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愛の残響  作者: あぜるん
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51. ダンテ:ロザリアの記憶が少しずつ戻りつつある!

ルカとの間に、不信感が生まれていた。

ルカはもう、私を信じていなかった。ロシアから戻ってきた日、彼は私がロザリアのそばで眠っているのを見てしまったのだ。ルカは、状況をそのまま目にしていた。ロザリアと私の間には距離があり、彼女に触れてはいなかったし、触れたこともなかった。あの日、あの場所で眠ってしまったのも、完全に偶然だった。


庭から部屋へ戻るロザリアを手伝い、眠る前に何か必要になるかもしれないと思って、ベッドの端に座って待っていただけだった。気づかないうちに、そのまま眠ってしまったのだ。でもルカは、すべてを誤解してしまった。私たちの立場を考えれば、誤解されるのも無理はなかったのかもしれない。


この家でロザリアを初めて見た瞬間、私は彼女を永遠に失ったのだと悟った。けれど心の奥深くには、消えかけた小さな光があった。ロザリアが私を思い出し、再び戻ってきてくれるかもしれない――そう信じたくて、どうしても消えてくれない光だった。理性では分かっていた。たとえロザリアが私を思い出したとしても、もう私のもとへは戻らないだろう。それでも心も魂も、それを理解できず、受け入れようとしなかった。


理性はまた戦いを始めていた。私の理性が、身体や魂、存在そのものと、たった一人で戦い、真実を突きつけようとしていたのだ。


ロザリアが私の作った料理を食べながらトリノのことを思い、焼け落ちた家を思い出したことが、私の中の光を消えずにとどめてくれた。私は彼女に、私自身を、そして一緒に過ごした美しい時間を思い出してほしかった。ロザリアの記憶を取り戻したかった。そのためには、料理だけでは足りない。ほかにも何かをしなければならなかった。


私は、ロザリアが強く心を動かされ、深く愛していたものを思い出そうとした。すると、彼女がとても影響を受けた一冊の本が頭に浮かんだ。その本は私が買っていて、毎日彼女のために読み聞かせていた。タイトルは『サイレント・ペイシェント』、アレックス・マイケライデスの小説だ。不倫をテーマにした物語だった。ロザリアは不倫の話が好きではなかったが、この作品は別だった。物語が結末から遡る形で描かれていて、その語り方があまりにも巧みだったため、語り手である心理学者と患者の女性との関係が、最後近くまでほとんど分からなかった。


私はその本を読んでいなかった。内容はロザリアが教えてくれたのだ。物語そのものよりも、語りの構成に心から惹かれていた。


その日も、家には私たち二人きりだった。正確には、乳母とエリオも家にいたが。ロザリアはベッドで横になっていることに飽き、リビングへ行きたがった。ただし、長く座ることは禁止されていた。そこで私は、リビングのソファを整え、クッションと毛布を用意した。


ロザリアは横になり、私は向かいの椅子に座って、彼女のために続きを読むことにした。物語の中で主要人物の一人である「テオ」という男が、妻の不倫を疑い、彼女を尾行し始める場面だった。


「テオは、その男を自分の妻の手で殺させるのよ。覚えてる!」

ロザリアは、物語を思い出したことに自分でも驚いていた。


ロザリアは、その小説を思い出した。けれど、私は素直に喜べなかった。思い出したくないことまで思い出してしまうのではないか、彼女を苦しめる記憶まで蘇ってしまうのではないかと、怖くなったのだ。


その日、ルカが家に戻ってきたとき、ロザリアはすぐに「思い出した」と話すだろうと思っていた。だが彼女は話そうとしなかった。隠しているわけでもなかった。ただ、口にしなかっただけだ。ロザリアがどこか沈んでいるのを見て、ルカは何かあったと察し、尋ねた。ロザリアが話すと、ルカは振り返って私を見た。その視線には、怒りと疲労が混じっていた。


ロザリアが「本を選んだのは彼よ」と言った瞬間、ルカは私が何をしようとしていたのかを理解したのだった。



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