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【作者の気儘な短編物書き部屋】

助けた貴公子(黒歴史)が、私を助けに来た

作者: 心音瑠璃

「ヴィオレット・シャリエ! 悪女であるお前との婚約を破棄する!」


 豪華絢爛な王城の大広間。声高に私の名前を呼び、続けて婚約破棄を叫んだのは、私の婚約者であるはずなのに、別の女性をその腕に抱く第一王子殿下だった。


(誰か、これは夢だと言って……)


 巷では、『真実の愛』という題名の恋愛小説が流行している。物語は、王子と平民の女性が恋に落ちたことで、王子の婚約者であった女性が嫉妬し、平民の女性をいじめたことで、王子から“悪女”と呼ばれ公然の場で婚約破棄を言い渡される……という物語。

 そう、結果だけ見れば、今まさに私が置かれている現状と同じようなものだけど。


「なぜ私が、悪女呼ばわりされなければならないのです?」


 自分でも驚くほどに、低く冷たい声が飛び出る。

 それにより、婚約破棄を申し付けた当の本人とその腕の中にいる女性が、遠目でも肩を震わせ怯えているのが分かった。


(だって、腹が立つではないの。“悪女”と呼ばれる身に覚えが全くないというのに、公衆の面前で婚約破棄などという醜聞に晒されるなど)


 そして、腕の中にいる女性の顔をお見かけしたことすらないという点から、彼女は貴族令嬢ではなく平民。なぜ平民の出である彼女がこの場にいるのかはさておき、そこから導き出される結論は。


「……殿下、『真実の愛』という題名の書物をお読みになられたことは?」

「な、なぜそれを」


(読んだのね……)


 私の問いかけと、第一王子殿下の答えを聞いた周囲の皆様がざわつき始める。

 これで、皆様もお気付きのことだろう。

 愚かな第一王子殿下は、物語を模倣して突然私を悪女呼ばわりした挙句、婚約破棄などと言い出したのだと。


(なぜそんなことをするメリットがあるのか全く分からないのだけど……、でも許されるのは、それが物語の中だからよ)


 さあ、どうやってこの場を収めるのが最適解かしら、と言い出した本人が何も言えなくなっているという地獄のような現状に、心の底から頭を抱えていた、その時。


「約束通り、貴女を助けに参りました」

「……!?」


 不意に背後から声がしたため、咄嗟に振り返った私が目にしたのは、艶のある漆黒の髪から覗く金色の瞳を間違いなく私に向けている、背が高い貴公子然とした方のお姿なのだけれど……。


「……約束?」


 人違いではないだろうか。確かに、喉から手が出るほど助けが欲しい状況とはいえ、身に覚えのない“約束”を申し出てくる、これまた顔も見たことのない男性に対して思うことは。


(……怪しすぎる)


 不審人物ではないかしら、とドン引きしていた私に向かって、貴公子は人の良い笑みを浮かべて言った。


「やはり、忘れてしまっているみたいだね。悲しいけど、仕方がない。あ、それとも、こう言えば思い出してくれるだろうか」


 そう言った刹那、背の高い彼は私の方に腰を屈め、私にしか聞こえないくらいの声で囁いた。


「“お姉様”」

「…………っ」


 ゾワリ、と鳥肌が立つのと同時に思い出す。

 末っ子の私が、“お姉様”と呼ぶよう言ったのは、後にも先にも一人だけ。そう、この貴公子然とした振る舞いは、記憶とはあまりにも違いすぎる……、いえ、面影は確かにあるけれど!


「ど、どなたかしら!?」

「!」


 一歩身を引き、放った声が上擦る。

 それは、明らかに動揺を隠しきれない何よりの証拠であり、彼のことを覚えていると告げているも同然だった。

 また、今しがた告げられた婚約破棄などどうでも良くなるほど、今はこの漆黒の髪を持つ殿方を見ているだけで動悸が止まらない。

 ちなみに、決して、恋のときめきなどではない。そんなことよりも。


(今は一刻も早くこの場から逃げ出したい……!)


