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第三章 18 『遭遇②』

 ――いっきなり危ないわねこの男。こっちには子供も黒猫も居るのよ。私はともかく、メルが怪我したらどうするつもりよ!


 ロジェは相手の振り下ろしてきた少し変わった斧の攻撃を間一髪で避けた。避ける際に軽く髪に斧が掠ってしまったので自慢の黒い髪が少し落ちたが、今はそんな事を言ってられない。


「ちょっと、そんな事を急に仕掛けてくるなんて危ないじゃない。高ランク冒険者のくせにマナーがなってないんじゃないかしら! 」


「き、貴様が偉そうにルールを語るな! この場に及んで相手を挑発しただけでなく戦いを格下に任せ、あまつさえも高みの見物を行おうとしたのは貴様だろ!ふざけんじゃ――ぐふぉ!? 」


 相手が言葉を言い切る前にメロールが相手の懐に潜り込み、横腹を蹴り飛ばしていた。相手もかなりの実力者という事もあって大きくは吹き飛ばなかったが、軽い膝カックン位の衝撃にはなったのだろう。一瞬相手の武器を持つ手が緩み、少し姿勢が崩れていた。


「......もー。街中で突然こんな攻撃をするなんて、この私が何か怪我でもしたらどうするつもりだったのかしら! 」


 ロリコンさんの攻撃は、それはもう凄い振り下ろし攻撃だった。相手は実力の数%しか出てないだろうが、斧を振り下ろした場所を中心に地面が完璧に凍りついている。恐らくあの斧は特殊な材質で出来ているハルバードと呼ばれるタイプの武器なのだろう。触れただけで凍らせる斧なんて相手にするだけ厄介すぎるし、絶対に相手したくない。


「チッ、そこのガキには用事はないと言ってるだろ! さっさと下がれ、さもなくはお前もあの女と同じように死ぬ事になるぞ! 」


「いいや私には用事がある。というか今出来た。この人目の数だし、こんな所で大人しく引き下がったなんて知られたら後でお父様に怒られますもの。それに、私が死にかけても自慢のロジェお姉様が守ってくれるし気にしません! お姉様に手を出すならまずは私を倒してからにしなさい! 」


「え、いや...え? 私は何もしな---」


「てりゃあああああああー!」


 そう言いながらメロールはロジェの言葉を最後まで聞かずに相手の元へと向かっていった。

 メルのお父様、一体どんな教育してるのだろうか。ここまで戦闘民族ならお宅の皇女様(多分)は強すぎて手に負えないんじゃない? 幾ら私がサポートしてやれるとはいえ、超格上の相手に挑むなんて正気じゃないよ。


 ――まぁ、相手を勝手に煽ってたのはこの子だから私には関係ないし、戦いたいってなら止める気はない。むしろ私より強いんだからこのまま倒してくれたりしない?


 この戦いは彼女にとっての良い感じの罰当たりになるだろう。もしかしてだけどさ、この事がバレたら王城絡みの子を前線で戦わせたって事でロッキーさんに怒られる...よね? そうなる事だけは避けなきゃダメだし、結局何とか彼女がボコボコにされない程度の補助はしてあげなきゃダメなのか...正直私からは何もやりたくないなぁ。


「てりゃ! ありゃ! よいしょ! 」


 力の抜けそうな可愛いらしい少女の掛け声とは裏腹に、豪快で素早い彼女の蹴りや拳が炸裂していく。動きだけを見れば子供の頃のあーるんを思わせるような攻撃スタイル――というか彼女とほぼ同じだ。

 多分あーるんが鍛えてくれれば同じくらいには強くなりそうなレベルでセンスがあるように見える。あそこまで感情の振れ幅が凄いのは勘弁して欲しいけど...


 というか、さっきから身代わりになりそうな生贄を探すつもりでずっと街中を歩いてたのに、グレイ達は全然見当たらないじゃないの!! もうこの際リンでもベージュ達でもいいから誰か助けてくれないかなぁ...誰かこのか弱い私を助けてください。


 ロリイーネがメロールの拳や蹴りを全て右手一つで食い止めるという舐めプをしながら、ロジェの事を鋭く睨みつけてくるが、少しするとようやく口を開いた。


「もう気は済んだか? 貴様じゃ俺には勝てん。これ以上は時間の無駄だから諦めろ。」


「ッ........! まだまだぁ! そりゃ! あちゃ! 」


 どうやら相手はメロールに攻撃をする気は無いようだ。もはや相手の事が眼中に無いレベルだし、これなら私がサポートとして出る幕は無いだろう。正直面倒だったから助かったわね。


