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英霊に捧げる黒銀の詩  作者: 柴光
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003 造られた者

 


 ジル達は感じてなかっただろうけど、私は熱くてどうしようもなかったので一先ずは涼しい場所へ移動した。


『さて、俺を起こした理由を聞かせてもらおうか』

「今から十ヶ月前の事、模造竜と名がついた異質なドラゴンと、それに似た巨兵が各地に現れて人々を襲っているの。それは私達冒険者が退治出来るから良いとして、これから先、近い内にもっと強大な何かが来ると言われているわ」

『ほう、なら俺は来るだろうと思われる奴をぶっ潰せって事か』

『簡単に言えばね』

『んなの俺抜きでも良かったんじゃねーか?わざわざ甦らせてよ』

『そんなことないわ、期待してるのよ』

「ジルの言う通り。エリュには期待しているわね」

『ったく、しゃーねぇなぁ』


 照れ臭そうに巨体を振るうエリュに、一緒に来てくれるか改めて尋ねると、「銀とじいさんの仲間の頼みじゃ無下に出来ねーからな」と召喚契約ではなく、仲間という形でパーティを組むこととなった。

 召喚にはスタミナを消費し、召喚している最中もどんどん失われてゆくが、私はスタミナだけは他の人より遥かに高いので、ジルを何日も召喚維持出来る。その代わり、魔力は無いに等しいけど。

 話が纏まり、近くの街へ行こうと話をしている時、後方から赤黒い光りが上がり、大剣を持った二体の巨兵[フェレティス]と模造竜の姿が現れた。


『はっ!!まるで召喚されたように出てきたなコイツ等』

『問題は誰が行っているのかよ』

『そんなん後で考えりゃいいだろ!肩慣らしに行くぜ!』

「あっ!ちょっとエリュ!?」

『全く』


 飛び出して行ったエリュは、まず始めにフェレティスへ向けて炎を纏った岩石をぶつけ、斬りかかってきた二体目に対しては、爪撃で応戦してみせた。


『こんなもんかよ!大したことねーな!』


 それは勿論口だけではなかった。

 眠っていたブランクを感じさせない身のこなしで、二体の巨兵を火だるまにしてトドメのブレスで片を付けた。

 空を舞う模造竜はジルが相手取り、早々に撃ち落としてエリュの戦いを見ていた。


「二人とも、お疲れ様」

『有難う』

『大したことねーが、あんなんが蔓延ってきてんのか?』

「そうなのよ。倒しても倒しても次からと」

『キリがねぇーってか。あれから十年だっけか?よう問題を起こしやがるぜ』

『誰かさんみたいね』

『俺は問題なんか起こしたことねーだろ!』

『誰も赤の事だなんて言ってないわよ』

『ケッ!嫌味なヤロウだぜ』

「ほら、争ってないで行くわよ」

『銀に言ってくれよ!』

「はいはい」


 ジルの召喚維持は疲れるだろうとエリュが言うので、一旦は召喚解除を行ってエリュの背に乗せて貰い最寄りの街を目指した。





[模造巨兵フェレティス]

 模造竜同様に造り出された見た目の巨兵。

 全長5メーター、大剣を振り回し周囲を薙ぎ払い、たまに闇魔法を行使する個体も存在する。



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