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愛の残響  作者: あぜるん
13/73

13.ルカ:キスさせてくれないんだよ!

1.

ここ数日は本当に息が詰まるようだった。

ロレンツォ・フォンタナがとうとう会社の仕事の邪魔をし始め、頻繁に攻撃を仕掛けてくるようになっていた。

ロレンツォは私を怯えさせたいのだ。大手企業たちが彼ではなく、私と契約を結んでいるせいで、彼はこの数ヶ月まともに取引を取れず、大きな損失を抱えていた。


そのせいで、ここ数日はロザリアとエリオにほとんど構ってやれなかった。

だが、今日は珍しく早く帰ることができた。


家に入ると、静まり返っていた。

乳母がエリオを抱いて二階へ上がっていくところだった。エリオは眠っていた。起こしたくなくて声をかけなかった。


ロザリアの姿が見えない。部屋にいるかと思い、私も二階へ上がった。

階段を上がって廊下に入ったとき、彼女が見えた。廊下の端にある書斎にいた。顔を本棚の方へ向け、何かを手にしてじっと見つめていた。

何を見ているのか気になり、音を立てないように近づいた。


彼女の手には、私が笑っているときに撮られた写真があった。モノクロで、背景には高層ビルが映っていた。


「そんなに…俺の笑顔、好きなの?」

ルカはそっと後ろからロザリアに近づいた。


「綺麗なものは、誰だって好きよ。」

ロザリアは写真をそっと机に戻した。


静かに近づいたはずなのに、ロザリアは驚かなかった。

彼女が机から身を離れようとした瞬間、その前に回り込み、両手で彼女の腰を掴んで軽く本棚の方へ寄せた。

彼女は何も言わず、ただ私の目を見つめていた。


彼女は淡いローズピンクの滑らかなシルクのドレスを着ていた。その上に、同じピンク色の薄いチュールのようなトップスをふわりと重ねていた。

まるで透けるように薄くて、肩は見えていたが、火傷の痕を隠すにはちょうどよかった。


「エリオの様子を見に行かないと。」

ロザリアはそう言って、私の手をそっと外した。


彼女は、私がキスする間も与えず、するりと身を抜いた。


「……その分、あとで覚えてろよ。」

ルカは微笑みながら、去っていくロザリアの背中を見つめていた。


2.

ロザリアがエリオの部屋へ行ったあと、私も自分の部屋に戻った。

とても眠くて、そのまま横になったら、目を覚ましたときには夕食までまだ三十分ほどあった。

エリオはもう起きているだろう。ここ最近は本当にやんちゃで、なかなか時間通りに寝てくれなかった。

エリオの顔を見るために階下へ降りた。


「乳母さん、エリオは起きた?」

ルカはキッチンに入った。


「はい。ロザリアが部屋でお風呂に入れてますよ。」

乳母は夕食の支度で忙しそうだった。


エリオの部屋へ向かうと、聞こえてきた声に思わず足を止めた。

バスルームから楽しそうな音がしていた。

ロザリアがエリオを洗っているんだろうと思い、ノックもせずにそのまま入った――だが、実際は二人一緒に入っていたのだ。


扉を開けた瞬間、ロザリアは湯船の中で裸のまま、エリオを抱いていた。

まるで遊んでいるように、エリオを半分ほど水につけたり、また持ち上げたりしていて、エリオは大喜びで笑い声を上げていた。

笑い声が部屋いっぱいに響いていた。


「エリオ、いつもこんなふうに風呂に入ってるのか?」

ルカはそのまま浴室に入った。


「ルカ!?」

ロザリアはノックもなく入ってきたことに驚いて目を見開いた。


彼女をそんな姿で見るとは思ってもいなかった。

けれど、悪くない驚きだった。

私の姿に気づいたロザリアは一瞬で混乱し、どうしていいか分からない様子だった。

タオルは湯船から離れた場所にあり、胸元を隠そうとして、エリオを水から引き上げて抱え込んだ。


「エリオだけ洗ってるのかと思ったよ。」

ルカは笑いをこらえきれなかった。


「一人で洗うと暴れちゃって、私までびしょ濡れになるの。だから一緒に入ってるのよ。」

ルカの声に気づいたエリオは、ロザリアを押して私の方へ戻ろうとした。


「なるほどな。いつもあんなに楽しそうなのはそのせいか。」

ルカは面白そうに言った。

「甥っ子に会いたかったんだ。ちょっと抱かせろよ。」

そう言って湯舟に近づこうとした。


「タオルを取ってくれない?」

ロザリアはとにかく早く体を隠したかった。


「無理だ。時間ないから。エリオにキスしたらすぐ行く。」

ルカは湯舟から離れようとしない。


可哀想なロザリア。

小さなエリオの体で必死に胸元を隠そうとしていた。

ついに観念したように、エリオをそっと私に差し出した。

私がエリオを受け取ると、ロザリアは急いで両腕で胸を覆った。


さっき書斎でキスさせてくれなかった。

逃げた分の仕返しをするには、絶好の機会だった。


「服が濡れたから着替えたいの。エリオをお願い。」

ルカは湯舟から数歩下がり、ロザリアが立ち上がるのを待った。

「早くしろよ。風邪ひくぞ? エリオが冷えたら、お前のせいだからな。」

ルカは楽しそうにからかい続けた。


わざと湯舟から距離を取り、ただ彼女が上がるのを待ち続けた。

ロザリアは本当に困っているようだったが、その困り方が妙に愛しくて――

できることなら、ずっとこのまま見ていたかった。


私が動かないのを悟り、ロザリアは決心したようにゆっくり湯舟から出た。

その瞬間、ほんとうに不思議なことが起きた。


彼女は私の正面に立ち、まっすぐにこちらを見つめていた。

あの、どこか悲しげな瞳が、また私の心を攫っていった。


ロザリアは目の前で裸のまま立っていたのに、

私はただ、その瞳から目が離せなかった。





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