63. ルカ:ドメニコが生まれた日!
今日、僕の二人目の息子が生まれた。
ロザリアは今回も帝王切開だった。結婚式の日に受けた銃創の後遺症で、自然分娩ができなくなっていたからだ。ロザリアの容体は安定していて、手術後は休んでいた。赤ん坊は別の部屋に移されていた。僕がロザリアの様子を見ている間、ロッコはずっと息子のそばにいた。僕が戻るまで、絶対に赤ん坊を一人にしないように言ってあった。
今日は、自分でも不思議なくらいの幸福感に包まれていた。ジョヴァンニが生まれた時は、こんな気持ちじゃなかった。あの時はまったく違っていた。恐怖を感じていたし、父親になる興奮もあったし、手術中はロザリアを守らなければならなかった。ジョヴァンニが生まれた日は、心の中の恐怖や不安が、幸せという感情を隅に追いやっていたような気がする。
でも今日は、ただ幸せだった。子どもみたいに純粋に。まるで小さな男の子に戻ったような気分だった。今日は一番大切で、一番親しい友だちに会いに行く日なんだ、そんな気がしていた。
手術中、僕はまた銃を手にしたまま部屋にいた。でも手術はもう終わっていた。今なら息子に会いに行ける。ロザリアを一人にしていたが、赤ん坊のところへ行ったら、ロッコをロザリアのもとへ戻すつもりだった。
赤ん坊のいる部屋へ向かって歩いていると、病院の廊下でダンテと出くわした。正確には、突然現れたわけじゃない。最初から彼もこの病院にいた。ダンテも今日、ここにいたんだ。僕が彼に気づいたのはその時だった。廊下の奥、階段のそばに立っていた。今日一日ずっとここにいたことは分かっていたけど、ちゃんと見たのはその瞬間が初めてだった。僕は彼を無視して、赤ん坊のいる部屋へ向かった。
「ロッコ、ロザリアのところへ行け。俺が戻るまで、絶対に彼女を一人にするな」
そう言って、ルカは部屋に入った。
ロッコを送り出して、僕は息子と二人きりになった。
「こんにちは、小さな人。来てくれてありがとう。生まれてきてくれてありがとう……。知ってるか? 俺は一番の親友を失ったんだ。だから今度は、お前が俺の一番の親友になる。お前はあいつみたいにいなくなったりしない。ずっと一緒だ。いっぱい楽しいことをしよう。ずっと俺の友だちでいてくれ。そばにいてくれ、いいな?」
ルカはそう言いながら、赤ん坊を腕に抱いていた。
赤ん坊のいる部屋には大きな窓があった。顔を上げると、ダンテが廊下側の窓越しにこちらを見ていた。息子を腕に抱いたまま、僕は一度ベッドに戻し、廊下へ出た。ダンテと話すつもりはなかった。でも彼は僕を見つめ、話しかけられるのを待っていた。
廊下の椅子に腰を下ろすと、ダンテの姿を見ただけで喉が詰まった。彼は視線だけで、自分の子どもを見せてほしいと懇願していた。ダンテは部屋に入った。僕は廊下から、窓越しに彼を見ていた。もう彼を信用していなかった。赤ん坊を連れ去るかもしれないと思い、目を離さなかった。
「なんて美しい存在なんだ……。本当に、君は僕の息子なのか? こんなにも美しい存在が自分のものだなんて、信じられない。まるで夢みたいだ」
ダンテは赤ん坊を抱き上げていた。
「愛しい息子よ……。僕は大きな過ちを犯した。友だちを傷つけ、君の母親を傷つけた。君は、母親を絶対に悲しませるな。いいか? 母親を心から愛せ。僕の分まで愛して、ずっと守ってやれ。決して母親を悲しませるな……。
君に名前をつけることすら、僕にはできない。でも心配するな。ルカが、君にとても素敵な名前を選んでくれる」
そう言って、ダンテは赤ん坊を元の場所に戻した。
「もう行かなきゃいけない。でも、また近いうちに会いに来る。約束する」
ダンテは部屋を出た。
赤ん坊を見終えたダンテは、そのまま僕のほうへ歩いてきた。
「名前は?」
ダンテが尋ねた。
「ドメニコだ」
ルカはダンテの顔を見ずに答えた。
「ありがとう」
ダンテは微笑んでいた。
ダンテは、息子の名前を聞いて嬉しそうだった。
僕たちが子どもの頃、「The Last Don」という映画を一緒に観たことがある。ダンテは、ドメニコという名前の主人公が大好きだった。その映画を観てから、彼はいつも「大人になったら名前をドメニコに変えるんだ」と言っていた。
「そいつは俺の息子だ。俺を父さんと呼ぶ。俺の家で育つ。俺の家族になる。俺の姓を名乗る……。だが、お前が会いたいなら、会うことは許す。ドメニコに会いたくなったら、俺が連れて来てやる」
ルカは立ち上がり、ダンテの目をまっすぐ見て、そう言った。