 私は漆黒の髪を持つ彼に背を向け、再び殿下に向き直ると、やや早口で告げた。


「婚約破棄の件、今すぐにでもお受けしたいのは山々ですが、この場において私の一存で決定する権利はございません。また後日改めて国王陛下と王妃殿下、私の両親を交えてお話し合いを致しましょう。それでは」

「まっ……!? おい、待つんだ、ヴィオレット・シャリエ!!」


 殿下に待てと言われたけれど、これだけは譲れない、と完璧な淑女の礼をして、足早に会場を後にする。

 そうして長い廊下を歩き始めるけれど、会場を飛び出したのは私だけではないことが、廊下に響く私のものでない足音が証明していた。


「つ、ついてこないで!」


 振り返らずとも分かるその方に向かって声を上げるけれど、彼は聞く耳を持ってはくれなかった。


「待って、お願いだから、お姉様!」

「お姉様と呼ばないで!」

「ヴィオレット嬢!!」

「!」


 長い廊下を曲がったところで、強く腕を引かれ、その腕の中に囚われた。


「は、離して」

「嫌だ、離さない。……ようやく、貴女に再会出来たんだ。私の命の恩人である貴女と」

「……っ」


 切なげに紡がれた言葉に息を呑んだ私は、少しの間の後口を開いた。


「……分かったわ。先ほどの地獄のような現状から抜け出せたのは他ならない貴方のおかげだものね。場所を変えてお話しましょう」


 私の提案に、彼は私を半回転させると、「本当!?」とまるで子犬のような反応をする。

 その表情を見て、確かに、私が今の今まで封印していた、他ならない彼との“出会い(黒歴史)”が蘇った……―――




 七年前、お忍びで訪れた城下を歩いていた時のこと。


「何、あの人集りは……」


 活気溢れる街中で、一際人が集まっているのを見て、好奇心が勝った私は、引き寄せられるように大人の足をすり抜け、人集りの中心に辿り着く。

 そこには、フードを目深に被った私よりも小さな身体をしている男の子の姿があった。


「おいおいどうしたんだ、こんなところで一人うずくまって。具合でも悪いのかい?」


 そう優しくおじさまが尋ねているけれど、その子は泣きじゃくるばかりで話にならない。

 周りにいた大人達がどうしたものか、と視線を彷徨わせた後、一人のおばさまが私の存在に気付いて言った。


「そこのお嬢ちゃん。悪いが、この子に声をかけてやってくれないかい? 先ほどからずっとこの調子なんだ。歳が同じくらいのあんたとなら話すかもしれないからさ」

「……分かりました」


 確かに、おばさまの言うとおり、大人に囲まれているから話さないのかもと思った私は、その子に向かって声をかける。


「ねえ、大丈夫? 具合でも悪いの?」


 私の声にようやく顔を上げたその子は、綺麗な金色の瞳いっぱいに大粒の涙を浮かべ、鼻を真っ赤にしながら口を開いた。


「おとうさまと、おかあさまは、どこ?」

「!」


(この子、隣国の言語を話している。それも、上流階級が使う言葉遣いだわ。着ているマントも綺麗で上等なものだし)


 私は瞬時に考えを巡らせたけれど、異国の言語だと気付いた大人達の中には、話せる人がいなかったようで困惑している。


(公爵令嬢である私は、隣国の言語も勉強しているから分かる。けれど、ここで私が話したら、お忍びで来たというのにいらぬ注目を浴びてしまうかも……)


 そう思ったけれど、まるで子犬のような見た目をした彼に、縋るような目で見られてしまったら、放っておくことは出来なかった。

 私は意を決して、その子と同じ言語で語りかける。


「……そう。お父様とお母様とこの国に来たのね」


 私の言葉に、その子は目を丸くして小さく頷いた。

 周りの大人もまた、まだ年端もいかないのような私が隣国の言語を話せることに戸惑いながらも、「大人がいない方が話せるかも」と、少し距離を取ったところから見守ってくれているようだ。

