M-1という強敵
M-1に挑む勇者あり。
冷たい目線には耐えれども、その後友達に苛められたり。
特設ステージの横にて俺、召集がかかるのを待つ。
「M-1出場者の方はここに集まってください!」
あ~…。生徒会が呼んでいる。
行きたくない…。
このまま棄権したらどうなるのであろう…。
いや、それはさすがに良心が痛む…。
「このM-1は1:1方式で行われます。観客の皆様は、お手元の投票用紙を面白いと思った方の箱に入れて下さい。箱は生徒会役員が持って回ります」
生徒会のルール説明。
その間俺は必至でネタを考える。
…。思い浮かぶわけがない。
一昨日部長に相談したら「カエルが一匹いました。跳ねました。ゲロゲロ」
って言ってた。意味が解らない。ネタじゃない。馬鹿なんじゃない?
何故だろう。その出来事しか思い浮かばない。
ヤバイ…。
さすがに舞台上でそれを言うわけには…。
「それではまず第一試合!科学部VS柔道部!!先攻化学部さんお願いします!
さて!お笑い芸人もびっくりのこの片菜高校のM-1!今年は一体どんなネタが飛び出すのか!?皆さん!期待してください!」
生徒会!余計なこと言うな!
とりあえず舞台に上がる。
…。緊張する。。。
ネタなんて無いよ…。
何か喋らなくては…。
「え~と…。あの…。ネタがないんで…。まぁ…大目に見て下さい」
とりあえずハードルを下げよう。そう思ったその時!
「え~!ネタ無いの~?なんで出てんだぁ?」
うるさい連中が口を出してきた。
「え?何故ネタがないか?はっは~?皆さん知りたいでしょう?いいでしょう。教えてあげますよ。部長に勝手に決められて、これに出ることが俺に知らされたのは一昨日だからよ!」
嘘です。もっと前から知ってました。
「え?一昨日?うっそだぁ~?」
また口出してきた。
「ホント!嘘だと思うんなら科学部の部長に聞いてみなさいよ!多分言うから!」
部長巻き込んだ。
「あ、そうなの?じゃあ仕方ないか~。後で科学部行って確認するぜ!?いいのか!?」
「いいぜ!?なぜなら!それが作戦だからよ!あははは!これで科学部の入場者数が増えるぜ!」
「しまった!?はめられた…だと…?なかなかやるな!」
「やるぜ!もっと褒められてもいい人材だと思うんだがなぁ?」
「そんなことはないだろう…」
「本音を言うな!」
「ところでさぁ~、何でそんな変な服装してんの~?」
うおっ!?新しいパターン…。しかも普通に学ラン着てるし…。
「うん。そうなの。ちょっとYシャツに墨こぼしちゃった…わけねぇだろー!変な振りは止めなさい!いくら舞台上でも対処しきれないぜ!」
「しきれてるじゃん…」
「うん…」
「あ~…もう!ネタがないんで帰ります。帰って寝ます!じゃあね」
そこまで言って俺は舞台を降りた。
降りるとき階段でコケそうになったけど気にしない…。それが一番笑いが取れたことはさらに気にしない。
正直観客が口を挟まなかったらヤバかったと思う。
続いて柔道部の発表。
…。なんか普通の漫才を繰り広げている。練習したんだろうなぁ…。
全然笑いが取れていないけど。
「さて!どっちが面白かったのか!?投票です!科学部と柔道部の方は舞台上へどうぞ!」
生徒会が指揮を取る。
いいよもう。余計なことしないで…。
「結果が出ました!科学部の勝利です!おめでとうございます!」
は?
ワケガワカンネ…。
「それでは勝者の科学部にお話を伺いたいと思います」
そう言ってマイクを差し出してくる生徒会。
「えっ…と…。ネタも無いのに…なんか…スイマセン。あの…。喉乾いたんで部室戻ってイイスカ…?」
帰りたい。率直な気持ち。
「科学部には明日の決勝にも参加していただきます!」
嫌なんですけど…。
そんなこんなで部室に戻る。
すると、後輩たちが待っていた。
「え~、予選通ったの?やるじゃん~…」
あ~…、嫌味にしか聞こえない。
「結構面白かったよ。最後の階段から落ちたとことか」
「あれは落ちたんじゃなくて…えっと…降りたの!ってか見てたの?見んなっつたのにさぁ!」
「うん見てた。ほら」
そういって携帯電話を取り出した後輩。
何やら再生し始めた…。
「ね?録画した」
「お前…。この野郎!」
本当に後輩なのだろうか?
「あ~もうほら!違う教室見てきなさい!」
強引に後輩を化学室から追い出した。
「ふう。あとはダイラ見てるだけだ…」
そっと呟いて自分のブースに戻った。
そのまま今日は一般公開終了。
ダイラタンシーを流して新しく作り変えた。
ブルーシートも掃除した。
これでまた明日も大丈夫。
「よし!部長!帰るぞ!」
部長に声をかけた。
しかし…。
「スライム作ってるからあと5分まってくれぇ!」
無視して帰ることにした。
明日一日も頑張ろう。
俺はそう心に誓った。
あ~…。
やっと初日が終わりました。
相当引っ張りました。というか、区切ってったらこうなりました。
いや、正直に言うとですね、一気に書く時間が無かったのでちょっとずつ書いてたんです。
次回から文化祭二日目に突入します。お楽しみに!
次回かその次か…。文化祭終了とともに物語を終わらせたいと思ってます。
そのうち番外編でもやろうかね…。
(2/6に「学園」ジャンルのランキングで6位になりました。心から感謝いたします。)