表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/48

第8話 決 戦(その3)

 次の瞬間、環士は全身を貫く悪寒を感じた。

 不意に現れた、ささやくような声を聞いて。

「よくやった。フィーマ、マリイ、テレイン。そして、赤潮男」

 環士が声の方へと目を凝らす。

 廊下の奥から、王冠を被り全身を折り紙のマントで装飾された一匹のヘビが這ってくるのが見えた。

 慌てて跪くフィーマとマリイをよそに、テレインが声を上げて駆け寄る。

「ママだー。わーい」

 ママの正面でヒザをつくテレインの顔をママ――ヘビが頭を上げて覗き込む。

「テレイン。テレインはママのことが好きかい?」

「あたりまえだよー。大好きだよー」

 直後、周囲は砂嵐に覆われた。

 環士はそれまでと一転した闇に全身を強張らせて息をのむ。

 しかし、闇は即座に晴れる。

 何事もなく戻った視界に安堵の息をつく環士だが、テレインの様子がおかしいことに気付く。

 ヒザをついたままのテレインは足元のヘビをぼんやりと見下ろしている。

 ヘビはぐったりと伸びて動かない――死んでいるように。

 紗登子がドルド丸に問い掛ける。

「なにが……起きてるの?」

 ドルド丸は答えない。

 ただ、震えている。

 その異様な空気に環士もフィーマとマリイを見る。

 ふたりは、ただ、じっとテレインを見ている。

 不意にテレインが立ち上がり、自身を見下ろす。両手を握って開く。全身の関節をぐるぐると動かす。まるで身体感覚を確かめるように。

 そして、足元に転がるさっきまでママだったヘビの死骸を踏みつけて笑う。

「きひ、きひひ。きひひひひひ……あははははははははははははははははははは」

 夜の校舎を哄笑が満たす。

 その中でマウントディスプレイを装着したままだったマリイがつぶやく。

「テレインにママが憑依した」

 そこへ紗登子とドルド丸の悲鳴。

「ドルド丸っ」

「紗登子っ」

 ドルド丸の体は紗登子のもとを離れて宙を引っ張られていく。

 その先で両手を広げて待っているのはテレイン。

 やがて、ドルド丸の体はテレインの手に収まる。

 ドルド丸とテレインの目があった。

 その瞬間、ドルド丸の脳裏にこれまでのできごとが通り過ぎる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