 ロジェは自分が出る必要がないと判断した瞬間、周りをキョロキョロ見渡し始めるが、相変わらず見物客の中に誰一人として知り合いは居ないし、搦手になるような使えそうな物すらも見当たらない。本当に困ったものだ。


 はぁ...相手が三人くらいなら『猛進の猪(ストレート・ボア)』を犠牲に箒に乗って全員で逃げ出してるとこなのに、相手は六人も居るだけじゃなくて武器を大量に持ってる人と、如何にもな魔導師っぽい人もいるから、メルとキルメを担いで逃げ切れる気がしないよぉ。もうメルをこのまま放置して私だけでも逃げようかな...ダメ?


「おいこら、この嬢ちゃんはてめぇの為に戦ってんだぞ! 何余所見なんてしてんだ! ちゃんと見やがれ! 」


「そうですよお姉様! 私は――とりゃぁ! 頑張ってるんですから――どっこいしょ! ちゃんと見ててください! 」


 いや見るも何もこれ、子供と大人のじゃれ合いじゃん。互いに負けようと忖度してるプロレスと同じだよ? 見ても見なくても相手が一生舐めプしてるんだからあまり変わらないって。


 一応彼女の活躍を見ながら手元にある薬品鞄に手を伸ばす。今回入っているのは『泥水』『砂嵐』『ステーキ』『わたあめ』『棍棒』『雨』『旋風』の主に7つだ。今回使えそうな物は――棍棒と砂嵐と旋風くらいか。でもこの人の数ならあまりポーションを公にする訳にはいかないわね。なんたってこれは加減を知らない危険な薬品も幾つか混ざってるんだから、脳死で使えば街に被害が出るかもしれない。


「はぐぅ!? 」


 そんな事を考えていると、怒りの限界が来たのかロリイーネがメロールの足を掴み、怪我をしない程度に優しく地面に叩きつけてこう叫んだ。


「貴様......こうしている間にも俺達を舐めるのもいい加減にしやがれッ、貴様からガキに戦えと指示しておきながら試合すら見ずに周りの視線ばかりを気にするその態度に加え、自分が逃げる為だけに鞄に入ってあるその魔物寄せを街中で堂々と使おうとするその思考といい、もう我慢ならんッ! 」


「え? 」


 もしかしてだけど、薬品鞄(ドラッグバック)の中身が全部魔物寄せとでも思ってんのかなこの人。そんな訳ないし、テロ行為なんてする気ないわよ私は! 第一、誰よりも平和主義者であるこの私がそんな頭のおかしい人に見えますかねっ!!


「いやこれ魔物寄せじゃないし、推測だけで勝手な言い掛かりをつけるの、やめて貰えます? 」


「あぁん? てんめぇ.......!この期に及んでまだ誤魔化すっつーのかよ! 俺はずっと見てたぞ! お前のその鞄の中身は俺達が拾ったあの赤色の薬品と見た目がほぼ同じだ! それが魔物寄せじゃねえってんならなんだって言うんだよその薬品は! 」


「......そんなの完全にアフロさんの言い掛かりじゃないですか。勝手な予想で私に変なイメージを付けようとするのはやめてくださいよ」


ただでさえ見物人は時間が経てば経つほど何故か増えていっているせいでこんな場所で最悪なイメージをつけられるだなんて堪ったものじゃない。というか、そうだ! 安全だって証拠をここに示せば全部解決じゃん!


「まぁ、減るものじゃありませんし、折角リクエストを受けたのですから、私が皆さんにこれが安全な薬品だとこの場で証明してみせましょう」


「...!? おい、周りにいる見物人は今すぐ俺達から離れろ! 」


 ロジェがそう宣言すると、ロリコンさん達がなにか警戒しているのか声を上げたと同時に一般人が少し現場から遠のいた。

 下手な悪い顔を取り繕ったロジェは、周りの見物人達がある程度遠のいたのを確認してから手元から一本の赤い薬品を取り出し、相手の足元にばら撒いてやる。するとそこを中心にそこそこのサイズの砂嵐が発生した。


