第14話 致命的なミス
更新遅くなってすみません。帰宅するのが予定より遅くなりました。
学園の広い庭を横断し私達はあるところを目指して歩く。
この学園、無駄に広い敷地面積を誇っているので一つ一つの建物が独立して建っているのだ。
目的の場所は残念ながら先ほどまでいた場所の正反対に位置してるので結構な距離を歩く。
「はぁ…はぁ…。」
「エリーナ、息が上がってるわ。日頃から運動しないとダメよ。」
私は特に運動をしていない。強いて言うなら家から学園までを歩くくらいだ。
まあ通学は運動に入らないと言われてしまうと困るけど。
始まる前から疲労困憊。
こんな調子で大丈夫だろうか?
だがそんな心配も杞憂に終わる。
色とりどりの生地。
近くには裁縫道具が置いてあり準備万端の様子。
その光景を見て、やる気に満ち溢れた自分を先頭にサリッサとその他数名の部員は被服室に訪れていた。
「やっと着いたわね。さーて、やりますか。」
腕をまくりながら皆に宣言をし、意気揚々と机に向かって布に手を伸ばす…かと思われたが途中で停止した。
不審に思うサリッサと部員たち。
「エリーナ、どうしたの?」
サリッサが代表となって声をかけたが反応はない。
そこで肩に手を置き再度問いかけると、ブリキ人形のようにカチコチしながら振り向く。
「そういえば裁縫やったことなかった…ははは。」
から笑いをしながら話すと一瞬被服室に静寂が訪れる。そしてサリッサが大きく息を吐きながら私の頬に触れ引っ張った。
「できないならさっさと言いなさい!もう。」
「しゅっ、しゅみましぇん。」
謝罪を口にすると手を離される。摘まれ赤くなった頬をさすりながら、自分の失敗を反省するのだった…。
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裁縫できないなら手伝えることは何もない?
いえいえそんなことはありません。
私はあれから隅っこで一人寂しくメイド服のデザインをしていた。
この世界にはメイド服は存在しないので細かなデザインは私が図面として書き出さないといけないからだ。
先ほどの失態を帳消しにするため、それはもう必死こいてやりました。こんなに必死になるのなんて元の世界にいたときの同人即売会に売り出す漫画の進捗が切羽詰まってたとき以来だ。
そんな様子を周りにいたサリッサと部員たちが興味深そうに見つめていた。
「こんなに真剣になったエリーナ初めて見たわ。」
(ちょっ、私はいつも真剣だぞ。サリッサが見ていないだけで。)
時計の針の秒針が半周したくらいに手に持っていたペンの動きが止まる。
過去の知識を総動員し可愛さを追求した制服が完成した。
「素晴らしい出来だ。私すごい。」
自画自賛。
いやほんと我ながら良い出来だと思ったんだもん。
「あまり見たことのないデザインね。でもとっても可愛いわ!」
覗く込んだサリッサからまずまずの評価を頂き、気分を良くした私は盛大に高笑いするのだった。
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自分が着るメイド服は各々が作ることになったので私は帰ることにした。
学園祭まであと少し。
この身体になってからは初めての参加。
何かトラブルが起こりそうな気がするけど、それを含めて楽しみたい。