 その気遣いに心から感謝している私を、不意に男の子は抱きしめた。


「ちょ、ちょっと」

「うわーん!! お母様ぁあ!!」


 私の声など聞く耳を持たず、ただただお母様お母様と泣きじゃくる男の子に向かって……。


「良い加減にしなさい!!」

「!」


 思わず叱った私に、彼はピタリと泣き止む。

 その姿を見て、ため息交じりに言った。


「あなた、私より年下に見えるけれど、男の子でしょう。いつまでもお母様お母様と泣き喚いていないで、しゃんとしなさい。助けてほしかったら、助けてと口に出すか、態度で示さなければ誰も助けようがないわ」

「……すごい」

「え?」


 突然何を言い出すんだ、と首を傾げた私に、今度はキラキラとした瞳で私の手を握って言った。


「言葉、上手だね! 異国の言葉なのに、すごい!」

「!」


 家族以外から、初めて異国の言語が話せることを褒められた。それも、キラキラの、まるで宝石のような瞳をした幼い男の子に。

 それだけで嬉しくなった私は、その子に向かって口にした。


「……ヴィオレット」

「え?」

「私の名前よ。貴方のお名前は?」

「……リオ」

「リオね。分かったわ。歳はいくつ?」

「九さい」

「九歳……、私より二歳年下ね。それじゃあ私のことは、“お姉様”と呼んで」

「……“お姉様”?」

「っ」


 リオに“お姉様”と呼ばれた私は、嬉しさと照れ臭さが交じり、勢いで彼の小さな手を取る。

 そんな私の行動に驚く彼に向かって言葉を発した。


「貴方のお父様とお母様を一緒に探してあげるわ。ついていらっしゃい。案内してあげる」

「……っ、うん!」


 まだ両親が見つかっていないというのに、リオは満面の笑みで私に向かって頷いた―――




「そちらに座って」


 場所を変え、私が座った長椅子とは対面の長椅子に座るよう促したけれど、なぜだか彼は扉の前に突っ立ったまま座ろうとしない。


「どうしたの? このままでは話が出来ないじゃない」

「だ、だって……、貴女とまさか、部屋の中に二人きりになるとは思わなかったから……」


 赤い顔をしてそんなことを言いのける彼の姿と、出会った時に泣いていた彼の姿が重なって。当時を思い出して、クスッと笑みを溢してしまいながら、言葉を返す。


「二人きりと言ってもここは王城で、話をするために誰にも邪魔をされない静かな場所を選んだら、たまたま待機部屋だっただけだから安心して。私達はお話しするだけなのだから」

「安心してって……、あまりにも危機感がなさすぎる」

「え?」


 その声が上手く聞き取れずに首を傾げた私に、彼は「こちらの話だよ」と返し、何を思ったか私の隣に座るものだから、これにはさすがの私も驚いた。


「ちょ、ちょっと、貴方の席は対面では」

「私はこちらが良い」

「……っ」


 子供のような我儘を言っているのに、その瞳の奥に宿る“何か”に小さく息を呑んで何も言えなくなってしまう私に、彼はふいと視線を逸らすと言った。


「……婚約破棄の件。貴女は、どう思っているの?」

「え?」

「傷ついたでしょう? 突然あんなことを言われて」

「……忘れていたわ」

「え?」


 彼がパチパチと数度瞬きをするのを見て、正直に口にする。


「貴方と再会したことが衝撃的すぎて、すっかり忘れていたわ。確かに、今思い出すと腹が立つわね。なぜ何の前触れもなく、小説通りの婚約破棄を私に言い渡したのかしら。あれは物語の中だから公然の場で告げても許されるのかもしれないけれど、私との婚約は両家の合意によるものなのだから、破棄したいのならば直接私か国王陛下に言って話し合えばそれで済む話なのに、なぜ互いにとって醜聞になるような真似を」