『てかこれ大丈夫かよ。こんなデカイ砂嵐を街中に発生させてるけど誰か死んだりしてねぇよな...? こんなの使ったら普通に建物が壊れてもおかしくねえぞ! 』


 周りの見物人は即席の砂嵐を見て周りの被害状況を心配したり砂嵐の演出を見て凄さに騒いでいるが、基本的に凄いのはグレイだ。私はただポーションをぶん投げただけだし何もしていない。ロジェは意味もなく適当にドヤっていると、風に巻き込まれそうになっているメロールを発見したので、急いで浮遊魔法を使って彼女を自分の元へと引き寄せて助けてやる。


「はぁ...はぁ...し、死ぬかと思いましたよロジェお姉様! てかこんな事をするなら最初に言ってください!! 風と土属性を混ぜた魔法攻撃に巻き込まれるかと思ったじゃないですか! 」


「ごめんごめん。悪気はないし、相手の注意を引くならこれが最適だと思ったのよ。ちなみにこの砂嵐はダメージは大して無いはずだから気にしなくていいわ。これ魔法じゃなくてポーションだし」


「......本当に普段からどんな薬品を持ち歩いているのですかお姉様」


 ――それは...是非ともグレイに聞いてください。私には何も分からないので。


 待つこと数分。砂嵐ポーションの効果時間が切れ、相手の威勢が元に戻ってくる。どうやら肩透かしを食らって更に怒っているらしい。さっきまで威勢よく吠えていたアフロの男が口を開いた。


「おい英雄野郎、なんだこの薬品は! 心臓に悪い見掛け倒しなことしやがって! というか街中にそもそもこんなやべー攻撃仕掛けんなよ! 」


「いやいやいや、普通に考えて平和主義者のこの私が街中にそんなやばい火力のある攻撃なんてする訳ないでしょ。ちゃんと安全面に考慮した上で使ってますし、そもそもこれをやれと言ったのはあなた達の所のアフロさんですよね。この規模の攻撃をしたのに建物や人に被害を出してない事から少なくとも私の持ってる薬品の安全性は証明されたのでは? だったら文句を言う前に何か一言言うべき事があるんじゃないですかね! こちらとしては言い掛かりつけてきた事を謝罪して欲しいくらいですよ! まったくっ」


 というか人が危険な薬品を常に持ち歩いているヤバい奴だとか思わないで欲しい。私の手元にあるポーションは基本的に殺傷能力の低い、見掛け倒しなもの(一部例外あり)ばかりなんだからそんな予想だけで変なイメージをつけようとしないでもらいたい。


「力があるくせにこうやって周りに責任を押し付けて逃げようとする奴が俺は一番嫌いなんだッ! き...貴様だけは絶対に許さねぇ! 」


 そう言ってロリイーネがハルバードを片手に突っ込んでくるので、ロジェは周りが砂嵐に注目が集まっている間に手元に用意していた『猛進の猪(ストレート・ボア)』のボタンを押して起動させる。すると、即座に変形した鎖型猪が相手に向かって衝突しに行った。どうやら相手も猪の参戦には予想外だったらしく、猪によって数m程後ろに吹き飛ばされていく。


 吹き飛ばして言った後には猪が大人しくなりロジェの近くへと帰ってきた。どうやらこの猪は知能が高く、行動が終わったら自動で手元に戻ってくるようになってるらしい。よく見れば可愛い所があるし、そこそこ強いのも分かったからロジェは軽く撫でてやる。


「な、なんなんだぁこの変な猪は!? 次から次へと変な手を使いやがって...変な生き物に戦闘を任せるんじゃなく、貴様から直接攻めてこい! ふざけてんのか! 」


「...はぁ。分かりました、分かりましたよ! じゃあ今回は特別です。正直これだけ人が集まってますし、私の手の内なんて微塵も明かしたくありませんでしたけど、これ以上あなた達に舐められないようにする為にも今回は私から攻めてあげましょう。普段ならこんな事しませんが、特別ですからね? 」


 正直舐められても構わないけど、これ以上変に絡まれても厄介だし、たまにはカッコつけてもバチは当たらないはずだ。もうここまで来たら無駄に目立っちゃってるし、人目なんてもはや関係ない。こうなりゃ堂々と人前で魔女としての実力、どんとその目に焼き付けてやろうじゃない!


