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理想を求めて  作者: 木介


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2/4

23年前

目を開けるとそこはかつて大学進学をきっかけに一人暮らしを始めたアパートだった。


夢かと三郎は疑いもしなかった。

それにしてはリアルで醒めるにはもったいなかったがもう一度目を閉じて現実に戻ろうとした時。


「ジリリリリリリィ」


ケータイのアラーム音が鳴り響く、驚いて見たケータイはかつて大学生時代に使っていた懐かしのガラケーだ。


(もしかしてここが現実で過去に戻ったのか)


アラームの音を止めながらそんな事を考える。

三郎が何故こんなにも受け入れが早いかというと最近もしも等というくだらない事を考えていたからに他ならなかった。


先程のアラームでケータイを見ているはずではあったが再度日付を確認した、23年前の4月10日それが今である。

ある予感がし連絡先一覧を開いて確認する、やはりというべきか後の妻である遥の連絡先が無いのであった。


(という事は今は大学4年生で遥と出会う前なのか)


少し寂しさを感じながら仲の良い友人へ連絡し現状を確認した。


「あっ、えーっと今大丈夫?」


「なんだよ、そのノリ…まさか今日無理とか言わないよな?」


「今日って何かあったっけ?」


「はぁぁ!今日は出掛けるから車の運転してくれる約束だろ!」


大学生の頃のノリを忘れてしまい、たどたどしい私の対応に友人は苛立っていた。


「そうか今日って4月10日だよな」


「何言ってるんだよお前大丈夫か?」


「あぁ大丈夫だよ、少し寝ぼけてるみたいだ」


大学生時代のノリを思い出しながら友人と今日の段取りを確認した後、電話を切った。


4月10日は特別な日であった為、三郎は記憶していた。遥と出会った日であり、三郎と遥の結婚記念日でもあるからだ。


今日、三郎は友人の為に車を運転する。

友人の妹が行きたい場所があり、連れていくと約束してしまった友人の尻拭いだ。

ここでその妹が連れてくる友達が遥である。

友人兄妹を家の近くまで送った後、遥と二人きりになり話が盛り上がったのがきっかけで仲良くなったのを思い出す。


川口と付き合う為には車内で話さず、ただ送るだけで運命は変わるはずだと三郎は決意を固めて友人の元へと向かった。


計画どうりに事を運ぼうとしたが遥を見た瞬間


(あぁ、やっぱり可愛いなぁ)


と当時の気持ちを思い出し、これからする事は彼女に嫌な想いをさせてしまうのでは無いか?

等と考える三郎であったが、本音でいうと彼女に嫌われたくないという気持ちが勝ってしまっていた。


結局三郎のとった行動は帰る際

「少し一人で寄りたい所がある」と嘘をつき三人を最寄りの駅へと半ば強制的に降ろした。


嘘と言っても本当の事を言わなかっただけ三郎には目的がちゃんとあり、車は大学へ向かっていた。


川口に告白する為である。


三郎はこのどっちつかずの気持ちを整理する為にも川口に告白して決着をつけたかったのだ。大学へ着くなりいるかも知れない川口を探した、すると構内には待ち人でもいるのか一人で中庭のベンチに座っている川口がいるではないか。


三郎はチャンスと言わんばかりに意を決して告白をした。

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