「っ、ふ、あはは!」

「な、何がおかしいの?」


 急に笑い出した彼に、今度は私が驚く番で。

 彼は「ごめん」と一言謝罪した後続ける。


「そうか。貴女は、私と再会した衝撃で婚約破棄されたことをすっかり忘れていたんだね」

「だ、だって、まさか、もう会うことはないと思っていた相手に、こんな形で再会するとは思わないじゃない」

「約束したでしょう? 七年前のあの日、私が無事に護衛と会えた時、すぐに去ろうとする貴女に伝えたはずだよ。覚えていない?」


『ぼくのピンチを救ってくれたあなたが、もしピンチになった時は、ぼくが必ず助けに行くから』


 確かに、別れ際、去ろうとした私の両手を握って彼は言った。言っていたけれど。


「……覚えているわ。だけど、まさか本気だとは思わないじゃない」

「本気だったよ。言語が分からず誘拐されてもおかしくなかった中で、まだ幼いにもかかわらず私と同じ言語を話し助けてくれた、命の恩人である貴女にもう一度会いたい。それから、きちんとお礼を伝えて、貴女が危機に陥ったら助けられる男になりたいと願って……、そして今日、七年越しに貴女に再会した。これでようやく、約束を果たせそうだ」


 そう言うや否や、彼は何を思ったか、私の両手を握ると、少し緊張した面持ちで口を開いた。


「初めて出会ったあの日から、ずっと貴女だけをお慕いしております。どうか、私と結婚してください」

「…………!? ちょ、ちょっと待って!? 急展開すぎない!? そもそも貴方は一体何者なの!?」


 何が起きているのか分からない、とパニックに陥る私を見て、目の前にいる彼も慌てる。


「そ、そうだった、再会出来た嬉しさのあまり、肝心の自己紹介がまだだった。

 礼儀を欠いてしまい申し訳ございません、ヴィオレット嬢。私は隣国から参りました、エミリオ・ロンバルディと申します」

「……エミリオ・ロンバルディ!?」

「はい」


 以前と変わらぬ可愛らしさが少しばかり残った笑みを浮かべる彼に、私は軽く眩暈がした。


「ちょ、ちょっと待って、それって隣国の第四王子の名前よね!? 次期国王陛下であるあの……!?」

「貴女も知っていてくれたんだね」

「し、知っているも何も有名人じゃない! 末弟にしてどの王子よりも秀でた頭脳と身体能力を持っていると……」

「秀でているかは分からないけど、貴女のために努力したんだ。貴女との約束を果たし、願わくば、貴女の一番になりたいと」

「……っ」


 繋いだままの手に、力が込められる。

 それだけで、心臓がこれ以上ないほど高鳴る中で、彼は言葉を続けた。


「安心して。婚約破棄の件は、私に任せてくれれば良い。ちなみに貴方の婚約者とは次期国王として事前に話をして今日君に婚約破棄すると聞き反対したけど全く聞く耳を持たなかったからその時点で現国王陛下に『もし彼が国王になったら国交を断絶する』と伝えておいたから公然での婚約破棄も踏まえて彼が国王になる道はなくなったと思うよ」

「な、何だか息継ぎなしでさらりと怖いことを言っていない?」

「そうかな、当然だと思うよ。こんなに素敵な貴女を蔑ろにするなんてどうかしている」

「さ、先ほどから思うのだけど! 貴方、私との出会いを美化しすぎじゃない!? 私は、貴方が思っているような人ではないわ。そもそも、貴方と出会った時のことは、黒歴史だと思っていて」