 ロジェはそう言うと、手を限界まで開いて目を閉じ、脳内で渦を巻くように魔力を練り始める。


「!? ロ、ロジェお姉様! ま、まさか、その魔法って――」


 そして準備が終わったロジェが笑みを浮かべながら目を開き、人差し指と中指だけを相手に向けて魔法を使った。


『フロッグ・クロック』


 その瞬間、リーダーと思われる青髪の男以外の取り巻きは全員カエルに変化した。突然起こった蛙化現象に斧を持っている青髪の男の顔は青ざめている。カエルなのにアフロを被っていたり、武器を持っていた男の髪の長さがカエルにも反映されていたり、彼らのイメージカラーが再現されていてとても面白い。


「おいお前ら、急にどうした! なんで蛙なんかになってる! 何が起きた! 」


 ――ふふっ。どうでしょうかねこの魔法。発動までに意外と手間が掛るのだけが残念だけど、慣れたらこの予備動作も短縮出来そうだし、意外と悪くない魔法だしで気に入ったわこの魔法!


「どう? 私の事を少しでも見直したかしら! 」


 使い慣れてないせいで効果範囲が制限出来てないから、周りにいた見物客を数人程カエルやオタマジャクシに変えちゃってるせいでかっこよさが台無しだけど、別にいいわ! 今はそれどころじゃないもん!


「ケロー! ケロケロケロ、ケロロロロ! 」


 あとなんでメロールはまたもやカエルになっちゃうのでしょうか。私の真隣に居たから範囲的にも巻き込まれないはずなのにおかしい――もうこれカエルにならなければならない運命なんじゃない? 私の右腕でぴょこぴょこ跳ねても出来る事なんてないよ...


「ぐぬぬぬ...おい貴様ァ! 俺の仲間に一体何をしやがった! 早く解除しなければ......貴様を殺してでも解除させるぞ!」


 言ってる事がめちゃくちゃだ。そんな事で脅されても困るし、か弱い女の子を虐めるのがそんなに楽しいわけ? ただでさえロリコンってだけでも印象悪いんだからやめた方がいいよ......ていうかもう面倒になってきたし、これを交渉材料にしてさっさと終わらせよ。何においても平和が一番だしね。


 悪い顔をしながらロジェが後ろで腕を交差させ、落ち着いた声で口を開いた。


「ロリコンさん、私はあなたの事を含めた周りの見物人全員を一瞬でカエルにする事だって可能なので、ここで私と敵対するのは時間の無駄です。これ以上ここで戦っても互いに良い事なんて何もありません。ロリコンさんもカエルにされたくない――ですよね? この世の出来事は何事においてもラブ&ピースが一番なんですよ」


「な、なんだと...!? ということは貴様、まさか俺と交渉する為だけにわざと貴様の弟子や一般市民を巻き込み、こんな魔法を使ったというのか!? 無害な一般市民に手を出してんじゃねえ! 」


 いや、それは事故だけど――でも説明が面倒臭いだし、そういう事にしておこう。そもそもこれは厄介事から逃げる為の脅しだし、相手を追い詰めたりなんてする気はなかったけど、これを上手くいかせばこの場は平和に幕を閉じるかもしれない。


「.......ま、まぁそういう事になりますね。せっかくの良い機会ですしここは1つ、今後私があなた達と戦う為の条件を出しておきます。このままやっても今のあなた達では私達に勝てないのは明確ですから」


 ――そう。私には余裕で勝てると思うけど、グレイやあーるんには絶対勝てないからね! そもそも私が何か大きな怪我でもしたらあの二人が絶対黙ってないし、ここで私に堂々と喧嘩売ったらあの頭のおかしいクレイジーモンスターが何するから分からないよ? そうなる前にやめときなよ。


「じょ、条件だと? 一体なんのつもりだ! そんな事を俺が受け入れるわ――」


「おっと、そこから動かないでください。それ以上私の元に近付かれても困ります。そこから一歩でも前に進むと言うのなら私はあなただけをカエルにしますけど良いんですか? 仲間をカエルから解放する手段もまだ聞いていないと言うのに」


 このロリコンさん、強すぎて何回やっても多分カエルにならないんだよなぁ.....だから脅しが聞く間に大人しく引いてくれない? 引いてくれなきゃ私泣いちゃうよ...


