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第二章 51 『化物③』

 ――この男は何者だ…?


 シャドーは突如乱入してきた不思議な男の存在を疑問に思っていた。

 この男さえ戦場に乱入しなければ、ロジェという女を確実に糸で貫いて殺せていたのだが、この変な男がこの近くにやってきた瞬間、シャドーが操っていた糸が全て切断されたのだ。


 相手が剣のような物を持っているので恐らくそれで糸を斬ったというのは分かるが、シャドーは相手が武器を抜いた瞬間が全く見えなかった。

 武器を鞘から抜いた事を悟らせないほど動きが早いのは相当な手馴れの証だし、何よりこの男から感じる気配もまた異質だ。屋敷で戦ったあのピンク髪の女と同じくこの男からも異常な気配を感じる。恐らくこのロジェとかいう女の仲間だろう。


「シャドー様。あの男はどうしましょうか?」


「……いくらあの女が戦闘不能に近いとはいえ、あの男もまた異質だ。ドロシア。お前は下がって見てろ。あいつと戦う場合はさっきよりも慎重に隙をつけ。」


「分かりました。負けることはないと思いますが、不味いと判断した場合は先程のように動きますので、ご了承ください。」


 そう言い残して再びドロシアが木の木陰へと戻って行った。先程はシャドーが合図を出してロジェを襲わせたが、同じ手はもう二度と通用しないだろう。上手く隙をついて倒さなければならない。


 ――ところでこいつら、敵を目の前にして何時まで言い合いをしているんだ…?


 それは不思議な光景だった。

 こいつらは確実に仲間内のはずなのだが、「あの程度の事でゴチャゴチャ言うな」だとか「乙女心を考えろ」だとか吾輩が居るにも関わらずくだらない言い合いを永遠と続けているのだ。ロジェに関しては先程殺されたかけたというのに、この警戒心のなさは馬鹿を通り越して芸術としか言いようがない。


 ――命を掛けた戦場だと言うのに、こいつら全員警戒心がない無能集団なのか?それとも吾輩が舐められてるのか?


 シャドーは呆れながら話しかける事にした。


「おい貴様ら。吾輩を差し置いて何をやっている。そこの女は吾輩の獲物だ。そこの乱入者は何をしに来た。」


「そういえばお前…なんだ?俺になんか用か?」


 ――まさかこいつ、吾輩の事を気付いてなかったのか…?


 あの女に向けて飛ばした糸を切っている時点で気付いていない訳が無いのだが、そんな事が有り得るか?少し考えれば分かりそうだが…


「グレイ、気をつけなさい。この人が変な言いがかりをつけて私の事を殺そうとしてくるヤバい奴よ。こいつも虚術(ホロウ)使いだし、腐っても組織のボスらしいから強いわよ。」


 ――理由もなく言いがかりで吾輩が怒るだと…?この女、馬鹿にしているのかッ!


「おいそこの女あぁぁぁぁ!ふざけた事を言うなッ!き、貴様は吾輩の作戦を変更する度に全力で叩き潰し、火精にケーキに炎魔法の塊まであれだけのゴミ処理を全て吾輩に押付けたにのだぞッ!にも関わらずこのとぼけようとは……どこまで貴様は――」


「……えっと…タ、タブンソレハワタシノセイジャナイヨー…。」


 その言葉を聞いてシャドーの怒りは限界を超え、再び糸を彼女に向かって飛ばし、追加で岩を大量に出現させた。


 ――ここまで来れば制約など関係ない。この女はもう虫の息だし確実に殺してやるッ!



△ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼



 ――私の事故みたいな攻撃、この人に全部当たってたんだ…。


 ロジェは目の前にいるシャドーに本気で同情していた。確かに私のやらかしがなんか都合よく消化されてるな〜とは思ってたけど全部当たるなんて、私ほどじゃないけどこの人も相当運が悪いな…可哀想に。


 そして案の定攻撃が相手から飛んでくるが、当たり前のようにグレイが間に入り、手持ちの刀で相手の攻撃を全て食い止めながら話しかけてきた。


「はぁ…お前さぁ。巨大な犯罪組織相手に今度は何を盛大にやらかしたんだ?まぁ空からお前らの戦ってるとこは見てたけど、どうせまた派手にこいつらに喧嘩売ったりでもしたんだろ?」


「こ、今回だけは本当に何もしてないわよ!こいつとのまともな接点は1度しか無かったし、相手の運が私並に悪いだけなんだから!てか空から見てたならもっと早く私の事を助けに来なさないよ!」


 精霊を呼び寄せたのと街中に大規模魔法を落とした事と魔物ケーキを街中に落として爆発させたのは完全に私のせいだが、まさかその落ちた現場全てに敵組織のボスがいるなんて誰が予想できるってんのよ。そんなの無理に決まってるじゃない!!!


「登場するにしてもタイミングってもんがあるだろ?相手の力量を軽く測るためにも少し様子見が必要だからすぐには参戦しねえよ。それにまたお前が厄介事に首突っ込んでるの想定済みだったし、こいつの相手は俺がやる。お前は怪我も酷いしちょっと休んでろ。何よりこいつは面白そうな匂いがして堪らねえんだ。」


「私が当たり前のように突っ込んでるみたいな言い方やめなさいよね。あと、危なくなったら私も加勢するからちゃんと言いなさいよ?」


 ――私も突っ込みたくて突っ込んでるわけじゃないんだけど向こうから勝手に来るから仕方ないのよ…私は無罪!何も!悪い事なんて!していない!!


「大丈夫だ。俺はそう簡単に死ぬような男じゃない。それに俺はこういうつえーやつと戦うのをずっと待ってた!お前はそっちの怪我人とチビ共を何とかしろ。あとは任せとけ!」


 彼の自信に溢れた言葉を聞いたロジェは、攻撃に巻き込まれると危ないのでベージュとセレーナ、そして愛護団体の人らしき2人を攻撃が届かなさそうな場所に浮遊魔法で移動させる。


 特にベージュ達は無関係なのに私が1度受けた五感が大きく弱体化するなんとかディスペアーの攻撃を食らっている。正直これ以上彼らに酷い目にあって欲しくもないし、巻き込んだのだからロジェには何としてでも彼らの命を守る義務がある。


 そして丁度人を移動し終えたところでグレイがシャドーの攻撃を捌き終えたようだ。シャドーが凄い顔をしながら何故か私の事を睨みつけてくる。……悪かったから許してよ。厄介事全部を押付けるつもりはそもそもなかったし…


「おいそこのお前。なんでそんなキレてるかは知らねえけど、ロジェを殺したいってんならまずは俺が相手だ。いっとくが俺はそう簡単には負けない自信だけがある。だからあいつをどうしても殺したいならまずは俺を倒してからにしろ。」


「……どこの誰かも知らん奴を相手などしてられるか!そもそもあの忌々しい女を倒す為だけに何故貴様の相手までしなければならんのだ!」


「……確かにそれはあるかも。」


「おいロジェ、お前まで流されて敵に同情すんな!.......何か雑音が入ったが、とにかくあの馬鹿をそんな簡単に殺させる訳にはいかねぇのよ。あいつはいつだって最強だし、数少ない俺の大切な仲間なんだ。だから手を出すってんなら俺がお前の息の根を止める。」


「……ほう。面白い。ならやってみるがいい!『死魂の生還(デス・ヘルムーン)』」


 そう言ってシャドーは生み出したそこそこの大きさの岩を変形させ巨大化させた狼のような魔物を作り出す。恐らくこれも虚術(ホロウ)で生み出した擬似的な魔物の召喚魔法だろう。即座に召喚された10匹の炭のように真っ黒な狼が即座にグレイに向かって襲いかかった。


