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2,4


「さあさあ、寄って見て、触って使ってまあまあこっちに来てみなそこのお嬢さん。あなたの気になるものなんでも聞いてよ見てってよ」


「そこのお兄さん! そう君! 何か見て行ってほしいにゃ。きっとあなたの思いに答える一品があるはずにゃ! さあ見てって見てって……にゃ」


 ロメオとヴィオの二人が街の広場で接客をしているをしている。ふたりは傍から見るととても楽しそうにしている。そんな二人の様子に惹かれるのか多くの人が集まってくる。二人を見るため――それで構わない、二人を見に集まった人に商品への興味を抱かせる、それがロメオの仕事なのだろう。

 グラモンさんは他の場所で商売している。ジュリーさんは売れ行きのデータをとっている。ジョックは休みなのか街を散歩している。自分はお客の方々の欲しい商品がなかったとき、積み荷の中から該当するようなものがないかを探してくる仕事だ。

 まあ、二人の接客で場にあるものを売っていくため、自分は結構暇である。


「タクジ! 眠りやすくするための薬草がほしいそうですにゃ!」


 と思っていた矢先、仕事が来た。


「了解! 少しお待ちを」


 自分は馬車のところまで行く。そこではロメオの手伝いをしている商人の方がいた。


「あの眠り安くなる薬草ってありますかね?」


 自分は彼に聞く。そう先ほど探してくる仕事といったが自分の知識では限界があるためたいていの場合彼に相談しながら、ものを探すのであった。

 彼が少し馬車の中をのぞき込んで少しして、出てくると自分に三つの袋を渡しながら言った。


「こん中のどれかでいいはずだ。ロメオに渡してどれがいいかヤツに調べさせな」


 彼はそう言ってまた馬車の中に入っていった。

 自分はロメオのところに走る。

 

「ロメオこれ、あっちのヴィオのところのお客さんに、薬草をどれがいいか調べろって」


「OK、じゃあタクジ俺の代わりに、こちらの列のお客様のお相手を」


 ロメオはそういってヴィオの方に行った。

 さて困った、自分に接客など勤まるのだろうか。


「いらっしゃいませ。お客さまご入りの商品はございますか?」


「いや、あのさここ何売ってんの?」


 なんというか態度の悪いまるでヤンキーのような男だった。


「お客様の要望に合わせて必要なものをお探ししますが」


「だから! 何があるかって聞いてんの! わ か る ?」


「いろいろなものがあります。機関式の最新機器から、珍しい鉱石の類、また薬草なども取り扱っています」


「ふーん、じゃいいや」


 なぜか男の人はそのまま帰って行ってしまった。自分はやはりこういったことは向いてないとつくづく思う。せめてロメオのようなこみゅ力かヴィオのような愛想の良さがあれば話は別なのだろう。  

 そうこうしていると次の客が来た。


「いらっしゃいませ、何かお探しですか?」


「ねえ! ここはさっきまでロメオちゃんが接客してなかった! ねえ!」


「ええ、先ほどまでは彼が、ですが彼は所用で――


「何でよおおおーーーー! さっさお彼に代わりなさいよーーーー! ! ! はやくはやくはやくはやくぅぅぅぅぅぅーー!」


 少し、太り気味のおばさんが列で叫びだしてしまった。どうしようか……


「お客様、落ち着いてください。どんな商品だろうとこちらで完璧に用意させてもらいますので、彼ではなくとも――


「いいから、代われえぇぇぇぇ」


 彼女の叫びはすさまじく、周りの視線もこちらに向けられる。

 ど、どうすればいい……とりあえず話が通じて……


「どうも、お客様。何かご入用ですか?」


 あたふたとしていると後ろからロメオが現れる。どうやらヴィオの方の薬草の売買は終わったようだ。とりあえず、自分の手に余るであろう、ここはロメオに任して自分は後ろに戻ることとしよう。

 ふぅ、助かった。


             ◇◇◇◇


 なんとか仕事も終わり、自分はヴィオが店じまいのあと片付けをしていると。


「ねえ、タクジ、あれ……」


 ヴィオの言っている方を見る。

 そこには、ロメオが一人、馬車の中で座ってうつむいていた。寝ているのだろうか?ピクリとも動かない。彼はいつも商売の後も一時も気を抜かず。指示や片付けなどの仕事を先導して行っている。その彼が眠っている。もしかして自分が代わってもらった客の対応でつかれたのだろうか。なんにせよ彼にしては珍しいことに思える。


