表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月の姫君とそのナイト?   作者: 向井司
一部 月の姫君とそのナイト?
101/188

99

なんかもう、99話っていうのが、我ながら信じられない。

次回、記念の100話は、しょーもない話を書きたいです(をい)



「明宮さん」


 廊下を歩いていると背後から声をかけられた。

 振り返らなくても誰かはわかる。さっき聞いたばかりだの声。


 ちっ。


 内心で舌打ちしてしまった。

 はっ、現実にやってないよね。エア舌打ちだったよね。


 ヤバい、ヤバい。油断大敵。


「何ですか? 火村先輩」


 ここが学園内である以上、生徒会長を無視する訳にもいかず立ち止まる。


「話をしたいんだけど」

「私は特に話すことはありませんが?」


 まだ続くのかな。

 意外と食い下がるね。


「本当に、生徒会に立候補する気はない? できれば唯を助けてあげて欲しいんだけど」


 あら、唯先輩が立候補するのは確定なのね。

 生徒会長だろうか。副会長だろうか。

 多分、どちらかだと思うんだけどね。


 生徒会に守護者を入れるのは確定なんだろう。

 後々の結界云々時の動きやすさを考えて。

 もはや伝統の域だね。


 唯先輩も大変だなあ。そこは同情するよ。


 だが、しかし。

 私が生徒会に入るかどうかは別問題なのだ。

 でもって、私はやりたくないのだ。


「他にも誰か立候補するんですか?」

「書記に蓮が出るよ」

「なるほど」

「だから、明宮さんがフォローに入ってくれると、僕も安心なんだけど」


 にこり、火村先輩は爽やかに微笑んだ。

 火村先輩のファンなら悲鳴ものの微笑みだ。

 どんなお願いだろうと、うっかり頷いてしまうだろう。


 しかし、私には効果はないのだ。

 ファンブル! 渾身の一撃は通用しなかった。


「河澄君がいるのなら、大丈夫ですよ」


 今の好感度レベルなら、アヤが河澄君をフォローしていくだろうから、問題はない。


 学力的に言うなら、アヤの方が補佐として有能だ。

 ええ、学力的に!


 ぐ、今のは自爆事案だった。


「やっぱり、駄目なのかな…」

「全力で拒否します」


 私もにっこり笑ってみせた。


 クラスでは、何かを企んでいると言われる笑みだ。

 にっこりのつもりでもにやりに見えるらしい。

 失礼なことである。


 火村先輩は小さくため息をついた。


「引き継ぎで…二人きりになれるチャンスだったのに…」


 ため息混じりの呟きは、小さ過ぎて聞こえなかった。


「? 何ですか?」

「何でもないよ。残念だけど、この件は引き下がるよ」

「そうしてください」


 思ったよりあっさり引き下がってくれたのが、少々怖いけど、そこは追求しない。

 言質を取ったのだから、善しとしよう。


「だけど、生徒会は関係なく、唯を助けてあげてくれる?」

「それは…私に出来ることがありましたら…」


 さすが、転んでもただでは起きない。


 外部からの協力を約束させられた。

 まあ、ね。それくらいならいいよ。

 生徒会の手伝いなんて、早々お呼びがかかるもんじゃなし。


 …ないよね?


 フラグじゃないよね?


 うぬう、確かめようがないぞ。その時になってみないと解らないな。


 まあ、来年度の話だもん。

 今から心配しても仕様がないか。


「じゃあ」


 右手を挙げて、火村先輩は颯爽と歩き去った。


 ふう、やれやれ。


 思ったより簡単に引いてくれて良かった。

 これで詰め寄られたら、拒否どころか拒絶だよ。暴れるよきっと。

 でも、そこまでには行かなかった。


 ん?


 この絶妙な引き際。

 もしかして、私の性格をかなり把握されてる?


 …火村先輩なら、有り得そうだ。


 やっぱり、この人怖いわ。



 さて、結論を先に話してしまうが、唯先輩は副会長に見事当選した。

 っていうか、対抗馬はいなかった。当たり前か。

 賑やかしはいたけど、あれはなんか参加することに意義があるとか、多大な勘違いをした人だった。

 毎年、どういう訳か一人は発生するらしい、ネタ枠なんだそうだ。

 なんだそりゃ。


 河澄君も書記になった。

 生徒会に二人守護者はいるので来年一年も安泰と言うことだ。


 ふむ。


 これで、ラストイベントに専念できると言う訳だね。


 ラストイベント…世界の崩壊は…多分近い。


 それを知っているのは私だけ。


 はあ。


 ため息出ちゃうよね。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