「お前は本当に虚術(ホロウ)使いなのか。お前の部下は全員大したことなかったが、組織のボスクラスになれば斬りがいがありそうでワクワクするなぁ。その能力に頼りっきりの男がどれほどやれるか見せてもらおうじゃねえか!」


 そう言ってグレイは手元の刀を強く握り、自身の持つ魔力を軽く込め始めた。その瞬間、彼の刀を中心に強力な魔力の渦が出来上がる。


 グレイという男は天才だ。物の生成に関しては誰よりもある実力者だし、彼の持つ探究心と好奇心に関しては右に出る者はいないだろう。絶対に世界のどこを探しても何処にもいない――というか居たら大問題だし、こんな錬成バカが2人も居たら世界がめちゃくちゃになってしまう。


 そして彼の持つ刀は『黒時雨(くろしぐれ)』と呼ばれるちょっと変わった妖刀だ。魔力をいくら込めても一日に一度しかまともな切れ味を発揮してくれないデメリットがあり、魔力を込める事で時間制限はあるが、一日一度だけ彼の剣技は威力も速度も2倍近く強化された状態になる。(なお切れ味は変わらない)


 グレイは濡れた紙すら斬れないポンコツ状態の刀で魔物や人なら簡単に切るような男なのだから、ただでさえ強い男にそんな強化を与えればどうなるかなんて目に見えている。


「馬鹿な…吾輩が召喚した黒狼(ダークウルフ)を気迫だけで消滅させただと…?あれは☆7ダンジョンにいるような魔物だぞ。」


 そう。彼は強化状態であれば、そもそも刀なんて振らなくてもそれなりに強い魔物程度なら消滅させる事が出来るほどにまで成長するのだ。ここまでの領域にまで刀の力を引き出し、自身の剣術の実力を上げたグレイ本体の強さもあるだろうが、この強化は制限があるとはいえ少々やりすぎである。


「なんだぁ。この程度の気配に魔物ならこの刀に魔力を込めなきゃ良かったし大したことねえな。その程度が強いと思ってるならお前、俺には絶対勝てねぇぞ?ロジェ含めて俺達は☆7程度の魔物は散歩感覚で狩るような集団なんだ。」


 ――あーるんもそうだけど、いつの間に私とこんなにも差が開いたんたんだろこの子達....。私と同じくらい馬鹿みたいな数の修羅場にあってる癖に私は一向に強くならないのにさぁ――才能ある人ってホント凄い。


 あとシンプルに私をそこに巻き込まないでください私は弱すぎるので死んでしまいます....


「なん……だと?だ、だが吾輩が負ける事は無い。」


 そう言ってシャドーが指を鳴らすと、あの時と同じようにロジェの脳内に不協和音が聞こえてくる。またしても同じように精神攻撃を仕掛けられたらしい。


 一度受けたのでまだマシだが、このままいると頭がおかしくなりそうになる。

 何とか意識を強く保ちながら戦場を見ると、戦場ではグレイの周りを中心に地面から大量の尖った石の槍が出現し、殺意の高い砂嵐が発生していた。どうやら相手は土魔法を使って上手く追い込もうとしているらしい。


「はぁ…虚術はそう使うものじゃねえっつーの。おいロジェ。すぐ決着つけてやるからもう少し踏ん張れよ。後で俺がそれも直してやっから。」


「お、おー…。」


 グレイがそう言うと、刀を振りながら地面から生えた岩を壊し、相手との間合いを詰めていく。道中で飛んでくる岩や糸などもすんなりと切り刻み、ついにシャドーと刀と剣が交わった。


「なぬ…ッ。貴様、地面から動けないよう土魔法て擬似的な重力負荷を掛けているのに一体なぜここまで動ける…。」


「この程度の重みなら余裕で動けるぞ。生憎前にロジェが重力を操る犯罪者に攫われたことがあったから重力系統はそこで耐性を付けたからな!俺をその場から動かしたくねえなら10tクラスの重りを乗せるつもりで負荷をかけろッ"!」


