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第17話 巧みな話術で

今日も一日頑張るぞい。

アリーチェ(部長)のもとに訪れると、彼女は笑顔8割、悪巧みした顔2割の表情をしていた。

まだ何も言われていないが嫌な気配を感じる。やっぱりリリーのところに戻ろうか。今なら間に合う。


「サリッサに言われてきたのですが、私に何か用でしょうか?」


逃げたほうがいいかもという考えが脳裏をよぎったが相手が先輩ということもあってその選択を選べない。

アリーチェは大いにあるとも!と腰に手を当てて胸を張る。私が考案したメイド服は胸を強調するデザインにしたはずなのに、アリーチェが着るとまな板(貧乳)なので全然主張してなくて面白い。まあこんなことを口にしたらシバかれるので言いませんが。


「エリーナを呼んだ理由はこれを渡そうと思ったからだよ。メイド喫茶を企画してくれたお礼にね。」


手に持っていたのは白い布、ではなくメイド服。


「私の分も作ってくれたんですね。ありがとうございます。」


「どういたしまして。それじゃあ更衣室は隣の教室にあるから早く着替えてね。」


「え?」


「ん?」


お互いの考えがすれ違ってる気がする。これ今から着なきゃいけないの?

自分でデザインしたとはいえフリルやレースがあしらわれておりいかにも可愛い!というのを主張しているこの服を人前で着るのは恥ずかしい。そう思った私はアリーチェの申し出を断ろうとした。


「妹も待たせてますし、これは家で着ることにしますよ。それじゃあそろそろ行きます。ありがとうございました。」


「まあまあ、待ちなさいな。着替えるぐらいならそんなに時間はかからないだろうし、なんなら手伝ってあげるよ。」


「でも…。」


「絶対可愛いから!少しだけ、ちょっとの間でいいから着替えよ?これを着る機会もそこまでないだろうし。」


押しが強くてちょっと怖い。

観念した私はメイド服に着替えるため隣の教室へ移動するのだった。



----------------------------------



「リリー、待たせてごめん…。」


「もう!遅いよお姉ちゃん。待ちくたびれ……わぁ!!」


メイド服を着た私はリリーが座ってる席に戻ってきた。着た直後は少し、というかかなりテンションが上がったけど、こうして人前に出ると冷静になってきて恥ずかしい。うつむいた顔は赤面しているだろう。


「あはは…。普段こんなの着ないから恥ずかしいわ。部長の口車に乗って着替えたけど全然似合ってないし。」


「そんなことないよ!すっごい可愛い!!」


べた褒めだが身内補正がかかっている可能性が高いので信用できない。こういうときはサリッサの出番ではなかろうか。


「…サリッサ、この服どうかしら。」


「ええ…ええ!!とっても素敵よ!エリーナは落ち着いた服が似合うけれど可愛い服も似合うのね!」


声を張り上げたためか周囲に座っていた他のお客さんが注目されてしまった。

こちらを見ないでください。

二人に褒められ他の客からも注目を浴びてしまった私は顔から火が出る思いをした。もう着替えたいです。

ティータイムの間ずっとイジられながらメイド喫茶を堪能するのだった…。



---------------------------------



学園祭が終了し、リリーを見送って元の制服に着替えた私は窓から外を眺めた。火照った顔に涼しい風が吹いてきて気持ちいい。この世界の学園祭は元の世界のものよりも充実していて楽しかったと思う。


私は、祭りの余韻が抜けきるまで思考の波に身をゆだねた。



学園祭はこれで終わりです。

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