014 レントン地下迷宮3
甲殻の下から羽根を広げて低空で襲いかかってきたロイヤルプレート、ハサミ状のアゴで捕まったら千切れるまで放さないし、中央のツノで突かれても致命傷は免れない。
そんな相手に、ジャンヌは私達の前に出て中央のツノを避けつつハサミを両剣で受け止めてロイヤルプレートの動きを制御させた。
お互いが拮抗する中、エリュに対して広げた羽根を燃やすようにお願いしたジャンヌ。
「おうよ!任せな!」
手のひらから放たれた炎魔法によって羽根は燃え落ち、動きが鈍った所を力業で弾き飛ばしてエリュの炎を纏った岩を放つ魔法[ソアレ]と、ジャンヌの交差した斬撃により力尽きた。
「お疲れ様、二人が居てくれると心強いわ」
「いえ、私はまだまだです。あのアゴを切り落とせなかったのが不覚です」
「なんだー?随分しおらしいじゃねーか」
「普段からこんなもんですが?」
「はいはい、早くあれ拾って先に進もうぜ」
エリュが言うあれとは、ロイヤルプレートがドロップした大きな金剛鉄の板。
これを入れたら私のアイテムボックスはパンパンになってしまうので、残念だがスルーすることにして階段を降りて行く。
三層目は横壁が見えない程の荒野となっており、 砂竜 と呼ばれる小型の竜がちらほらと飛び回っている。
「ほぉ、砂相手じゃ物足りないが、俺も竜に戻るとするか」
「なら此処はお願いするわね」
「おうよ!」
竜へと戻ったエリュに対し、気付いた砂竜達が砂のブレスを撃ち込んでくるも、エリュのブレスでかき消されて手前の二体を屠った。
続けてくる三体も、ブレス攻撃をかわしながらお返しのブレスで一体、また一体と落として五体を簡単に丸焼きにしてしまう。
流石はエリュだと関心していると、轟音が鳴り響いて辺りを影にしてしまう程の巨躯を持つ四足歩行の[兆岩竜]が地面から姿を現した。
「嘘でしょ!?まだボス部屋でもないのにあんなのとエンカウントするなんて」
『こりゃー遣り甲斐があるってもんよ!』
「エリュテイアさん、私も手伝いましょうか?」
『今回は俺に任せときな!俺も見せ場を作らなきゃだしな!』
わざわざ見せ場などいらないが、五倍はあろう体差を気にも止めずに次々とブレスと炎魔法を撃ち込み、堅い外皮を削って行く。
勿論、兆岩竜も黙っているはずがなく、鈍いながらも無数の岩を放つブレスをエリュ目掛けて吐き付けていた。
『は!そんなノロマな攻撃当たるはずねぇーだろ!』
と、今度は背中に取り付いたエリュは0距離でブレスを繰り返し放ち、その熱量で溶けた鱗に爪を突き立てて内側から破壊しトドメとなるブレスを一撃。
崩れ行く兆岩竜を見ながら『どーだ!俺も中々やるだろ!?』と嬉しそうに飛び回るエリュ。
「流石だわ。エリュの実力を改めて認識出来たわ」
「お見逸れしれました」
『なんか、恥ずかしくなってきちまったじゃんか』
「褒めてるのに、ねぇ」
「全くです」
[ロイヤルプレート]
巨大な顎とツノを持つ甲殻蟲のボス的存在。
長く生き残ったオオカッチュウが進化した姿だとされ、攻撃、防御の両面で蟲とは思えない強さを誇る。
ドロップ品は金剛鉄。鍛冶屋が大金を叩いてでも欲しがる品。
[砂竜]
サーブルドラゴンとも呼ばれ、2,5メーターと小柄な中級種。
魔法は使えず、砂のブレスと爪撃のみで戦うが、攻撃力、防御力共に低いものの小柄なだけあって素早い。
ドロップ品はトパーズ。
[兆岩竜]
またはテラロックドラゴン。
四足歩行ながらも全長20メーターとでかく、ゴツゴツした鱗の防御力は竜種の中でトップクラスに入るが、一点集中されてしまうと案外脆い。
ドロップ品はどでかい金塊。




