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16 対レイド用新スキル

 俺はこの前魔王の分体を倒した場所に来ている。


 フォルスさんの話によれば、この場所は普通の人間には絶対に入り込めないって事だけど、この前は普通に入り込んじゃったよな。


 今は魔王の封印がなくなって、本当にただ石が並べてある場所になっちゃっているけど。


 ここならば誰も来ないだろうから、安心して色々な事が試せるだろう。


 まずはマジックバッグからフラガラッハを取り出す。この剣も人前でおいそれと使う訳にはいかないから、ここで慣らしておこう。


 鞘から抜き、握ってみると相変わらずズッシリとした手応えを感じる。これはやはり片手では持てないな。もっと腕力がついたら何とかなるかもしれないけど。


 両手持ちで素振りをしてみるが、振っているときは重さはまったく気にならない。むしろ普通の剣のほうが重たく感じるくらいだ。


 さすがは魔王が持っていただけのことはあるな、剣のバランスがいいんだろう。これならどれだけ振っても疲れないぞ。


 ああそうだ! 俺は剣だけで正面から戦うタイプではないんだった。


 どうしようかな・・・・・・両手がふさがっていると小手先の技が使えない。地下室で魔族と戦ったときはうまく誤魔化せたけど。


 ん?! どうせなら剣から魔法を飛ばせないか! 試しにやってみよう。


 剣に魔力を流し込んでみると、その腹に刻んである文字が青く光りだした。


 おお! これはうまくいくかもしれない! この前覚えた風魔法を発動させると、剣に風がまとわりついて、ゴォーっと唸っている。


 よしこのままいくぞ! そのまま剣を思いっきり振り切った。


 剣から放出された風魔法は、そこらへんに並んでいる石に向かって飛んでいった。そして・・・・・・


 石が真っぷたつになっちゃったよ!! 風で石が切れるの?!


 これはとんでもない威力だぞ! 自分でやっていてびっくりした。


 でもこれならば、大量にやってくる魔物相手でも結構戦える気がする。





 よし! フラガラッハはこれでいいだろう。というよりも予想以上にすごいスキルが手に入った。


 次はわざわざこんな所まで来てまで試したかったあれだ。


 風向きを確認して・・・・・・よし大丈夫だぞ。


 俺は『握りっ屁』を発動した。握った左手の中が生温かくなってくる。


 そのまま手を突き出して草原に屁を放つ。そして素早く大きな石の影に隠れて、今度はロケット花火をその屁に向かって打ち込んだ。


『ドゴォーーーーーーーーン』


 予想をはるかに上回るとんでもない威力だった。おかげで耳がキンキンしている。


 屁が爆発した跡に行ってみると、直径10メートルくらいのクレーターが出来ていた。


 上空にはキノコ雲が発生しているし、これはちょっとした気化爆弾並だぞ。


 この後俺は何回か握りっ屁の量を変えて実験して、最後に最大量で試したら50メートル級のクレーターが出来上がった。


 この結果には満足を通り越して呆れている。これは、ちょっと加減を間違うと自分が巻き込まれるな。あと、耳栓は忘れないようにしないと。




 うん、これで昨日頭を捻って考え出したプランは実用化できた。そう何度も試せないから、あとは実戦で効果的なタイミングを見つけるしかない。


 フラガラッハをしまって帰途につく。昼を少し回った時間だから、明るいうちに帰り着くだろう。


 そんなことを考えながら街道がある方向に歩いていると、遠くから『ズシン、ズシン』という地響きが聞こえてきた。


 なんだろ? と思ってそちらの方を見ると、かなり遠くにでかいカメが歩いている。


 あれは確かランドタートルだっけ? いや、歩くたびに地面が揺れているところを見ると、ジャイアントタートルか。


 せっかくだから、一狩りいくか!


 俺は魔物のほうに向かってゆっくりと歩いていく。相手はカメなので動きは遅いが甲羅が硬くて攻撃が効きにくいとフォルスさんが言っていたな。


 こちらの攻撃が届く距離まで近づいて俺は握りっ屁を放った。予想通りにカメは麻痺して動けなくなっているよ。


 しばらく時間を置いて匂いが消えてから、慎重に近づいて頭に剣を突き刺す。


『パキン』


 あれ?! 剣が折れちゃった!


 こいつ頭も固かったのか・・・・・・


 仕方がないので、フラガラッハで止めを刺しておく。


 マジックバッグにカメをしまってから、折れた剣をしげしげと眺めてみる。


 これは、俺がこの世界に来たときに用意してあった剣だったよな・・・・・・安物をよこしやがって! 

 

 剣はきれいに根元から折れていて、カメに刺さったままだ。俺の手元には柄の部分しか残っていない。


 これ何かに使えないか? でも折れた剣だし・・・・・・何に使える??


 両親に『物は大切にしなさい』といわれて育てられたものだから、なんか捨てるのには惜しいんだよな。


 そうだ! 日本にいるときにSF映画で見た光線みたいな剣・・・・・・確か『ビームセイバー』とかいっていたよな。


 縁日とかで蛍光色の作り物とか売っていたっけ。孤児院の子供達に見せたら喜ぶかな?


 よしやってみよう!


 俺は映画のシーンをイメ-ジして、剣の柄に魔力を流した・・・・・・出来ちゃった! 


 なんか、結構本格的だぞ! 柄から光線が伸びて剣のようになっている。振ってみても軽いし、これ面白いな。


 まあ、子供用のおもちゃだから実用性はないだろうけどね。


 なんか切れるのかな? 本当に切れるようだと危なくて子供には触らせられないし、一応試しておこう。


 俺は近くの木に向かってまったく力を入れないでビームセイバーを振り下ろした。


『バシュン!!』


 えっ???


 目の前にあった木が蒸発しましたけど・・・・・・


 木があったところにはおそらく木の残骸であろう粉状の物と、水蒸気しか残っていない。


 俺はどこかの劣等生のお兄様ですか!!


 危なかった! こんなものを子供にあげてしまうところだった。それにどうも俺の魔力がゴリゴリとすごい勢いで消費されている。


 すぐに魔力をとめて剣の柄はマジックバッグにしまいこんだ。これは余程の時にしか使えないぞ。


 結構冷や汗をかいたな。今日はこのくらいにして街に戻ろう。




 

 

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