 そう言ってグレイはシャドーに向かって1太刀を浴びせるが、シャドーは土魔法で鎧を作っただけに飽き足らず、受けた攻撃をカウンターのようにして解放する。その攻撃を受けて流石のグレイも少しダメージが入り、動きが鈍くなる彼の姿を見て思わずロジェは叫んでしまった。


「グレイーーー!」


「これで貴様も終わりだ!『神の怒雷(ゴッド・アンドラス)


 相手が技を使うとグレイに向かって災害クラスの雷が何本も落ち始め、彼に向かって直撃する。そこから追加でシャドーが糸と剣を相手に向かって飛ばそうとする。


 ――まずい。このままだとグレイがやられるかもしれないし、私もなにか助太刀しないと…


 五感が少しずつ弱っていく感覚はあるが、前回と違って体を限界まで酷使した訳ではないのでまだそれなりには動けるのだ。なので魔法で少しでも援護しようとしたその時だった。


 グレイは、拾ったそこそこの大きさの石を虚術で付け爪のように変化させ、腕に装備して鋭い鉤爪のような物を作る。そしてその鉤爪を使って強力な斬撃を飛ばしてこの術を丸ごと切り裂いた。


「馬鹿な…あれだけの攻撃を受けた上で吾輩の術を完全に破壊するとは有り得ないッ!貴様、何者だ!」


「....はぁ。まさか3流程度の虚術使いがここまでやれるとは思っても見なかった。ちと俺も遊びすぎたな。」


 付き合いの長いロジェには分かる。グレイは今までの手抜きモードからようやく戦いの目になっている。恐らくようやくまともに戦うに相応しい相手として認めたのだろう。

 彼の目の色が黄色の目から黄金色に変わるのは相手の実力を認めた時だけだ。口から流れる血を吹きながら彼は口を開いた。


「実際にどれぐらいやれんのか気になったから敢えて攻撃を受けた感想を言ってやるよ。確かにお前の魔法はそれなりに凄かった。だが、その程度じゃまだまだその魔法を使えたとは絶対に言わせねぇ。『本物』って物を俺が教えてやるよ!」


 そう言ってグレイが指を鳴らすと、周りの明るさが突如夜と同じくらい暗くなり、彼の後ろから数え切れない程の青白い幽霊のような火の塊が出現した。


「なんだこの炎は…」


「恐らくお前は魔力を大量消費してこの魔法を使ってるから分からないだろ?この霊火を自由自在に操れるのは特殊な魔力を持つ者の特権なんだ。この数の火を操るのはまぁ…俺の努力の証だけど、普通なら10個くらいしか操れねえんだぜこれは。ここまで現世に出すのは特別サービスだ。」


 念魔(ねま)を持つ者は自由自在に霊火を操る技術を持っており、制限のない攻撃手段になるという話を聞いた事がある。理屈は聞いてもよく分からなかったが、偵察から自身の強化、そして単体としての攻撃手段としてまで色々使えるので便利らしい。


「所詮はただの火の玉だろ?そんな程度で吾輩が怯むとでも思ったか。馬鹿にするな!」


「ここからが本番だ。こんだけ現世に干渉させたせいで魔力が足りないからほんの1部しか虚術を見せてやれねぇが、少しは楽しませてくれよ?」


 そしてグレイが刀を鞘に収め、霊火の一つを手元で掴んで幾つもの蝶のような形に変化させ、美しい青白い姿をした蝶々が何匹もシャドーの周りを飛び始める。

 そしてグレイは、(多分ロジェ以外には見えていない)自身に生えている種族特有の黒い羽を少し犠牲にして蝶と共に高速で相手に飛ばすと、シャドーの腕にその黒い羽が直撃した瞬間、相手の腕から大量に血を吹き出した。何をされたのか理解出来ず相手が心の奥底から辛そうな叫び声をあげる。


