第6話 隠された欲望
今日もよろしくお願いします。
――サァァ
風の吹く音が聞こえる。
目を開くと日差しが眩しい。
ここはどこだろう。辺りを見渡すため体を起こそうとしたが、金縛りにあったように動けない。
動くことを諦めた私は視線だけ動かす。
視界の隅に花が見えた。私はどうやら花畑に寝転がっているようだ。
ぼんやりと今の状況を分析していると、人が近づいてくる気配がした。
視線を向けるが、顔に靄がかかっているようでよく見えない。
「誰?」
私はそう問いかけたけれど返事はこない。
彼?彼女?どちらか分からないけれど、私の側まで来たあと膝をついた。そして顔を近づけてくる。
甘い匂いが漂ってきた。これは人をダメにする香りだ。
甘い香りに恍惚とした私は近づいてくる顔をぼんやりしながら見ていた。
(顔はよく見えないけれど女の子かな?)
私はいつもより働いていない頭で、その甘い香りにそう判断すると
唇に柔らかな感触がした。
そう思った瞬間、唇から何か侵入してきた。
柔らかいヌメッとした何かが私の口の中を蹂躙する。
「んんッ!?」
今まで感じたことのない感覚に驚いた。しかし私を慈しむような丁寧な動き。
気持ちいい…私はそう思った……。
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「うぬをぉっっ!!!?????」
奇声を発しながら私は目を覚ました。
「あっ………夢か。」
私は心臓がドキドキするのを感じながら先ほどの夢を思い返す。
私は顔を赤くしながら、
「う~ん、ずいぶんとリアルな夢だった。」
と独りごちた。
まあ私は人生で一度もキスしたことがないから、リアルかどうかなんてわからないけどね。そう心の中でつっこんでいると横から声が聞こえた。
「お姉ちゃん、おはよう。」
リリーが小さく欠伸をしながら挨拶をしてきた。
一瞬ビクッとした私は首を動かし、
「おはよう、リリー。」
と可愛い妹に朝の挨拶をした。
思いだした。
昨日リリーと私はボードゲームで遊んでいたのだが、リリーが途中で寝てしまった。私の部屋にはベットが一つしかなく、まあいいかと一緒に寝たのである。
私…欲求不満なのかな。妹が寝ている横で淫ら(?)な夢を見てしまうとは…。
そういえば夢の中の彼女から香った甘い匂いはリリーの匂いだったか。私は探偵の真似事をしつつ、思考を切り替え机に手を伸ばす。スケジュール帳を手にし今日の予定を確認した。今日は学校も休みだし友達と遊ぶ約束もしていない。
夢のせいか体がだるくて動きたくない。私はスケジュール帳を投げ捨てベッドに再度寝転ぶ。
今日は惰眠を貪るぞ!
私は心の中で叫ぶ。リリーに朝食はいらないと告げ、また夢の世界に旅立つのだった。
「……。」
リリーは二度寝を開始した姉を見る。寝ていることを確認すると、自分の唇を舐めつつ
「ふう…。もう少し長かったらお姉ちゃんに気づかれるところだった。」
と頬を赤く染めて呟くのだった。




