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第2話 幼馴染の人形

本日二回目の投稿です。

 

 あれから一ヶ月ほどたち、私はこの世界についてある程度理解した。


 どうやらここは日本ではなくヴァルキル帝国という名前の国らしい。

 そして私はセリーヌ女学院という学校に通っているようだった。


 やはりここは別の世界のようで、魔法も当たり前のように存在してる摩訶不思議な世界のようだ。

 当然この私の身体の持ち主であるエリーナも魔法を使えるようだった。


「ふふっ…まさか美人に生まれ変わってこんなファンタジーな世界に行けるとか…最高じゃん!!」


 卒論や就職のストレス。そしてつまらない日常から解放され、ウッキウキのエリーナであった。


「あとは金持ちと結婚すれば完璧だっ!!」


 これからのことに思いを馳せていると、目の前から声をかけられた。


「エリーナ。何が完璧なの?」


「あ、サリッサ!なんでもないよ!」


「…そう?ならいいけど。」


 独り言をぶつぶつ言う私に、声をかけてきたこの金髪の美少女の名はサリッサ。

 この世界で私が初めて出会った少女だ。すげー可愛い。ちなみにこの世界では私と幼馴染…らしい。


「最近のエリーナ何か変だわ。独り言をぶつぶつ呟いたり、妙にテンションが高いし。それに最近は色々な子から声をかけられているそうね。」


 そう言ってサリッサは難しい顔で私を見つめてきた。


「確かに!エリーナさんって美人で話しかけづらい雰囲気だったけど、最近は…なんというか喋りかけやすい雰囲気になったね。」


 そんなことを言ってくるのは隣に座ってるルーシェさん。いかにもスポーツ少女な見た目の活発そうな女の子だ。


「そうかしら?私としては何か変わったつもりはないのだけれど…。最近リリーにもどうしたの?って聞かれたし…何なのでしょうね。」


 まあ元の身体の持ち主のエリーナと私は別人なわけであって、普段から付き合いのある人間からしてみれば変に見えたのだろう。身内である妹のリリーにもそれはもうヤバいくらい心配されたものだ。かといって本当のことを言っても信じてもらえないだろうし適当に誤魔化したエリーナであった。


「もし疲れが出ていて変なテンションになっているのなら今日はすぐに帰って身体を休めなさいよ。」


 まるでお母さんのような言い方のサリッサに思わず笑ってしまった。


「ふふっ。わかってるわ。今日は特に用事もないしそのつもりよ。」


 と返事をしておいた。


 そもそもそんなことを言われなくてもエリーナは早めに帰るつもりだった。元の世界で自分はインドア派であり、人付き合いも必要最低限しかしない女である。しかしこの世界に転生してしばらくしてから妙に同級生から声をかけられるようになった。人付き合いに疲れた私は早く帰りたかったのだ。いくら顔面偏差値が高いこの世界の女の子と話せるとはいっても…こうもひっきりなしに話しかけられると辛いものがあった。


「さて、そろそろ授業が始まるし準備しましょう。」

 私は二人にそう言って授業を受ける準備をするのであった…。



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 授業が終わりとっとと帰ろうとすると、サリッサから声をかけられた。


「エリーナ、一緒に帰ろう。」


「うんっ!帰ろう!」


 サリッサは魔道研究会の副部長をやっており、普段私とは一緒に帰らないのだが今日は休みだったらしい。そのため一緒に帰ることになった。それにしても傍らに金髪美女を侍らせて歩くのは気持ちのいいものだ。


「今日の魔法芸術の授業は凄かったわね。あなたの魔力操作の精度があんなに凄いだなんて思わなかった。」


 とサリッサは顔を赤らめて話しかけてきた。


 魔法芸術とは名前のとおり、魔法を使って芸術作品を作る授業である。今日の授業内容は土魔法を使って何か作品を作ろう!というものだった。

 私は元々地味で平凡な女ではあったが絵を描いたり、フィギュアを作ったりと手先が器用なのである。そのため作品を作るとき創作魂に火が付いたというか何というか…二分の一サイズのサリッサちゃんフィギュアを作ったのだ。

 それを見たサリッサは恥ずかしいような嬉しいような複雑な顔をしており、ルーシェからは爆笑されてしまった。


「ありがとっ!でも授業時間がもう少し長ければもっと精巧なサリッサフィギュアを作れたのになー。」


 と軽い感じで返事をすると


「もうバカっ、あれで充分よ。…というか何で私をモデルにしたフィギュアなんか作ったのよ?」


 とサリッサに怒られつつ聞かれた。そんな私はサリッサの肩に手を置き、


「サリッサがすごく可愛いからフィギュアで作ってみたかったんだ。」


 深く考えず正直に話すと


「もう…ほんとバカ…。」


 サリッサはリンゴみたいに頬を染めてまた怒ったのであった。


 はぁ〜〜、幼馴染っていいね。

 罵倒されることにより新たな性癖が目覚めそうになりながら帰宅する私であった。



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