【上】
長いです。
なので上下に分けました。
ざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
「うげ・・・・マジ最悪だし。雨降るとか聞いてないっつーの・・・。」
いや、確かに朝の天気予報のお姉さんは言っていた。けど、それを朝が弱い俺が聞いてるかどうかは話は別だ。うん、別だ。聞いてなんかあるわけがない。
お姉さんごめんなさい。
それよりもだ、今最悪な状況であるのは馬鹿な俺でもわかる。ぽりぽりと湿気でさらにひどくなりつつある癖っ毛を掻く。どうやって帰れって言うんだよ。これも全部委員会が長引くから悪いんだ。いや・・・そうなったのは俺のせいでもあるかもしれない。でも、だからってこれはないでしょ神様!!なにこの天罰。家までは急いでも十五分はかかる。ただでさえ、もうくたくたなのに・・・走れって言うのか・・・。
「だって、もうみんな帰っちゃってるんだもんなぁ・・・薄情者め・・・。」
「洸?なにやってんだそんなとこで。」
そんな声がして思わず後ろの下駄箱の方を見ると、そこにいたのは幼馴染の荒川直幸。まだこんなとこにいたことに、洸こと橘洸一は驚いた。
「直幸・・・おま・・・なにしてんのこんな時間まで。」
「俺?図書室で本読んでたらいつのまにか寝てて、さっき起きた。」
「アホじゃん。何やってんだよ。」
「時間つぶそうと思ってたんだよ。」
「なんで?」
「なんでって・・・・・・。」
お前を待ってたからなんだけど・・・・・。
「直幸?」
「つか、洸なにしてんの?帰んねーの?」
「え・・・・見て分かんない?」
「・・・・・・・・・ははーん?傘がないんだ。」
正解だこんちくしょう。
「そう言うお前だってもってないじゃん。」
「ないよ?だって雨降るなんてしらねーもん。朝は弟にテレビ独占されて歌のお兄さんお姉さん出てくる奴見てたからな。」
「どうすんだ?走って帰んの?」
「そうすっかなぁ・・・・洸も帰るだろ?走って。」
「ん-・・・俺いいよ。もうちょっと弱まってからで。」
「また走るのめんどくさいとか言うんじゃ・・・・・・・・。」
「疲れたし・・・濡れるのやだ。直幸先帰っていいし。俺一人でここいるから。」
そういって洸一は膝を抱えてその場にしゃがみ込む。だが、それは少しの間だけだった。むぎゅっと襟元をつかまれ、直幸によって力づくで立たされた。
「ぐへぇ・・・なにすんだよ!!」
「だめ、一緒に帰るぞ。」
「はぁ?俺はここにいるって言ってんだろうが!!」
「あほ。そんなお前を此処に一人で置いていけるか。危なっかしい。」
「危ないってどういう意味だよ!!」
「いろんな意味で危ない。俺帰ったら誰も助けてくんねーよ?」
「意味わかんねーよ!!はなせぇ!!大体、俺直幸みてーに運動能力ねーもん。」
「誰が走って一緒に帰るっつったよ?独りで帰るならそうだって言ったけど、お前がいるんじゃそんなの無理だろうが。」
「じゃ・・・どうやって・・・まさかこの中歩いて帰るとか言うなよ?」
「歩いて帰るに決まってんだろ?」
アホじゃん。そんなの、ずぶぬれになるぞ。服着てシャワーに突撃するようなもんだぞ。
「無理。てか、やだ。濡れるし・・・。」
「どんだけ濡れたくねーんだよ。そんなんなら折りたたみ傘でも置いておけばいいのによ。」
「ロッカーもう入んないし。ああいうの邪魔。」
「はぁ・・・・・ったく、ならこれでいいだろ?」
直幸は来ていた制服のブレザーを脱ぐと、洸一を自分の方に引き寄せ、自分と洸一にそのブレザーをかぶせた。がっちりと逃げ出さないように洸一を右手で確保しつつ、頭上でブレザーを持つ。
「ちょ・・・なにしてんだよ・・・離せよ!!」
「これなら濡れねーし、歩いて帰れるだろ?」
「そりゃそうだけど、お前の制服びしょびしょだぞ。」
「こんなの全然気になんねーけどな。ここで座っててもいつ弱くなるかなんて分かんねーだろ?よかったよな、家隣同士で。」
「そう言う問題なのか?」
「それに・・・・・。」
それにこんな状況滅多にないし。こんなののためなら制服濡れてもかまわないってね。後で母さんに怒られるかもしれないけど、今はこの奇跡とも呼べる状況に感謝感謝。
「直幸??」
「ん・・・なんでもない。早く変えろーぜ。」
二人は雨の降りしきる中に出た。
洸一視点、直幸視点が混在してて読みにくいですよね・・・すみません。
でもこうするほうがいいかなと・・・思ったのでこのままですけど・・・