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英霊に捧げる黒銀の詩  作者: 柴光
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028 怪力少女

 


 目を覚ますとすっかり日は登り、窓を開け放って椅子に座っていたエリュが文句をブーブー垂れてきた。

 目覚めて早々怒られる私。

 遅い朝食を食べに下りて行くと、女将さんにも「夜中は驚いたよ」と言われる始末。

 腕から血を流した幼い少女が、私を抱えてやって来たからと。人化した竜だとそこで聞かされたから余計驚いたみたいだ。

 そんなエリュの腕には包帯が巻かれて血止めも塗られていた。女将さんがやってくれたと言う。


「腕は大丈夫?」

「ん?あぁ、血も止まったし問題ないな」

「それなら良かったわ。あんまり無理しないでね」

「おいおい、それは俺の台詞だバカ!心配したじゃねーか!」

「ごめんなさい。でも、あの時はアレが最善だと思って」

「まぁ、確かに…連戦とはいえ、俺の力不足だしな。スマン、迷惑かけて」

「誰もそんなこと思ってないわ。エリュのお陰で事なきを得たんだから謝らないで」


 珍しくしおらしくなるエリュを見て私は言葉を選んで応える。

 冒険者パーティ[ユークリッド]の面々は事態の詳細を求められたのでギルドへ直行し、朝まで捕まってしまったようだ。

 私達もギルドに赴いた際、事情聴取され小一時間捕まった。


「さぁ、目ぼしい情報もないし次の街へ行きましょうか」

「そーすっか。もうこの街は懲り懲りだぜ」

「フフフ、そうね」


 ギルドを出て買い出しを終えた私達は街を出て次の目的地を目指した。


 二日後、街道外れの廃村に魔物が住み着いているから追い払ってくれと、道で出会った商人が報酬を持って迫ってきた。


「この道を良く利用している連中はいつ襲われるか怯えながら通っているんだ。ギルドで討伐依頼が出されてはいるが、報酬のせいか中々受けてもらえない」

「報酬のせいではないわ。相手が悪いからよ」

「そうなのか…では貴女方も…」

「報酬に新鮮な野菜を追加してくれたら受けても良いわよ」

「ほ、本当か!?なら宜しくお願いします!!」

「良いわよね?エリュ」

「あぁ、暇潰しには丁度良いな。腕も治ったし」

「恩に着る!では[ザッハーク]の討伐、お願いします」


 夜になると、街道を通る人々が襲われる事件が多発し、調査に乗り出したギルドが持ち帰った情報によると、廃村に住まう[ザッハーク]達が獲物を狩りに街道まで出てくると判明した。

 達ってのはザッハーク率いる蛇型の魔物[スネイルリンク]の事だろう。

 との事で、前払いにて報酬を貰って廃村の魔物[ザッハーク]共を駆逐しに街道を逸れていく。






[ザッハーク]

 蛇王として人々に畏れられる存在で、複数の蛇型の魔物を配下に置く。

 自身の腕もまた蛇と一体化しており、猛毒の右腕と治癒の左腕に別れる。

 人型であるザッハークだが、並のSランクの冒険者では歯が立たない程の力を持つ。


[スネイルリンク]

 全長2メーター程の青色の蛇だが、胴体を斬っても再生され、終いには二匹以上に増えてしまう厄介なスキル持ち。

 強くはないのが救い。



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