!」




外とは裏腹に俺らの心は快晴だった。


                               ~終~


うはぁ・・・書いててこっちが恥ずかしい。


あんま読まないでほしいなんて言ってみる。でもここに書いてちゃ遅いか・・・。


いつの間にか好きになってたんだよっていう幼馴染のお話でした。

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