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英霊に捧げる黒銀の詩  作者: 柴光
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004 天卵

 


 バルティシ国シナンマヤ街の外へ降り立った私達は、さっそく宿探しへと向かった。

 人化したエリュが私の横を歩くが、少女の見た目をしているので、妹…下手したら娘に見られているかもしれない。

 人語を話せるだけの知性がある竜種の殆どは人化が可能だと聞き、人になった姿は竜の年齢と性格によって決まるらしいけど、エリュの性格を考えるとそこは男じゃないの?とは思う。

 性別?基本は男と女の声と容姿に別れているけど雄雌同体と聞いたことがある。


「エリュってなんでそんな可愛い姿なの?」

「は?俺だって聞きてぇーわ」

「やっぱ容姿は変えられないのかしら?」

「あぁ、それは無理っぽいな。何度か人化する際試みたが変わらなかったな」

「へぇー、でも可愛いから良いと思うわ」

「バッ!!可愛いとか言うな!」


 照れてて余計可愛く感じてしまう。

 そんな事を話しながら宿を目指し、今晩はゆっくりすることにした。

 久々の布団にはしゃぐエリュは、どう見ても子供にしか見えない。

 翌朝、朝食を食べていると、外からけたたましい音が響いてきて何事かと慌てて様子を見に行くと。


「何かしら…あれ?」


 街外に落ちてきたモノが音の原因だっただろうけど、私達が泊まっていた宿からでも見える程の大きな丸い岩が煙を上げていた。


「なんか見たことあるな」

「知ってるの?エリュ」

「んー…ダメだ思いだせねぇ。取り合えず行ってみようぜ」

「そうね、その方が早いわ」


 落ちてきたモノの近くまで行くと、すでに大勢の人々が集まっていた。

 ソレは隕石にも見えるが、所々に脈を打っている様子が伺えた。


「生き物なの?」

「この気配…おい、コイツ等退かした方が良いぞ」


 何かを感じたエリュの台詞に返答しようとした瞬間、ソレから瘴気が放たれて見物人を呑み込んで行った。

 咄嗟に竜へと戻ったエリュが、私を掴んで空へ舞ってくれたことにより事なきを得たけど瘴気に触れた他の人達は皆、生命力を吸われて骨と皮だけになって倒れていく。


「有難う、助かったわ」

『礼はまだ早ぇ。来るぞ』


 エリュの背に移り、私達は戦闘体勢を取ると、ソレは姿形を変えて竜へと変化した。


『思い出したぜ。未熟神竜だ』


 エリュの言葉に私は溜め息をつく。






[未熟神竜]

 インマチュアドラゴンや子神竜などと呼ばれる不完全な竜。

 不完全とはいえ、クラスは最上級種に分類され、並の召喚獣では対抗出来ない。


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