「彼いつもよく働いているのに、起こした方がいいかしら?」


「いや、そっとしておこう。たまには疲れる日だってある」


「そうね、お疲れさま、ロメオ」


「お疲れ」


 届くことのない言葉だけを残して自分たちはその場を後にする。

 彼にも球速は必要だろう、たまには休んでてもいいだろう。


 だが、なかなかロメオが目覚めない、すでに片付けは終わり、各々の時間を楽しみだしたのにロメオはいまだに眠っている。流石に起こそうと彼の馬車に行くとちょうどジュリーさんと会った。


「どうしたの、たぶんロメオなら――」


「はい、中で寝てますね。どうしたらいいかなと思って」


「ジュリーさんはどうしたんですか?」


 隣のヴィオが聞く。


「さすがに、一度起こした方がいいかと思ってね」


 そう言ってジュリーさんは馬車の中のロメオに声をかける。


「ロメオ、大体片付け終わったわよ、いつまで寝てるの、さすがに起きなさい。いつものチェックはしておいたから」


 そういうと、馬車の中でごそごそとした動きがあるのがわかり少しすると中からロメオが出てきた。

 だが彼の顔は明らかに調子が悪そうに青ざめていた。


「どうかしたんですか? 調子わるそうですけど」


 おそるおそる聞いてみる。


「ああ、まあ、疲れ……かな? まあ少し休んだら良くなるよ。大丈夫大丈夫」


 あまり、大丈夫そうに見えなかったがまあ彼がそういうのなら信用するしかない。


「そう、つらいのならすぐ休みなさいよ。今日は予定があって夕飯は一緒にできないわ、それを伝えにきたのよ」


「ジュリーさんなんの御用なんですか?」


ヴィオが彼女に聞く。彼女は正確にはこの隊商人の商人ではないため、そこまで仕事は多くないはずだ。何かの仕事のやりのこしということはないだろう。

 

「この街の商人の方に夕食を呼ばれてしまったの、父と付き合いのある方だから断わることができなくて。夕飯をご一緒できなくてごめんなさいねヴィオ」


「いいえ、心配しないで。また明日ね」


「ええ、また明日」


 そういって彼女はほほえんでこの場を去っていった。

 ロメオも歩き出すと、


「僕も一応薬になりそうなものを取っておくかな、このままだとまたジュリーに叱られちゃいそうだからね」


「私たちもついていくわ。ロメオあなたふらついてるもの。いいでしょタクジ」


「そうだねついていこうか」


「いやあ、君達にもそんなに、心配を、かけたなんてすこし、反省が、必要かなぁ」


 そういって、歩き出す。


「そういえば、ロメオは薬草や薬品まで扱っているの?」


「うんそうだよ、世界中の場所に行くからねとにかく集めれる品目は多くなる。それを不足している地域で売るだけで儲けになるからね」


 そうこう言っていると、薬品系の入っている馬車につく、ロメオは中から目当ての薬を探し出した。


「へぇそうなの昼間もかなり詳しかったわ」


「適当なものを渡すわけにはいかにからね。ものによっては毒となるものも存在するし。そのために種類や効能を覚えておくのも仕事のうちさ」


 彼は一本の瓶を手に取る。それが目的のものだろうか。


「それなんなんですか?」


「……まあ、ただの疲れをとるためのものさリラックス効果とかあるやつ。けっして変なものじゃないよ」


 そう言って彼は笑うと、一気に中の液体を飲み干した。


「いいんですか、そんな一気に飲んで」


「うんうん大丈夫大丈夫、いすれ良くなってくるから。さて、今日はどこで夕飯を食べようか。この街は酒場、食事処あわせても三軒しかないのだけど、どこもおいしいんだよ、心配かけたし今日は僕のおごりということでいいよ」


「いつも、食費はあなた持ちということになってるはずだけど」


「厳しいなぁヴィオちゃんはジョークだよ、ジョーク」


 彼は笑った。確かに少し楽そうな顔つきになっていた。


 街は夕暮れに染まり。人々は疲れながら自らの家や、酒場に行く。そんなこの世界ではありふれた日。事件の足音は目前まで迫っていた。



 ―――――――――――――――――――――


 魔獣……既存の生態系より現れた、強大な力を持つ生物。


 魔物……突発的に生まれる神秘の化身。

     魔物との差は曖昧ではある。


 怪異……××や××××に神秘が流れ込んだ、最新の化け物。


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