第19話 私は無罪です
体調崩してしばらくお休みしてました。
現在の状況を振り返ってみましょう。
友達と仲良く話をしていると外から悲鳴が聞こえた気がしました。
気になって様子を見に来たら、びしょ濡れの女の子が倉庫の中で凍えています。
誰の仕業かは分かりませんが許せないことです。
このままでは彼女は風邪をひいてしまいます。
介抱して保健室へ運ぼうとすると唐突に別の女の子が現れました。
どうやらびしょ濡れになっている子の友達のようです。
何故か怒った顔でこちらを見つめています。
そして私をびしょ濡れにした犯人だと決めつけて襲いかかってきました。
戦いが始まりました。
ん?なぜ戦ってるんだ?
「っっっっってちょっとまてぇぇぇい!!!!私は無罪!冤罪よ!」
目の前にいる阿修羅と化した少女に必死に声をかける。
「往生際が悪いわね。どう考えても貴女がアメリアに何かしたようにしか見えないわ!!あの子を傷つける者は死で償いなさい!」
氷の礫を魔力で生成し私めがけて放ってくる。冗談抜きに当たったら痛いだけでは済まなそうだ。
事実確認してないのに殺しにかかるとかやばすぎる。
この学園お淑やかな生徒しかいないんじゃなかったの?
(っていうか生徒同士で魔法を使った戦闘は禁止されてるのに普通に使いやがって不良かよぉぉぉ!!)
エリーナは必死に氷の雨を躱しながら心の中で叫んでいた。
普通の人間ならこの氷の塊を躱すのは難しいだろう。
でもこの世界にきた私は普通ではない。というかこの世界の住人全般がおかしい。魔法の存在によって元の世界とは常識が違うのだ。
先ほどまで寒さでカッチコチだったが魔法の力でしっかりと躱せる。氷の軌道をしっかり目で見て筋肉に魔力を纏わせているので通常よりもスムーズに体を動かせる。便利なものだ。
しかしこの状況を続けるのはキツイ。
魔法も無限に使えるわけではない。使いすぎると体と心に負担がかかる。
それに食堂には友人たちを待たせているのでとっととこの場をどうにかしたかった。
ぐるぐると頭の中で思考を巡らせている私だったが救いの声が聞こえた。
先ほどのびしょ濡れガールだ。
「アクアちゃん!!ま、待ってください!この人は悪い人じゃないです!」
その言葉を聞いた瞬間ピタリと攻撃が止む。
助かった。でもびしょ濡れ少女よ、彼女を止めてくれたのは嬉しいがもっと早く言って欲しかったよ。
先ほど襲ってきたアクアという子が、纏っていた魔力を解除したので私もそれに習って魔力を解いた。
「アメリア、貴女はとても優しい子。そんな貴女のこと私は大好きだわ。だけど加害者すら庇うその考え方はやめなさい。」
「だから違うの!そちらの方は加害者でもなんでもなくて、介抱してくれていたの!」
目をキョトンとさせやっと状況を理解したのだろう。冷や汗がすごいでてる。
無実の人を、それも介抱していた人を攻撃していたわけだしそうなるのも仕方ない。
そして私の方を向いて謝罪を口にした。
「ごめんなさい。アメリアはびしょ濡れだったし近くにいた貴女がやったと思ったの。それにあの子は変な人に絡まれやすいから貴女のこともきっとそうだと思ったの。」
友達がイジメられたのだと思って気が動転したのだろう。
友達想いのいい人じゃないか。
まあそのおかげで私は殺されそうになったんだけれど…。
「いえいえ、誤解が解けたのなら何よりです。友達を待たせているのでその子は任せますね。失礼します。」
「ちょっと待ってください!誤解をしたお詫びをしたいのですがまた今度会えませんか?」
誤解も解けたので食堂に向かおうと彼女たちに背を向けるとそんなことを聞かれた。
お詫びしてくれるのはいいけどさっき攻撃してきたアクアと同席するのは少し気まずい気がする。
「いやぁ気にしてないのでお詫びとか大丈夫です。」
「そんなわけにはいきませんわ。また後日伺います。」
「あーそうですか…そうなんですか。」
口元をヒクヒクさせながらそんな言葉を残して逃げるのだった。
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