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言葉
体が勝手にこの場を去れと言ってきた気がした。
咄嗟にその場から離れようとした瞬間、懐かしい弱々しい声が私の体を止めた。
「ま、まってー…くだ、さい…。」
「っ…………………。」
言葉など出なかった。
体が勝手に喋るなと言ってきた気がした。
こいつと喋ることは一線を越えることになってしまう、と。
私は目の前の暗い階段を走って駆け下りたい。
今すぐ。
でも……。はっきりしろよ!体!
どっちなんだよ!こいつの話に耳を傾けるのか!?
今更、何を言ってくるか分からない。
今はきっとあたしの方が立場は弱いかもしれない。
ナホがいないと何もできない人間なんだと気づいたばかりなんだーー…。
お願いだからこれ以上、現実を突きつけないで欲しい。あぁ、行きたい。足を動かしたいー。
「ご、ごめん…なさい!!」
前までのあたしならこいつから出るこの言葉に苛立ちしか感じなかったのに。今は違う。
なぜ、なぜ。
こいつに同情されている、と感じるのだろうか、。




