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愛の残響  作者: あぜるん
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4. ルカ: エリオンの新しい乳母

「大丈夫か?」

ルカが撃った男たちの血が、ロザリアの顔とシャツにまで飛び散っていた。

「これで信じたか? さあ、立って。ここを離れよう。」

ルカはロザリアの腕を取り、地面から立ち上がらせた。


彼女はひどく怯えていた。

腕をつかんで引き寄せても、ショックで何も言えず、ただ黙ってついてくるだけだった。

助手席に座らせると、まったく動かない。

バッグをしっかり抱え、前方を見つめたまま固まっていた。

たぶん、家を出たあと警察へ行くつもりだったのだろう。


「車を止めて。」

ロザリアが小さな声で言った。

「え?」

ルカはスピードを落とさずに彼女の方をちらりと見た。

「止めて、降りたいの!」

今度ははっきりした声だった。


「怖がらなくていい。俺の家に連れていくだけだ。」

ルカは落ち着かせようとした。


「行きたくない! あなたなんて知らない!」

ロザリアは泣きながら訴えた。


彼女は怯えていたけれど、それ以上に悲しそうで、どこか絶望しているようにも見えた。

腕を押さえていた。

ロレンツォの手下たちに引っ張られたときに痛めたのだろう。

あの看板も腕を打ちつけていたし、かなり痛むはずだ。


ちょうど前に薬局が見えたので、車を端に寄せて停めた。

「痛み止めを買ってくる。」

そう言ってルカは車を降り、外から鍵をかけた。


戻ってくると、彼女はまだ泣いていた。

声は出ていなかったが、涙だけが途切れずに流れていた。


「落ち着け。ほら、水を飲め。」

ルカはペットボトルを差し出した。

ロザリアは少しだけ口をつけ、水を飲み、目元をぬぐった。


「ブラウスを脱いで。」

突然の言葉にロザリアは目を見開いた。


「腕に塗る薬を買ってきた。塗らせてくれ。」

ルカは彼女が腕を出すのを待った。


彼女がブラウスを脱ぐと、またあの火傷の痕が見えた。

紫色に腫れた腕を前に、薬を塗るのも忘れて見入ってしまった。

その視線に気づいたロザリアは、慌ててブラウスで傷を隠した。


「塗ってもいいか?」

ルカは、さらに怖がらせないように静かに尋ねた。


彼女は何も言わなかったが、少し身体を寄せて腕を差し出した。

薬を塗り終えると、彼女に痛み止めを渡し、再び車を走らせた。


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