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愛の残響  作者: あぜるん
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61. ルカ:君を決して離さない!

あの出来事から二日が過ぎていた。

ロザリアは家に戻ってから、私に一言も話しかけなかった。誰とも話さず、家の中を魂が抜けたように歩き回っていた。ジョヴァンニは眠りから覚めて母親の顔を見ると、いつも笑顔になる。ロザリアもそれに耐えきれず、必ず微笑み返していた。

けれど今は、ジョヴァンニのあの可愛い笑顔でさえ、ロザリアの表情を和らげることはできなかった。ダンテが彼女を徹底的に壊してしまったのだ。壊れたその欠片を拾い集め、ロザリアを癒やすのは私の役目だった。でも、どうすればいいのか分からなかった。少しの間違った触れ方、たった一言の失言で、彼女を永遠に壊してしまうかもしれない。

ロザリアは私に強く怒っていた。ダンテが何者か分かったあとも、意図的に彼をロザリアのそばに置いていたことに怒っていた。ダンテが彼女を傷つける前に救い出せなかったことにも怒っていた。彼女は私の目を見ず、私と話そうともしなかった。

それでも、私は彼女がたまらなく恋しかった。怒っていても、彼女は私に抱かれて眠ることを許してくれた。彼女も私に抱きついていた。夜になると、静かに泣いていた。胸に落ちる涙が、矢のように私の心を貫いた。


この二日間、ロザリアは何時間もシャワーから出てこなかった。一人になりたいのだろう、休みたいのだろうと思い、私は邪魔をしなかった。

皆が眠ったあとも、ロザリアはまた浴室にいた。私はジョヴァンニの様子を見てから部屋に戻った。浴室から、ロザリアの泣き声が聞こえていた。


「お願いだ、話してくれ」

そう言って、私は浴室に入った。


中に入ると、彼女は泣きながらスポンジで腕をこすっていた。まるで皮膚を削ぎ落とそうとするかのように、強く、強く。


「もう終わりだ。全部、終わり…」

私はロザリアを抱きしめ、落ち着かせた。


本当に、皮膚を剥がしてしまいそうだった。私が抱きしめると、彼女はスポンジを落とし、胸に顔を押し当てたまま泣き続けた。しばらく、言葉もなく、二人でシャワーの下に立っていた。

やがて私はロザリアを抱き上げ、浴室から連れ出した。彼女は顔を上げようとしなかった。身体を拭き、服を着せようとしたとき、彼女が泣きながら言った。


「こんなに洗ったのに、消えないの…ダンテの匂いが、肌に染みついてる。取れない…」


ようやく、彼女は私に話してくれた。どれほど苦しいかを、初めて。


「ルカ、お願い…助けて。私の肌から、あの人の匂いを消して…」

涙に濡れた目で、彼女は私を見つめていた。


「必ず消す。約束する」

私は額を寄せ、低い声でそう言った。


ロザリアを救えるのは、私しかいなかった。痛みに震える彼女の身体には、私が必要だった。彼女の肌には、私の匂いが必要だった。彼女の心には、私の息遣いが必要だった。

私は彼女をそっとベッドに横たえた。ロザリアを癒やすために、私には一晩しかなかった。朝、彼女の笑顔を見るためなら、心臓だって差し出せる。


ロザリアは、洗いながら、まるで肌に張りついた殻を引き剥がそうとしているようだった。ダンテの匂いが、彼女の肌を覆っていた。その毒の殻を取り去るため、私は夜明けまで唇で彼女の肌を辿った。重い海の波のように、何度も彼女の身体を包み込み、痛みを和らげた。


朝、ロザリアはまた私の胸の上で目を覚ました。けれど顔を上げようとせず、ただ私の心音を聞いていた。


「おはよう、愛しい人」

私は彼女の額にキスをした。


ロザリアはゆっくりと顔を上げ、私を見て微笑んだ。痛みを和らげることができたのだ。


私は早く出かけなければならなかった。家を出る前に息子の顔を見ようと、ベッドから起き上がった。


「今日はシャワーに入らないで」

シャツを着ながら、私は言った。


「どうして?」

ロザリアは布団を胸まで引き上げ、ベッドに座った。


「昨夜、君の肌に残したすべてを、そのままにしていてほしい。一日中、君の肌に、俺が一緒にいさせてくれ」

そう言って、私は彼女にキスをし、部屋を出た。


部屋を出るとき、ロザリアは微笑んでいた。彼女が大丈夫だと分かると、私はようやく息ができる。


ロザリアは以前のように私と話し、笑い、ジョヴァンニやエリオと過ごしていた。癒えたのだと、私は喜びかけた。だが、また異変が起きた。突然、彼女の顔色が悪くなり、めまいを訴えた。病人のようだった。

病院へ連れて行こうとしたが、彼女は拒んだ。ただの風邪だと思い込もうとしていた。実は、私たちは二人とも何が起きているのか分かっていた。ただ、認めたくなかったのだ。ロザリアが病院に行きたがらなかったのは、そこで聞くかもしれない、あの恐ろしい知らせを聞きたくなかったからだ。


ロザリアの体調は良くならなかった。この二日間、状態はひどかった。もう待てなかった。私は彼女を医者に連れて行った。検査結果を待っている間、ロザリアは注射を打たれ、部屋で休んでいた。私はその部屋の前で待っていた。


「おめでとうございます。奥さまは妊娠二週間です」

医師が近づき、結果を告げた。


医師はそれだけ言って去っていった。この知らせをロザリアに伝えるのは、私だった。彼女の腹の中にいるのが、私ではなくダンテの子だということを、私が伝えなければならなかった。

世界が崩れ落ちるようだった。悲しみも怒りも、すべてが絡み合っていた。だが、それを扉の外に置いていかなければならなかった。中に入ったら、ロザリアに私の苦しみを見せてはいけない。この知らせは、彼女をさらに傷つける。望まない相手の子を宿し、育て、産まなければならないのだから。

それでも、彼女は一人ではないと感じなければならない。私は決して、彼女を一人にしない。何があっても。ロザリアは私の呼吸だ。彼女がいなければ、私は生きられない。

勇気を振り絞って、部屋に入った。


ロザリアは眠っていなかった。悲しげな表情で、まるで私が何を告げるのか、分かっているかのようだった。


「愛しい人…妊娠している」

私はそう伝えた。


「何週?」

ロザリアの声は震えていた。


彼女は、家にいる時点で、すでに気づいていた。でも認めたくなかった。奇跡が起きて、勘違いであってほしいと願っていたのだ。


「二週間だ」


その瞬間、腹の中の子がダンテの子だと悟ったロザリアの目から、涙が溢れた。何も言わずに膝を抱え、顔を埋めて泣き始めた。その姿を見ると、私の腕が折れてしまったかのように感じた。

私は隣に座り、強く彼女を抱きしめた。


「ルカ…私、どうしたらいいの…?あなた以外の人の子なんて、抱えきれない…」

泣きながら、彼女は顔を上げて私を見た。


「この子は、ダンテの子でも、俺の子でもない。この子は君の子だ、愛しい人。君のものなら、俺はすべて愛している。この子のことも、必ず愛する」


私は、ロザリアの手を決して離さなかった。


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