「どうだ?これが俺の変わった虚術の攻撃、言うなれば羽燐火(うりんか)って名前の攻撃だ。こんなのジャブでしかねえけど結構おもしれー攻撃だろ?技としての見た目も威力も申し分のない技だ。」


「き、貴様…一体何を…した。」


「俺はそう言う種明かしはやらねぇんだ。だって原理が分かったら面白くないだろ?まぁ少しだけヒントを言うなら、さっき作った蝶でお前の魂に直接干渉して蝶の感覚とお前の感覚を同期させた事。それと虚術で羽を頑丈な糸のように斬れ味のある小さな矢に作り替えて、蝶の受けた痛みと二重で物理的な痛みを与えたってとこだな。こんなのは虚術を使った攻撃の中じゃまだまだ序の口だけど、お前じゃ理解は出来ないだろ。」


 ――凄い…相手を一瞬で戦闘不能にしてる。私も何やったか分かんないけど、流石この世に唯一生き残った虚術使いなだけあるわね…。術の練度が違いすぎる。


「それに俺、あんま虚術が好きじゃねえんだ。能力が強すぎるから倒しがいがねえし、お前は知らないと思うが実はこの魔法は効く相手が限られてる。そして何より戦ってても一方的過ぎてつまらない。俺はお前みたいに能力に過信する程愚かじゃねえんだよ。」


「き、貴様。今にも痛い目に――」


「合わせてやる。って言いたいんだろ?その希望は無駄だ。ここに来る前にお前んとこの部隊の連中は全員俺が斬ったし、ここに連れてきたお前の女はロジェの後ろに隠れて攻撃の機会を狙ってたけど、既に霊火で無効化してっから援軍は来ねぇぞ。無駄な希望を見出そうとするな。」


 ――いつの間にそんな事してたんだろグレイは…。またしてもあの援軍と思われる女の人が私の近くにいた事に気付かなかったんだけど…


「じゃあこれで終わりだな。少しは骨のある奴だったがまだ実力不足だ。大人しくそこで眠ってろ。」


 そしてグレイが近くにあった塊になっている霊火を相手に直撃させて相手の魔力を全てを焼き切り、魔導師が限界まで魔力を使い切った結果、その場から全く動けなくなってしまう現象『魔力欠乏』のような状態にした。それだけに飽きたらずグレイは更に2つの霊火を掴んで、先程飛んでいた蝶が何万匹と増やし、何匹もシャドーの元に張り付いた瞬間グレイが指を鳴らすとその場で大爆発を起こし、相手の意識を失わせた。


 どうやら一通りの戦闘が終わったようなのでグレイがこっちに向かって歩いてくる。ロジェは何とかまだ意識は保てているが、最初と比べれば精神攻撃のせいである程度は弱っているので、それを心配した彼は術を解除しに来てくれたのだろう。


「はぁ…とりあえずこっちは終わったぞ。次はお前の治療だ。さっさと解いてやるから早くこっち来い。....ったく。もう少し骨のあるやつかと思ったけど全然駄目じゃねえか。もっと俺にも強い相手を差し向けてくれよロジェ!あと、いい加減自分一人で勝てない相手に真っ向から喧嘩を売るのはやめろよなお前。せめてあーるんが近くに居る時にやれ。俺達に無駄な心配かけさせんじゃねえ!」


「……うん。私は喧嘩なんて売った覚えは一度もないけどこれからは気をつけるし、今の私は色々な事が重なって体力的にちょっと辛いから少し身を任せるね。グレイ。」


 そう言ってロジェは目を瞑り、グレイに身を委ねて倒れかかった。彼は普段のめちゃくちゃな行動はともかく、こういう時は最高に頼もしいし、決めるところはちゃんと決めるので本当にかっこいい男なのだ。


 彼の名前はグレイ。烏天狗と呼ばれる『天狗』の末裔で、倫理観と正義感のネジが少し外れている所があるが、器用で大体の事が並以上に出来てしまう天才であり、私の最も信頼出来る大親友の中の1人である。

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