「.......チッ。さっさと条件を話しやがれ! 」


「よろしい。そこからロリコンさんが動かないと言うのであれば、こちらからの条件を提示しましょう! まぁ私からの条件は1つですし、難しいものは要求しません。私が尊敬する魔導師でかつ、お友達である《彗星の神子》にいる魔導師との一騎打ちであなた達が勝ったら、私達が正々堂々と手合わせする事にしましょう! それまでは今日みたいに絡んでくる事はやめてくださいね? 」


 ――そう。私は相手しないけど戦うのはグレイ達だ。そもそもちゃんと今回は私『達』と強調して言ってるので私は戦う必要はないし、仮にリンを倒せるレベルなら二人は良い玩具を見つけた事でさぞ大喜びすることだろう。仮に彼らがリンに勝ったとしてもグレイ達の玩具させるつもりはない。

 というか勝手にリンを巻き込んじゃったけど、あの子はパニックにさえならなきゃ冷静なタイプだし、無駄な戦いはしないはずだから大丈夫....だよね? 次彼女と会う時があったらスイーツ片手に土下座しよう。


「...........そ、そんな条件を呑むわ――っ!? おい待て、話は終わってねえぞ!せめて俺の仲間を戻す方法を教えてやがれえええええええ! 」


 相手の怒号が聞こえてきたがロジェはそれをガン無視し、カエルになったメロールとキルメと共にその場から逃げるように去っていった。



△ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼



「ぐすん...お姉様、酷いです。なんで私ばっかりカエルにするんですか」


「私も別にそんなつもりはなかったんだけどね。どうやらあなたはカエル適正が高すぎるみたいよ」


「カエル適正ってなんなんですか! というか今すぐそんな恥ずかしい状態から抜け出したいので、対策を教えてください! 」


 カエル魔法の耐性と言ってもなぁ...強くなれば大丈夫だろうけど一日でそんなの出来っこないし…


 ロジェ達は再び大通りの中を歩いていた。あの戦闘以降色んな人に絡まれる可能性を考えて認識阻害ローブを起動させているが、どうやらメロールの放つオーラと美人顔が特徴的すぎて正体がばれているらしい。そのせいでメロールが人に戻った辺りから知らない人にカエル魔法について教えろと絡まれ続けている。話しかける度に時間経過で戻るので放置しろと言っているが、いい加減面倒臭くなってきた。もうやだ現実逃避したい...


「そうだ、カエル魔法はアレよ! 強くなれば効かなくなるから、何度もダンジョンに行けば良いのよ! そしたらいつか魔法が効かなくなるわ! 」


「ダンジョン.....ですか? なるほど。その手はありませんでした! つまりお姉様はあの魔法が効く限りは私の事を未熟者だと言いたいのですね! 」


「そんなつもりは無かったけど...? てかそんな事一言も言ってな――誰!? 」


 話の途中で誰かに肩を掴まれる。突然知らない相手の肩を掴むとかいうそんな変な事をしてくる不届き者は誰なのか確認する為に振り向くと、そこにはベージュとセレーナが居た。


「お久しぶりですロジェさん。僕達は貴方に用がありまして。今から少しだけお時間貰っても大丈夫ですか? お手間は取らせませんので」


「そこの小さなお嬢さんもこんにちは。お姉ちゃん達は悪い人じゃないからロジェさんの後ろに隠れて怖がらなくても良いよー」


「急に肩を触られるからびっくりしたぁ...なんだベージュ達じゃない。あの時以来ね。どうしたの? 」


「さっきのカエル魔法の騒ぎも遠くから見てましたし、アレ以外にも色々と聞きたい事がありますが、とりあえずこちらの要件を言います。僕達のクランハウス《夜炎(ナイツ・ブレイズ)》でマスターが貴方をお話をしたいと言っておりまして...今から同行の方お願いしても大丈夫ですか? 」


 ――あれ? 私何か悪い事ってしたっけ? ベージュ達のクランハウスで私と接点ある人なんてほぼ居ないんだけど...


「......ちなみに私、そこで殺されたりはしないわよね? クランに行くのは構わないけど命の危険があるなら絶対に嫌よ。何としてでも行かないからね! 」


「ぷぷぷっ。ロジェさんったら面白い事を言いますね! 命の有無に関してはこの私、セレーナ・クリスタが保証しましょう! なんたって今回は我々の副マスターであるあの《水冥》もついてるので、幾ら不敬な発言をしようが、マスターに炎魔法を使われて焼け殺される事は無いと思います! さぁ、そうと決まれば早く行きましょう! 個人的にロジェさんに見てもらいたいものもあるんです!!! 」


「え、ちょっ! まっ――」


 セレーナが胸を張りながら恐ろしい事言ってるんだけど本当に大丈夫なの? 結局有無を言わさずに無理やり連れてかれるし、私はまだ死にたくないよ...

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