まほうのホットケーキ
【作者より】
拙作は「第7回 下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ大賞」、「冬の童話祭」に参加させていただいた作品です。
テーマは「木枯らし」と「ホットケーキ」を使わせていただきました。
ゆうたくんは元気いっぱいの小学一年生の男の子。
今日はあたたかいようふくをきて、お母さんといっしょに近くのスーパーにお買いものに出かけています。
「ゆうた。今日のおやつは何、食べたい?」
「ホットケーキ!」
「いいわね! 夜ごはんのおかずといっしょにざいりょうを買いましょう」
「うん!」
スーパーにつきました。
お母さんは入口でカゴを手にとり、中に入ります。
もちろん、ゆうたくんもいっしょに入ります。
「夜ごはんは何がいいかしら?」
お母さんはじゃがいも、にんじん、玉ねぎ、お肉をカゴの中に入れました。
今日の夜ごはんはカレーライスかな?
それとも、シチューかな?
「あら? 牛にゅう?」
お母さんが気がつかないうちに牛にゅうが一本、入っています。
ゆうたくんの家のシチューは牛にゅうをたっぷりつかっています。
しかし、家にはまだのみかけのものがれいぞうこに入っています。
いったい、だれが入れたのでしょうか?
お母さんはふと、スーパーへむかっている時のことを思い出しました。
ゆうたくんがホットケーキを食べたいと話していたことを思い出したのです。
「ママ、ぼくね、ホットケーキのざいりょうをね、入れていたの。かってにカゴの中に入れてごめんなさい」
ゆうたくんはしゅんとした顔をして、ホットケーキミックスのはこを大切にもったまま、お母さんにあやまりました。
「いいのよ。ママが夜ごはんを考えていたから、ちょっとわすれちゃったみたいね。ゆうたはえらい子よ。自分からホットケーキのざいりょうをカゴに入れてくれたんだもの。ママ、たすかっちゃった」
お母さんはゆうたくんの頭をやさしくなでました。
ゆうたくんはうれしくなって、きらきらした目で「うん!」とうなづきました。
お買いものがおわり、スーパーから出ると、こがらしがふいています。
ゆうたくんとお母さんはゆっくりと家にむかってかえりました。
家につきました。
まずは買ってきたものをれいぞうこにしまいます。
そのあと、手をきちんとあらって二人でなかよくホットケーキを作りました。
ふんわりとあたたかいホットケーキにはたっぷりのはちみつとバターがとろーりとけています。
あたたかいココアが入ったマグカップもいっしょです。
「ママが作ったホットケーキはおいしいね」
「ほんとうに?」
「だって、ママのホットケーキはかぞくをえがおにする、まほうのホットケーキだもん!」
ゆうたくんのえがおはきらきらとかがやいていました。
最後までご覧いただきありがとうございました。
2025/12/12 本投稿




