M-1?何それおいしいの?
M-1からスタートです。
「今回は4人のうち一人だけを選んでいただきます!」
生徒会から観客へ説明が入る。
只M-1のルール説明中。
まぁ、やる側にはあんまり関係ないんだけど…。
そんなことより…。
ネタどうしよう…。
相変わらず無いよこれ。
後輩が「先輩、そんなのはですね。一発芸ビシッと決めて帰ってくればいいんですよ!最短制限時間はないんでしょう?」って言ってた。
それは正直…。
「それだは始めます!まずは科学部からです!科学部の方お願いします」
あ~…。始まってしまった…。
とりあえず舞台へ。
「え~と…。こんにちは。ネタがないんですけど…。あ~と…。あの…。嫌なんですけど…」
さて、どうやって場をつなげよう?
「あ~もう!ねぇ!どうすりゃいいの!?もう!なんか適当に喋っとく?うん。もう。それが良いね」
適当に進める。
お、観客の中に携帯で動画録ってるクラスのやつ発見!
これは使える…!
「はい!そこの!携帯で動画録ってる人!俺の代わりにモノマネやって!」
もうムチャブリ。
「は?え?俺?待てよ!いやいやできねぇよ!何言ってんだよ!ムチャブリもいいとこだよ!」
なかなかのリアクション。
「だってさ、皆さん。皆さんだって見たいでしょう?ねぇ」
強引に進める…。
「あ~…。分かった。じゃあ…。え~と…。数学の先生のモノマネ!」
「いや、通じないから!」
「そう?じゃあ…。校長のみっちーのモノマネ!」
「いやそうじゃなくて!しかもみっちーって…。おい、本人あそこに…」
「うお!?ああ~…。ゴメンナサイ!家畜の豚のモノマネやります」
「いや、常にしてるじゃん…」
「いやしてねぇよ!どういう意味!?」
「そのまんまの意味!ほらそろそろやって!俺は速く引っ込みたいんだから…!」
「勝手だな!ムチャブリしといて引っ込みたいとか!じゃあ…そうなぁ。飛び立つ蛾のモノマネ!」
そういうと無駄に手をバタバタさせた。
「あはははは!その顔止めろよ!あはははは!」
「顔は普通だった!手を見ろ手を!」
「あ?ああ…」
適当に流す。
「では!俺はここらへんで撤退しますよ!失礼しました!とう!」
はぁ、やっと終わった…。
俺のネタというかあいつのネタのような…。
まぁいいや。
「科学部のみなさんありがとうございました。続いては…」
生徒会のアナウンス。
え?皆さん?
あいつは科学部じゃないよ…。
まぁいいか。
全チームの発表終了。
「それでは皆さんはステージに上がってください」
生徒会にそう言われてステージに上がる。
「集計が終わりました。優勝は~…」
…。引っ張るねぇ…。
「地学部の皆さんです!」
はい?あれ…?科学部じゃないのかー?
普通小説ってのは主人公が勝つものじゃないの?
おかしくねぇ?
「地学部には学食で使える500円分の商品券が貰えます」
いいなぁ~。
「それでは地学部の皆さん。コメントをどうぞ」
「いやぁ、やりました」
あれ?それだけ?
まぁ、そんな感じで幕を閉じたM-1。
俺はそのまま化学室へ。
「お~!M-1どうだった?」
聞いてきたのは部長。
「あ~?どうしてもないよ。なんだよあれは…」
「負けたんだ…」
「勝つ気無かったしなぁ~」
そんな会話をしてダイラタンシー体験場へ。
相変わらず人は来ている。
いつものように接客していると…。
「只今の時間を持って一般公開を終了いたします。グランドにて後夜祭を行いますので、是非ご参加ください」
というアナウンスが。
「終わった…」
そっと呟いた。
「本日はこれで終了です。また来年もよろしくお願いします。また、後夜祭は一般の方も参加いただけます。是非ご覧になってください。打ち上げ花火もありますよ」
そう言って部屋の中にいる一般客を外に追い出す。
「部長!後夜祭どうする?」
俺が部長に質問。
「え~?花火は見たい」
「だよね」
「でも時間がある」
「だよね。あ、そうだ。液体窒素余ってないの?適当に凍らせて食べようよ」
「余ってない。窒素も食材も」
つまんないの…。
仕方ないので雑談して時間をつぶす…。
1時間後…
「そろそろ行こうぜ!」
俺が促す。
「どこで観る?」
「そりゃぁ、二階の通路でしょ!」
「ああ~」
二階の通路…。
去年見つけた誰も来ない特等席。
「只今より花火を打ち上げます。最前列の方が線の所になるまで下がってください」
と外で言っているのが聞こえた。
「お!始まるぞ!」
すると…。
ピュゥ~~………ダーーーン!!
花火が打ちあがった。
「願わくば、隣にいるのがあんたじゃなきゃねぇ…。あんたもそう思わない?」
俺が部長に言う。
「あ?彼女ってこと?」
「まぁ、そういうこと」
「あ~…。確かにねぇ。今日呼んだけど予定が入っちゃってたみたいなんだよねぇ」
「は?な…え?彼女いるの?」
「いる。西東京に」
「はぁ?マジ?」
「マジ」
何だ…?この衝撃的な展開は…。
「花火綺麗なぁ~」
適当にごまかした。
「これにて後夜祭は終了です。ありがとうございました」
外でのアナウンス。
ふうぅ~…。
終わった~。
「部長、帰ろう」
現在8時。
久しぶりに帰りが遅くなったのでした。
翌日の学校。今日は月曜日。
今日は片づけをするために登校日。
明日と明後日は代休。
文化祭のときそのままの化学室。
散らかっている。
ビーカー、ガラス棒、洗濯のり…。
目につくもの全てを片づける。
俺はダイラタンシー担当だからダイラタンシーとブルーシートだけなんだけど…。
ガラガラガラ…。
扉が開いて部長が入ってきた。
「部長!写真見せて!」
突然の一言に戸惑う部長。
「何の?」
「彼女」
「ああ…。そのうちね」
「え~…」
部長は片づけを始めた。
「ほ~ら。お前もやれって」
部長に流されてしまった。
40分後…。
「よし!片づけ終了!」
いつもの化学室に戻った。
また来週からいつも通りの部活が始まるのであろう…。
寂しいような、何と言うか…。
文化祭楽しかったな。
「あ、部長!文化祭の人気投票!あれ、うちらは40票入ってたよ!」
俺が部長に報告。
人気投票ってのがあって、お客さんがどの部活が一番面白かったかを投票するボードがある。一番面白かった部活の名前の所にシールを貼って貰う仕組み。
「ああ、あれ?俺さぁ、昨日2枚くらいシール貼っといたんだよね」
「ああ?じゃあ…。38票すか…。まぁいいか。結構入ってる。入ってない部活もあるくらいだから良い方なんじゃん?」
「応援団とか100超えてるけど?」
「それは知らん」
人気も結構あったらしい。
良かったよかった。
こうして、今年の文化祭は完全に幕を閉じたのであった。