第12話 愉快な双子達
いつものごとく文章量は少なめですが
時間があるときに読んでいただけると嬉しいです。
朝夕の寒気が身にしみる時節となりました。
はい、お久しぶりです。エリーナです。
私のことを覚えていますでしょうか? 一応主人公です。
最近は特に何も起こらず(とはいっても最近妹に過剰なスキンシップをとられるようになったが)平和な毎日を過ごしていた。
平和とは素晴らしいことだ。しかし刺激がなくつまらないとも言える。
サリッサにそのことを話すと、家にこもってないで外出してみたら?と提案された。
妙案である。
そんなわけで私は現在、ショッピングをしに雑貨屋を訪れています。
…雑貨屋? 目の前に映るのは場末感漂う建物。周囲の建造物と比較しても明らかに浮いていました。
見るからに怪しい外観ですが、サリッサのおススメの店なので大丈夫でしょう。
……大丈夫…だよね?
どうしてサリッサはこんな潰れそうな店を紹介したんだろう。もっとお洒落な店かと思ってたのに…。
少し躊躇しながらも扉に手をかけるエリーナ。
店の扉を開くとそこには階段があり、下に降りていくようだった。
「地下に続いてるようだけど暗くて先が見えないわね…。」
足元がかろうじて見える程度。手すりを頼りに先を進むのだった。
暗闇の中を進んでいくと、またもや扉とご対面。今度は先ほどよりも分厚く中の様子が分からない。
「ふぅ……。よしっ。」
意を決して扉を開けるとそこには
「わぁ!凄いっ!!」
広い店内に様々な種類の小物や用途不明の商品が所狭しと並べられていた。
「いらっしゃいませ、お客様。」
「ごゆっくりどうぞ、お客様。」
そこで二人の店員さんが出迎えてくれた。
双子だろうか?瓜二つの顔つき。区別のつかない声音。唯一違うところといえば、二人の頭についている髪留めくらいだ。
二人の店員を横目に通り過ぎて、小走りになりながら店の中を見て回る。すると背後から注意をされた。
「お客様、店内では走らない様にお願いします。」
「お客様、商品は逃げないので落ち着いてください。」
後ろを振り返る。
「すみません。色々面白そうな雑貨があって少し興奮してしまいました。」
「いいのですよ。お客様。」
「そのお気持ちはわかります。お客様。」
息ピッタリな店員さん。許された私は商品を見て回ったのだった。
なぜかついてくる店員さん。
「あの…。別についてこなくて大丈夫ですよ?」
背後から双子の涼やかな瞳に見つめられ気になってしまう。
オブラートに包んで話してはいるが、つまりはついてくるんじゃねーよ、気が散るだろ、ということを暗に伝えた。
「お客様、私たちのことはお気になさらず。」
「お客様、私たちのことは空気のように思ってください。」
この店員たちはヒマなのだろうか。
私は諦めて気にしないことにした。
しばらく眺めていると気になるものを見つけた。
「これは…?」
手に取ったのは卵。大きさはウズラの卵くらいだが、随分と毒々しい色をしている。
「お客様、それは卵です。」
そんなの見ればわかります。
「お客様、詳しく説明したいですが私たちにも何の卵かわかりません。」
説明が雑すぎる店員さん。私はそっと卵を棚に置いた。
さらに奥へ進んで見ると焼け焦げたような臭いがした。なんだろう。
「お客様、ここは防犯グッズが置いてあります。」
「お客様、痴漢撃退用におひとつどうですか?」
(へえ…。)
試しにと私はそばに置いてあったスイッチがついた棒を手に取ってみた。
ボタンを押してみたが何も起こらない。
「これどうやって使うんですか?」
店員さんに手渡す。
「お客様、これは魔力を込めながらボタンを押さないと発動しないんです。」
「お客様、今から実演しますね。」
ポチっ
ボタンを押した瞬間、凄まじい勢いの突風が巻き起こり双子の片割れが吹っ飛んでいった。
「このように使います、お客様。」
「……込め…る………魔力…によって…威力が…変わ…ります、お客さ…。」
片方は無表情でもう片方は死にそうになっていた。
わざわざ体を張って実演をしてくれたのでサリッサのお土産に購入することにする。
私の幼馴染は可愛いからね。自衛できた方がいいだろう。
それからも色々と面白い小物を見たり手に取ったりと、思いのほか楽しむことができた。
「お客様、本日は沢山のお買い上げありがとうございました。」
「お客様、またのご来店をお待ちしております。」
「また来ますね。」
私はそう告げ店から出るのであった。
(それにしてもお客さん私しかいなかったな。)
穴場スポットだな。私は前向きに考え心の中で呟いた。
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モチベーションが上がります。
これからもなるべくサボらず更新していきますのでよろしくお願いします。




