013 レントン地下迷宮2
ボス部屋の階段を下って二層目に降りた私達。
上の階程ではないしろ、此処も狭い通路となっていた。
「なんか動いてるわ」
「ありゃあ 甲化蟲 の一種だろ。多分ハイダテだな」
ハイダテ、私より大きく金属のような外皮に覆われた幼虫であり、防御力だけでいうなら竜に匹敵し、特に魔法耐性の高さは尋常ではない。
「どう捌くつもりかしら?」
「竜になれりゃあ切り裂くのによ。なんか良い奴連れてねーのか?」
「仕方ないわね。今喚ぶわ」
召喚契約をしている中で唯一の人型、しかも最強に名高い剣士を喚び出してみると。
「赤い人、貴女は確かエリュと呼ばれてた竜種ですね?あんなのも片付けられないんですか?」
「なんだと!?随分挑発的じゃねーか」
「止めなさいジャンヌ」
「まぁ、あの時の借りを返すと思って応えましょう」
「「あの時?」」
「なんでもないです」
「そう。話は戻るけどお願い出来るかしら?」
「御意!」
黒き鎧を身に纏い、聖剣と魔剣の二振りで戦う彼女[煉獄騎士ジャンヌ]もまた、仲間の忘れ形見である。彼女は前の主にこれでもかって程なついて信頼を寄せていた。
「アイツやるなぁ。流石、あの戦を最後まで生き残っただけの事はあるな」
「えぇ。そのせいで助けられなかったと嘆いていたわ」
「あー、奴のお陰で今があるからな。全く、無慈悲なもんだぜ」
召喚獣は死が迫っても、粒子となって消えて時間が経てば蘇って喚び出す事が出来るので、あの時は主人の最後を見てしまった彼女は深く悲しんだ。
今では立ち直りつつあり、その証拠にハイデタを真っ二つにして行っている。
途中で出てきたハイダテが成虫へと羽化した魔蟲である[オオカッチュウ]も手こずる事などせず、右手の聖剣で貫いていた。
「終わりましたマスター」
「お疲れ様、ボス部屋も一緒に来てくれるかしら?」
「御意」
三人で入ったボス部屋で待ち構えていたのは[ロイヤルプレート]と呼ばれるオオカッチュウが更に進化した魔蟲だ。
[ハイダテ]
人ほどの大きさがある甲化蟲の一種で、全身鎧に身を包んだ幼虫。
防御力に秀でており、魔法耐性が半端じゃない。
ドロップ品は防具に使える魔鉄。
[オオカッチュウ]
ハイダテの羽化した成体で飛行を可能とし、巨大なツノが特徴の魔蟲。
黒光りする甲殻はあらゆる攻撃を跳ね返すが、腹部は比較的柔らかい。
ドロップ品は加工されて剣士に重宝されるツノ。
[煉獄騎士ジャンヌ]
アーシェが契約している唯一の人型で、魔法は一切使わず己の肉体と二振りの剣のみで敵を翻弄し、斬り伏せる。
手にする聖剣は以前の主に貰った物であり、大事にしている。
黒き鎧を着る美人だが、性格に難がある。




