第1話 目が覚めると
初投稿です。
「んぉぉ……。だるいよぉ……。」
そんな乙女にあるまじき呻き声を上げつつ、恋人いない歴=年齢の非リア充な私は現在、PCの前で苦しんでいた。
地元の理系大学に入学し、早4年。就活を終えた私に残るのは卒論だけである。
「卒論書けねぇ……。もう2ヶ月切ってるしそろそろヤバい…。」
買いだめしているチョコを齧りつつ物憂げな表情で息を吐いた。
「っていうか卒論なんて今後の人生になにも役に立たないだろ!!やらなくていいだろ!!」
なんてキレ気味で独り言を言いつつ、いったん作業を中断してベットに寝ころんだ。
枕がふかふかで気持ちいい。最近少し贅沢をしてオーダーメイドの枕を購入したが、正解だったようだ。
「はぁぁ……。美人に生まれ変わって、学生生活やり直したいなぁ。それでリア充生活を送って、卒業後は金持ちの嫁になるんだ。」
ベットの上で軽く目をつぶり馬鹿なことを呟いていると、少しづつ眠気が襲っていった。
「もう今日のところは寝よう。続きは明日だ!問題先送りだー!」
卒論が思い通りに進まず変なテンションになる私。
そして気づけば夢の世界へと落ちているのであった…。
------------------------------------------------------------
「……っ、……エリーナっ!!。」
耳元で自分の名前を呼ばれて夢から一気に覚醒した。
ん……自分の名前?…私こんな名前だっけ?
目覚めたばかりの頭を急速に働かしていると先ほど自分の名前らしいものを呼んだ子が心配そうな声音で話しかけてきた。
「話してる最中に急にぼんやりし始めたから驚いたわ。大丈夫?」
私は状況が良く理解できていないが、とりあえず返事をしようとして目の前の女の子に目を向けると
「ファッ!?」
なんだこの可愛い子!夢か!?夢なのか!?
そう、目の前に今までの人生で見かけたことがないレベルのめちゃくちゃ可愛い子がいたのだ。
突然の状況に訳が分からなくなっていると先ほどの美少女から再度声をかけられた。
「急に具合が悪くなったのかしら……。エリーナ、保健室にいきましょう。」
そして超絶可愛い子に手を握られ、引っ張られたことに驚いた私は思わず、
「さッ、サリッサ!私は別に具合は悪くなってないわ!」
と思わず叫んでしまった。
ん?私なんでこの子の名前を知っているんだろう…。
咄嗟に相手の名前を叫び、自分には知るはずのない名前、記憶に混乱した。
そしてあれよあれよという間に保健室に運ばれて寝かされた。
「これから授業が始まるけれど先生には伝えておくから安心してね。元気になるまで起きてきちゃダメよ。」
そう告げたサリッサは保健室から去っていった。
置いて行かれた主人公ことエリーナは保健室のベットで頭を整理していた。
「なんなのこれ……夢?それにしては妙にリアルだなぁ。」
先ほど声をかけられ手を握られたときの感覚が妙にリアルだった。
だからこそ夢にしてはおかしいと思ったエリーナである。
しかし現実なわけがないと思いなおした私は、考えることを中断し仄かに甘い匂いのするふかふかベットを堪能するのであった。
しばらく横になっていたが、じっとしていることに退屈して、ふと周囲を見渡すと鏡に凄まじく美人な女の子が映っていた。
美人な女の子…
「ファッ!!!!!!???????」
本日何度目かの奇声を上げつつ美人な女の子が映っていた鏡を凝視した。
髪は烏の濡れ羽色。物静かで端正な顔つきの女の子が何故か驚いているような顔つきで鏡に映っていた。
「っていうかこれ私!?」
あまりにも驚き、大きな声で独り言を呟いていたが、もし周囲に人がいたらヤバい子扱いされるだろう。
だがその場には人がいないため独り言を続けるエリーナであった。
「もしかして…。」
私は今の状況をなんとなく掴めた気がした。
「私の中にある覚えのない記憶。夢にしては妙にリアルな感覚…もしかしてこの世界は…異世界?それも転生しちゃった?」
ありえない
そんなことは
でももしかしたら本当に……
私はそんな現実離れしたことを思い浮かべてしまった。