表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英霊に捧げる黒銀の詩  作者: 柴光
9/53

009 顔無し

 


 人化したジル、ノワ、エリュを連れて、私達四人は街の様子を見るべく外壁を潜った。

 目に映るのは見るも無残な姿、当然であろう、あれほどの竜達に襲われたのだから。

 しかし、幸いな事に街の住民達殆どが避難していたらしく、死者は一握りで済んだようだ。


「マスター、良かったわね。これからの事を考えると良かったと言ってしまってはいけないだろうけど」

「命有っての物種って、言ってた人も居たわね」

「…えぇ」

「なにしんみりしてんだよ!こんなんじゃ泊まることも出来ねぇんだから他行くぞ」

「「無神経」」

「なんだよ!?銀も黒も!ほんとの事じゃねーか」

「まぁ、そう言わないの。エリュの言うことも一理あるわ。次を目指しましょう」


 復興は私達冒険者の仕事ではない。慈善で行う者もいるが、基本は住民や国が派遣する衛兵で行う。

 私達が居ても仕方ないので次を目指すことにした。

 ジルとノワには礼を言って還って貰い、エリュも先程の戦闘でかなり体力を奪われたようなので街道のはずれで夕飯にすることにしたのだが。


「パンが…」

「どした?」

「パンがないわ」


 アイテムボックスに手を突っ込んだ私は愕然とした。

 探しても探しても冒険の要であるパンがないのだ。

[アイテムボックス]とは、人族またはエルフ族なら皆が持っている格納魔法庫であり、魔力によって収納出来る内容量が変わるが、小さいモノでも成人二人分は入る。

 更に、中は時間の概念が存在しない為、収納した時のままの状態で取り出すことが出来る。(生物は何故か収納出来ない)


「は?前の街で買ってなかったか!?」

「…あれ、パンじゃなくてスキレットよ。前に使ってたやつ穴空いちゃって買い換えたのよ」

「おいおい、なら買ったばかりのスキレット使って肉でも焼いてくれ」

「……………」

「おい、まさか…」

「そのまさかよ」

「ドヤ顔で言うことじゃねーよ!!」


 誤魔化せると思ったけど無理だったようだ。

 今持っているのは果物類だけだと、エリュに伝えながら柑橘と林檎を渡して我慢させた。

 翌朝、すっかり体力が戻ったエリュが、『歩いてたら日が暮れちまうから乗りな』と竜の姿へと戻り、私を乗せて次の街まで飛んでくれた。

 街が見えてきたは良いものの、余計なモノまでが目に入る。


『おいおいおい、こっちは腹減ってるっていうのによ!!』

「無面竜…相手出来るかしら?」

『任せな!瞬きで終わる』






[無面竜]

 またはノーフェイスドラゴン。

 白い仮面を被ったような顔には眼がなく、口だけが裂けている。

 中級種に位置づけられ、10メーターと大型で防御力は上級種を超えるが、攻撃面では中級以下と偏っている。



評価していただけたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