第3話 妹は姉を望む
妹が登場します。
サリッサとイチャコラしてご機嫌な私はルンルン気分で家に着いた。
「ただいま!!」
大きな声で帰宅を知らせると家の奥からドタバタ足音がした。
「ぜぇ…はぁ…。お、お帰り、お姉ちゃん。」
急いで来たのか息を切らしながらわざわざ出迎えてくれた黒髪ショートカットの女の子。
この子は私の妹リリーである。妹は私のことが大好きで、こうやっていつも出迎えてくれるのだ。
「リリーっ出迎えありがとっ!」
こんな可愛い妹に好かれて嫌なわけはない。顔をデレデレとさせつつ妹に抱き着いた。
むむっ……妹め…私より胸が大きくなってやがる……。
自分から抱き着いておきながら若干落ち込み、心の中で毒づきつつも妹の感触を楽しむのであった。
「なっ、なんかお姉ちゃん、いつもよりご機嫌だね。何かあったの?」
顔を赤らめつつリリーが聞いてきた。
そこで私は帰宅していたときの出来事を話すのであった。
話を聞いたリリーはなぜか顔を強張らせて、私の目をジッと見つめる。
空耳だろうか?家が軋む音が聞こえた。
「サリッサさんのフィギュア…へぇ。」
一瞬、妹の顔が歪んだ気がしたけど、すぐに笑顔になった。そして手をモジモジとさせ、
「ねぇ、お姉ちゃん。私のフィギュアも作ってよ。」
上目遣いをしながら可愛くおねだりをしてきた。
私は二つ返事で了承し、早速妹のフィギュアを作ることにしたのだった。
一度サリッサのフィギュアを作ったおかげか、妹のフィギュアはすぐに完成した。フィギュアを渡すと凄い凄いと何度もおだてられた。そしてお姉ちゃんの形をしたフィギュアも欲しいとおねだりされ、調子に乗った私はしょうがないなぁと言いつつ、自分の姿のフィギュアも作ることにしたのである。
ちなみに自分をモデルにしたフィギュアの胸は、実物の2割増しの大きさにしておいた。
「ありがとっ!お姉ちゃん!だいすき!」
なんて可愛いことを私に言い、頬っぺたにチューしてくれた。
私の妹は最高だわ。
元の世界で私は兄しかいなかったので、こうやって妹がいて分かりやすい愛情表現をされると心にググッとくるものがある。私がそんなアホなことを考えている間に、フィギュアを手にしたリリーはご機嫌な様子で部屋に戻っていった。
「さて、特にすることもないしサリッサに言われたとおり早く寝ようかな。」
ベットに潜り込みそう呟くのだった…。
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皆さんこんにちは。
私の名前はリリー。エリーナの妹である。
私はお姉ちゃんが大好きだ。ライクではなくラブのほうね。
お姉ちゃんであるエリーナは昔から私のことを大切にしてくれた。お姉ちゃんっ子になってしまったのも仕方ないだろう。そんな姉は身内の私ですら美人だなと思ってしまう容姿の持ち主だったが、学園では基本一人で過ごしていた。姉は人嫌いというわけではなかったが周囲の人間は姉のあまりの綺麗さに話しかけづらかったのだろう。皆、姉を遠巻きにして見るだけだった。そんな姉に話しかける勇者は、幼馴染のサリッサくらいのものだろう。私のライバルはサリッサだけだった。
そんな姉は最近変わった。
以前とは違い人と会うとニコリと笑顔を向け、柔らかい雰囲気?を帯びるようになったのだ。
それを周囲の人間は感じとったのだろう。それにより同級生や先輩、後輩、先生にまで話しかけられるようになった。今までのライバルはサリッサだけだったがこのままでは多くの人から姉は狙われるだろう。
「誰にも渡さない…私が守らないと。」
姉の形をしたフィギュアに軽く口づけして椅子に腰かけた。
目をつぶり愛している姉のことを思い浮かべる。
気持ちが昂り魔力が身体から溢れた。
溢れた魔力によって空気が揺らめく。
「お姉ちゃんは私の物。絶対に…誰にも渡さない。」
私は強く心に誓うのだった。
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寝ていた私は魔力の揺らめきを感じて目が覚めた。
元の世界は魔法が存在しなかったのに魔力の揺らめきなんて分かるわけないだろ(笑)と君たちは思うかもしれないが、この世界に転生した私には分かるのだ。元の私と違ってエリーナちゃんは優秀なのだ。
ちなみに魔力の揺らめきの感覚を君たちに説明するならば、人肌に温めたコンニャクが掠ったような感覚?がすると伝えておこう。
「この感じからするとリリーの部屋かな?」
あの子は私と違って勤勉なので、魔力を使った修行でもしているのだろうと思い、二度寝をする私であった。
これが修行ではなく自分のことを愛するがゆえに漏れ出た魔力だと気づかぬまま……。
妹はヤンデレキャラにする予定です。