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月の姫君とそのナイト?   作者: 向井司
一部 月の姫君とそのナイト?
103/188

100-2 ネタ話

ネタ話なのに続いております。


 イベントやらの当日。指定されたのは東京ビッグスポット。

 知ってる。

 ゲームのイベントとかあるすごい大きな会場だ。お台場にあるんだよね。めっちゃ広いんだよ。

 私も前にゲームショーで行ったことがあるよ。

 新作ゲームのデモとか、グッズとか先行販売とかあるんだよね。

 企業ブースが豪華で賑やかで楽しかった覚えがある。特にゲームキャラのコスプレとか、おー3Dって感動したもん。


 イベントって、あんな感じなのかな。だとしたらちょっと楽しみだな。


 電車を降り、改札を抜けると人が一杯だった。ゲームショーと違って子供連れはほとんど見ない。あと、結構な人がスーツケース? を引いている。何に使うんだろう?

 あの人たちは、もしかしたらホテルから直行したってことかな。

 大変だなあ。


 改札を抜けたところで、この間の謎集会で唯先輩の隣にいた女子が私の方へと歩いて来た。


「明宮さん、おはようございます」

「おはようございます…え、と…」


 ところでこの人、誰?


「私は暁の会、副会長の斎藤優樹菜(さいとうゆきな)です。伊吹さんと同学年です」


 唯先輩と同学年の二年生か。つまり斎藤先輩ね。クラスについての補足がないと言うことは、同じクラスではない、と。


「来て下さって嬉しいです。今日はよろしくお願いいたします」

「…はい」


 斎藤先輩について歩いていく。

 会場前の階段を上る人が一杯だ。

 すごいなー。

 入り口で名刺より小さいチケットをもらい、サークル入場口と言うのを潜る。


 あれ?

 イベントって、ポスターとかないの?

 ゲームショーだと、入り口からいろいろ賑やかなんだけど?


「こちらですよ」

「あ、はい」


 人の波と外れて上りエスカレーターに向かうと、そこが更衣室だった。

 中に入ると、コスプレしてる人が一杯いた。

 すごーい。

 あれはバレーの奴だ。こっちの和装は刀のゲームだ。

 髪の毛の色も変えるんだねえ。カラコンも使うんだ。

 あ、でも頑張って自分で作りました、って感じの子もいる。惜しい。その布の質感が惜しい。


「お待ちしてました」


 キョロキョロしそうなところを必死で抑えていると声がかけられた。壁際にいたのは謎集会にいた人…で、誰?


「鈴村ゆかりです。一年です」


 ゆかり嬢は名乗ると優雅に会釈をした。

 ふんわりしたお嬢様な感じなのに、薄い本の関係者なのかー。


「おはようございます」

「早速ですが、お着替えをお願いします」


 言って傍らのでかいスーツケースを開けると、一番上にあったのは、ワインレッドの執事服?


「あ、これは違います」


 おほほほとか誤魔化し笑いをしながら、ワインレッドの執事服を背後に隠す。


 それは…もしかして、悪魔執事、デーモンバトラーのキャラ?

 デーモンバトラー、略してデモバト。令嬢になったプレイヤーが執事の力を借りて学園のトップに立つ、そんなゲームだっけ? ちょっと違う気がしなくもないけど、まあそんなもの。で、付く執事は実は悪魔で、ちょいホラーっぽいんだよね。確か赤、青、緑、黒、白の悪魔執事がいるんだよ。

 さっきの衣装はワインレッドだから、赤の悪魔執事。名前は確かベルゼアス。やんちゃ系のオレ様キャラだったはずだけど、それを私に着せたいの? 着ないよ、キャラの設定よく知らないし。


 ちなみに、私的にはデモバトと来たら、デモンズ・バトルなんだよね。アクションゲームで、メインキャラが悪魔で天使と戦いながら進んで行く系。こちらも魔法を使うからエフェクトとか凄い格好いいんだ。

 こっちの悪魔は執事服はひとりもいないけどね。


 それはともかく、私はゆかり嬢に渡されるまま執事服に着替えていく。

 ぬ? 学園祭に着たものよりグレードアップしている。布地とか装飾とかいろいろ。

 何が凄いって、出された革靴まで誂えたようにぴったりなんだよ。

 オーダーメイドレベルのフィット感…怖い。私の個人情報だだ漏れ?


 私が着てきた、シンプルなブラウスとスカートと靴は代わりにスーツケースに仕舞われた。財布と携帯とハンカチは内ポケットに収納。この衣装、内ポケットが一杯あるよ。ものすごい収納力。バッグを持って歩けないため、かなあ。よく考えられている。

 着用者に優しい衣装だ。


「キング様、屈んで頂けますか?」


 屈むのは体制が辛いので、方膝を付いた。

 ゆかり嬢が持っているのはメイクセット。化粧までするのか。本格的だなあ。力入り過ぎじゃないの。

 一体どんな『顔』にされているのやら。怖いから鏡は見ない。


「眼鏡はこちらを」


 髪も整えられた後に眼鏡を差し出される。硬質なメタルフレーム。

 私の眼鏡が伊達だと言うことまでバレている。

 まあ、よく見てたら解るよね。

 眼鏡をかけ代えたらスタンバイOK。


 ゆっくり立ち上がり、背筋を伸ばす。


「素敵…」


 斎藤先輩が頬に手をあててため息をついた。


 今から、私は『キング』だ。自己暗示、自己暗示。


「お嬢様、それでは参りましょうか」

「はい」


 スーツケースを手に、私は斎藤先輩とゆかり嬢の後を歩き出した。




まだ、続くんですねー。ネタなのに。

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