「黒歴史?」


 彼の声が少し低くなる。怒らせてしまったかもしれないと思った私は、顔がじわりと熱を帯びていくのを自覚しながらも、恥ずかしさを捨て正直に話した。


「違うわ、誤解しないで。出会った時の私が黒歴史だということよ。

 上に兄がいた私は、物語を読んで弟妹がいることに一時期強く憧れを抱いていたの。その時丁度、年下である貴方に出会って、上から目線できつい物言いをした挙句、『お姉様と呼んで』なんて……、しかも、あの時の私も、貴方と同じように護衛を撒いてしまって迷子だったのよ。人のことを言えないわ」

「そ、そうだったんだね」

「あの日一度きりの偶然の出会いだと思っていたから……、本当にごめんなさい」


 隣国の王子になんたる無礼を、と頭を下げた私に、彼は言う。


「謝らないで。私は嬉しかったよ。私に姉妹はいなかったから、もし本当に姉がいたらこういう感じなのかなと嬉しかったし、とても心強かった。貴女が城下をあまり歩き慣れていない中、私の手を引いて長い時間一緒に歩いてくれたのも、思わずスキップしたくなるほどにとても楽しかったし。言ってしまえば、あれはデートってことになるのかな」

「す、すぐそういうことを……!」

「本気で、貴女を好きなんだ。あの日会った時から、ずっと。

 だから、待つよ。貴女が黒歴史を乗り越えて、国境さえも越えて、私の元へ来てくれる時を」

「……!」


 そう言って目を細め、優しく笑う彼を見て思う。


(確かに、とても心強かったわ)


『約束通り、貴女を助けに参りました』


 もし会場で、彼がそう声をかけてくれなければ。

 私は今頃、婚約者から告げられた婚約破棄に絶望していたと思う。

 それから彼は、七年前とは違い、この国の言語を習得して、私と言葉を交わし、求婚してくれた……。


「……リオ、いえ、エミリオ殿下、とお呼びすれば良いのかしら」

「できれば、エミリオと呼んでほしいな」

「で、では……、エミリオ」

「はい」


 私は聞いたことのないほどの自身の心臓の高鳴りを聞きながら、どこまでも誠実な彼に告げた。


「待っていて、くれるかしら」

「! ……もちろん、喜んで」


 私はその言葉に、涙が頬を伝っていくのを感じながら、今自分に出来る完璧な笑みを讃えて言った。


「ありがとう」





 後日、私と第一王子殿下の婚約は解消された。

 また、なぜあんなことをしたのかについては、『人気の物語と同じことをすれば、それにあやかり人気を得られると思った』などという意味不明な理由を述べたことから、両家の両親は頭を抱えた。

 確かに、こんな人が国王になれば国が傾くことは一目瞭然のため、彼が国王になることはまずあり得ないだろう。

 第一王子殿下はこっぴどく叱られ、国王陛下夫妻から直々に頭を下げられ、十分すきるほどの慰謝料とお詫びの品々を賜るという心臓に悪い経験を乗り越えた先で、今日、待ってくれていた人の手を取る。




「ヴィオレット」


 そう名を呼び私に向かって手を差し述べたのは、純白の衣装を身に纏ったこの国……、ロンバルディ王国の新国王陛下の姿で。私もまた、彼の名を噛み締めるように紡ぎ、その手に自身の手を重ねる。


「エミリオ」


 それにより、彼がとても幸せそうに破顔したのを見て、私もつられて笑みを溢す。

 そうして手を取り合い一歩踏み出せば、ロンバルディ国の風に載り、私達の結婚を祝福してくれる温かな民の歓声が耳に届く。

 集まってくださった皆様に手を振りながら、二年という時を経て、さらに背が高くなったエミリオに向かって背伸びをし、耳元で囁く。


「私、貴方に出会えて幸せだわ」

「! うん、私もだよ」


 そう言うや否や、エミリオの顔が近付き……、その距離が(ゼロ)になると、一際大きな歓声が上がった。





最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
とってもほんわかするお話をありがとうございます! 姉さん(お姉様?)女房ですね〜!
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